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株式会社東芝は11日、次世代DVDのセルビデオソフト向け規格「HD DVD-ROM」の片面3層化技術と、片面2層HD DVD/片面2層DVD-ROMの両面HD DVD/DVD-ROMディスクを開発したと発表した。 今回開発表明が行なわれたメディアは、記録層が3層で最大容量が45GBとなるHD DVD-ROMディスクと、両面2層でトータル38.5GBとなるHD DVD/DVD-ROMディスクの2種類。
HD DVD-ROMでは片面1層(15GB)/2層(30GB)の規格が策定されているが、今回発表した片面3層ディスクでは、0.6mm厚さの2層ディスクと0.6mm厚の1層ディスクを貼り合わせることで3層化を実現するとともに、容量を最大45GBまで拡大した。同社では、「1枚のディスクに約12時間のハイビジョン映像を収録できる」としている。 片面3層HD DVD-ROMディスクの製造工程では、通常のHD DVDと同様に0.6mm厚の1層ディスクを製造したあと、そのディスクの上に0.6mm厚の2層目を両面2層ディスクと同じ行程(DVD18)で作り、最後に1層目のディスクと貼り合わせることで3層化を実現している。 同社では、HD DVD-ROMのハイエンドディスクとして、今後DVDフォーラムに提案する予定。年内の規格化を目標としており、ディスクレプリケータのメモリーテックなどが、ディスク量産の準備を進めている。ディスクの製造コストについては、従来の2層ディスクの1割り増し程度、現行DVD比では3割り増し程度となる見込み。
さらに、片面が2層HD DVD-ROM(30GB)、片面が2層DVD-ROM(8.5GB)の両面38.5GBディスクも開発した。 0.6mm厚の2層HD DVD-ROMと、同じく0.6mm厚の2層DVD-ROMディスクを互いに貼り合わせた構造を採用し、プレーヤーでの再生時にディスクを裏返すことで、HD DVD部とDVD部の切り替えが可能。1枚でHD DVD-ROMプレーヤーだけでなく通常のDVD-ROMでも再生可能なディスクを作成できる。ディスクの製造コストは、30GBの2層HD DVD-ROMと比較して、3~4割増し程度の見込み。 同社では、「HD DVD/DVD-ROM両面ディスクは、消費者、ディスク製造会社、販売店、ハリウッドスタジオなどの利益にかなったものだ。現在DVDプレーヤーを持っているユーザーにはDVDのコンテンツを提供でき、今後、HD DVDプレーヤーを購入すれば同じディスクでハイビジョン映像を楽しむことができる」と、DVDからのHD DVDへの移行期を支えるメディアとしての用途を提案している。 また、「コンテンツプロバイダーは、映画の本編をHD DVD側に収録し、プロモーション映像や音楽、サウンドトラックなどをDVD側に収録するなどの使い分けが行なえる。販売店にとっても、DVDプレーヤー/ディスクの販売を維持しつつ、HD DVDの販売も同時に進めることができる」と両面HD DVD/DVD-ROMディスクのメリットを強調している。 同社では、メモリーテックと共同で、2004年12月にHD DVD(1層/15GB)、片面DVD(1層/4.7GB)のハイブリッド型の片面HD DVD/DVD-ROMディスクを発表していた。
今回発表の新ディスクはいずれも現行DVDやHD DVDと同様の0.6mmディスクの2枚貼り合わせ構造を採用しているため、低コストな量産が可能としている。なお、新ディスクの詳細については5月11日より米国で開催されるMedia-TechのHD DVDワークショップで説明される予定。 また、Warner Home VideoのMarsha King上級副社長は「1枚でSD/HDの2世代の環境に適合できるHD DVD/DVD-ROM両面ディスクは、消費者にとって最も現実的なソリューションだ。また、3層HD DVD-ROMディスクにより、低価格というHD DVDの特徴を生かしながら大容量化を実現でき、HD DVD製品の幅を広げることができる」と、新ディスクについて歓迎のコメントを発表している。 □東芝のホームページ (2005年5月11日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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