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ソニー、新経営陣就任会見を開催。新経営戦略は9月発表
-テレビやウォークマンに注力し、復活を期す


ストリンガー会長(左)と中鉢社長(右)

6月23日発表


 ソニー株式会社は23日、22日の取締役会において選任されたハワード・ストリンガー会長兼CEO、中鉢良治社長兼エレクトロニクスCEOの就任会見を開催した。


■ 最重要課題は「エレクトロニクス復活」

ハワード・ストリンガー会長兼CEO

 ストリンガー会長は、「井深さんを初めとする、偉大な経営者の後を次ぐこととなった。皆、ソニーがエンターテインメント、エレクトロニクスのナンバーワンブランドになるのに貢献してきたが、21世紀にも彼らの資産を引き継いでいく」と意気込みを語った。

 また、自身の体験を振り返り、「ソニーに入社して、8年が経過したが、その前の約30年は(放送局の)CBSで、ソニーの顧客でもあった。ソニーのテープカメラを初めて使ったのもそのころで、その品質の優秀さ、信頼性などを、顧客として体験してきた。こうした“体験”はソニーの資産であり、21世紀にも生かしていく重要なものだ。ソニーが挑戦を必要とする状況にあるのは間違いないが、やるべきことをやっていく。最優先課題は、エレクトロニクス事業に復活だ」と目標を掲げた。

 「現在はさまざまな意見を集約している段階で、9月末にその骨子を明らかにする」と、具体的な戦略については明らかにされなかったが、「すべての事業を再検討し、成長領域を明確にして、その領域に資源を集中する」という。


中鉢良治社長 兼 エレクトロニクスCEO

 中鉢社長も同様に「ソニーの復活はエレクトロニクスの復活無しには果たせない。まさに嵐の中の船出だが、就任前から語っているようにソニーの技術力は生きている。総合家電分野では、コモディティが進んでおり、競合社も選択と集中をすすめ、それぞれの得意分野にフォーカスしている。価格下落や競争はいっそう激しく、多様化しているが、そうした厳しいビジネス環境に対応していくべく、検討を進めていく」という。

 具体的な集中分野は9月まで確定しないが、中鉢社長は、「既存カテゴリの中では、テレビ、ビデオ、ウォークマンなどが重点強化領域と考えている。新しいビジネス機会としては、コミュニケーションとモバイルの融合領域などを見込んでいる」という。



■ 組織のスリム化も重要

 ストリンガー会長は2つめの重要課題として、組織のスリム化を掲げた。すでに執行役も前経営陣の15人から7人と大幅に減らしているが、9月をめどに大幅な組織改編も目指しているという。

 「階層が少なく、よりダイナミックな組織に変化させていく。事業部の壁を取り外し、事業部間での事業重複や、製品の重複を再検討するほか、研究開発についても見直しを進める。事業の選択と集中を進めるべく、3月から検討を行なっている。1,000人の幹部社員を集めたミーティングでは“ソニーユナイテッドになろう”と語った。サッカーチームみたいな名前だが、目標は、ひとつの組織として全世界の消費者に最初に選んでいただくブランドになろう、ということだ」と、組織変更への意気込みを語った。

 中鉢社長も、「旧経営陣でも一昨年より、中期経営計画TR60に取り組んでいた。しかし、固定費の上ではある程度の成果を収めたが、競争と成長戦略を目指していた目標にもかかわらず、競争に傾きすぎ、成長は図れなかった」とTR60の成果を振り返り、「TR60を改め、新たしい時代に即応した環境を作り出す。社内に“商品力の強化”、“技術力の強化”、“オペレーションの強化”を目指した3つのイニシアチブを立ち上げ、事業の一貫性と、選択と集中の徹底を図っていく。重要なのは、現場と経営の相互の信頼の復活。コミュニケーションを強化して、社内での対話、交流を強化することが、製品の強化の上でも重要だ」と語った。

 大幅な事業の見直しが予想されるが、ストリンガー会長は「日本で、(コスト削減のための)大ナタを振るうというわけではない」という。「現在は適切な判断が出来るような情報の共有を行なっており、長期的な戦略を立てようとしている段階。事業の優先課題を精査し、プライオリティを決定しているところで、それに基づき9月に戦略を発表する」という。また、目標利益率などについても同様に9月までは確約できる数字はないとした。


■ 元テレビマンが感動するSXRD

 また、ブルーレイディスクとHD DVDの2陣営が覇を争う、次世代DVDの統一については、「消費者の利便性を考えれば統一規格が望ましい。そのための努力は続けていくが、Blu-ray Discも引き続き推進している。1つの規格に向けて努力するが、今後についてはHD DVDの動向にもよる。確定したスケジュールは持っていないが、統一への努力を続けていく(中鉢社長)」という。

 選択と集中による撤退分野については、確定はしていないものの「すでに、社内のR&D部門では多くの撤退領域を定めている。まだ明言できないが、随時何を続けて、何を止めるか明確にしていく(中鉢社長)」とした。

 なお、「ソニーで一番好きな製品は? 」と聞かれたストリンガー会長は、「最近、70型のSXRDリアプロジェクションテレビを購入したが、これは凄い。CATV経由で接続しているが、赤や黒の色再現がすばらしく、かつてテレビ製作に関わった者としては感慨深い。訪問客に見せるたび、私がセールスマンのようになってしまう」という。そのほかにも、PSPやネットワークウォークマン、プレイステーション 3などの例を挙げ、「ソニーは沈んでいない」とアピールした。

 また、戦略事業として掲げているテレビについては、ソニーではSXRDリアプロジェクションテレビと液晶テレビにフォーカスする方針だが、「リアプロに関しては地域の違いがくっきり出るが、北米ではかなりの勢いで売れている。この勢いをワールドワイドで展開したい。日本は液晶セントリックな市場になっているが、コストパフォーマンスと性能を追求していくとリアプロは非常に有望だ。日本の皆さんに理解してもらえる製品を作っていきたい(中鉢社長)」という。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース(新経営陣の選任について)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200506/05-033/index.html
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0622/sony.htm
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050307/sony2.htm

(2005年6月23日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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