|
株式会社電通は、デジタルビデオレコーダ(DVR)がテレビ視聴に与える影響についての調査結果を発表。DVRのデジタル録画によるCMスキップの問題はあるが、DVRによりテレビ視聴時間の増加というポジティブな影響ももたらしているという。 調査は2004年2月からビデオリサーチとの共同で行なっているほか、電通オリジナルパネルの4,621人で調査。さらに2004年11月より毎月実施しているCM認知率分析などの複合的な調査から分析、検討を行なっている。また、米国や英国の実態調査なども同時に行ない、各国の放送、録画事情についてもテレビ広告への影響を中心に分析している。 現在の国内デジタルビデオレコーダの世帯普及率は約15%。今後、9割近い世帯普及率を実現したVTRと同様のレベルまで普及すると予測している。 DVRの所有世帯と非所有世帯でのライブ視聴状況を比較したところ、非