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株式会社オンラインティーヴィと株式会社ぷららネットワークスは1日、NTTのBフレッツまたはフレッツ・ADSL回線を用いた多チャンネル放送、およびVODサービス「4th MEDIA」の現状と、今後の計画に関する発表会を開催。次世代STBや、ぷららネットワークスがイタリア「セリエA」所属7チームの試合放映権を取得したことなどを明らかにした。 同サービスは、ぷららネットワークスが構築したコンテンツ配信ネットワーク「4th MEDIA」を利用し、STBを接続したテレビへ映像を配信するサービス。インターネット網とは隔離されたBフレッツまたはフレッツ・ADSL回線網を通じて配信することで、安定した映像配信を行なえるのが特徴で、2004年7月8日から正式サービスを開始している。
月額の利用料金は、ベーシックプランの多チャンネル放送と、VOD作品(月2本無料)が視聴できる「レギュラープラン」が2,415円。VOD(月2本無料)のみが利用できる「ライトプラン」が577円。さらに、レギュラープランではオプションとして、プレミアムプランの10chから任意の番組を追加も可能。VODの価格はコンテンツ毎に異なるが、映画の旧作が315円、新作が420円程度。
利用可能なユーザーはBフレッツまたはフレッツ・ADSLの会員。ただし、同サービスはIPv6マルチキャスト技術を使用しているため、NTT東/西日本のIPv6を利用した有料のコミュニケーションサービス「FLET's.Net」に加入する必要がある。また、現在は提携している5社のISP「BIGLOBE」、「ニフティ」、「hi-ho」、「So-net」、「ぷらら」のみ対応となっている。
ぷららネットワークスの板東浩二社長は「日本のブロードバンド人口も増加しており、光ファイバー回線を引き入れている家庭も急速に増えている。こうした状況の中で、映像配信への関心が急速に高まっている」と現状を解説。 「しかし、日本で多チャンネルサービスを楽しんでいる家庭はまだ20%にも満たない。目の前には残りの8割が潜在需要として残されている。この市場を開拓するためにも、単純なプロバイダから、ネットワーク上で様々なサービスを提供できる会社になっていきたい」と抱負を語る。
放送開始当初は、33chの多チャンネル放送と、約1,500タイトルのVODコンテンツを用意していたが、約1年が経過し、チャンネルは全49chに、VODコンテンツは4,500タイトルに増加。従来から契約しているディズニー、ワーナー、ソニー・ピクチャーズに加え、2005年5月には新たに20世紀FOX、パラマウントとも契約した。
また、提供エリアでは、NTT西日本がFLET's.Netに対応したことから、2005年4月から西日本エリアでのサービスをスタート。システム面では同4月から配信時の「高画質モード」のビットレートを、従来の4Mbpsから6Mbpsに引き上げ、エンコーダをリニューアルするなど、細かい改良も実施している。 しかし、2005年6月29日現在の総会員数は21,323人で、放送当初目標としていた20万人には及んでいない(ペイラインは25万人)。この点に関してぷららの中岡聡パートナー兼シニアストラテジストは「20万人という数字の中で、15%がBフレッツのユーザーで占められ、残りを、より市場の広いADSLユーザーから獲得するつもりだった。しかし、ADSLでは環境によって転送速度が大きく異なるため、動画配信には不満があると考え、躊躇する人が多い」と分析。 そのため、今後は対象ユーザーを光に一本化。「現在4th MEDIAの会員の9割は光であり、今後も光ファイバーユーザーを中心に進めていく。会員数はまだまだこれからだが、増加率を見るとサービス開始から1万人突破するのに8カ月かかったが、月々のペースは加速しており、2万人までは3カ月で達成した」という。また、これらの状況を踏まえて、会員数の目標を2005年度末に10万人とした。
■ 第2世代のSTBを導入。HD対応は第3、3.5世代で 会員数増加に向けた新たな展開として、第2世代のSTBが公開された。最大の特徴はメタデータを利用した「4th MEDIAメタ」に対応したこと。EPGを利用した予約視聴・録画が行なえるほか、放送時間の変更などが発生しても随時予約を更新することが可能になる。また、番組の分類や検索が可能になるほか、コンテンツ間の連携機能も追加。例えば、多チャンネル放送で連続ドラマを視聴中に、メニューから同じドラマの第1回目のVODコンテンツに飛ぶといったリンク機能も実現できるという。 また、システム面では誤り補正技術を導入。伝送中にパケットロスが発生しても、端末側で完全なデータに復元できるという。さらに、USB 2.0ポートを2個搭載。契約完了後にユーザーIDやパスワード、設定などを記録したUSBメモリを4th MEDIAがユーザー宅に郵送。同メモリをSTBに挿すだけで、各種設定が完了するという。 さらに、USB接続型の無線LANアダプタ(802.11a/b/g)にも対応。テレビのそばにEthernet端子の無い家庭でも自由な設置が行なえるという。端子部は、従来のSTBはS映像とコンポジット、アナログ音声出力のみだったが、新モデルではD1、S映像、コンポジット、光デジタル音声、アナログ音声を各1系統備えている。
ほかにも、GUIのデザイン変更や、カーソルの動きの高速化などを実施。「より家電ライクなGUIになる」という。さらに筐体を小型化。リモコンも、項目選択/決定ボタンと、再生/早送り/巻き戻しなどの再生系ボタンを分離させ、家電の操作性を意識したものになっている。 なお、2世代機の投入時期は未定だが「秋頃には完成させたい」とのこと。また、既存のSTBとの置き換えや価格については「現在のSTBは買い取りのみ(購入料金は4th MEDIAが負担)だが、レンタルなども想定している。いずれにしてもユーザーに負担のかからない方式にしたい」とのこと。また、HD放送の実施や、HD対応のSTBについては「技術的に固まっていない部分もあり、2世代機では対応しない。イメージとしては第3、もしくは第3.5世代機でサポートしたい」という。
■ 「セリエA」所属7チームの主催試合をIP放送/VOD提供 コンテンツ面では、ぷららネットワークスがMedia Partners & Silvaから、イタリア「セリエA」所属の7チームの主催試合について、2005~2006と、2006~2007の2シーズンに渡るIP放映権を取得したことを明らかにした。 また、IP放送権だけでなく、7チーム中5チームに関しては日本国内における地上波/BS/CSを含めた独占テレビ放映権もブロードバンド映像配信事業者として初めて取得した。なお、権利はチーム数であり、具体的な5チームは現在のところ決定していない。 放映権を取得したのは「メッシーナ」(柳沢敦所属)、「レッチェ」、「カリアリ」、「ラツィオ」、「フィオレンティーナ」(中田英寿所属)、「ジェノア」、「トリノ」の7チーム。さらに、7月28日から行なわれる「コカ・コーラACF フィオレンティーナ ジャパンツアー2005」や、イングランドの「FAカップ」、オランダの「エールディヴィジ」、Jリーグの配信も予定している。
これらの試合は、自社スタジオを介した生中継で放送されるほか、試合終了直後からVODコンテンツとしても提供。また、独自の編集を施したダイジェスト版も配信するという。なお、フィオレンティーナの日本ツアーについては全試合無料で生中継される予定。 サッカーコンテンツの獲得に注力している理由について中岡氏は「幅広い層から支持を集められるハリウッドメジャーと契約するのは当然のことだが、それ以降は独自のコンテンツが重要となる。そこで、特に人気のあるサッカーを主要コンテンツの1つとして考え、収集している」と説明。
また、テレビ放映権も含めて取得したことについては「4th MEDIAとして、テレビ局と対立するつもりはない。よって、テレビ局の方からサブライセンス契約の話があれば随時対応したいと思っている。しかし、同業であるIP放送事業者との契約は現時点では難しい」と語った。
□ぷららのホームページ
(2005年7月1日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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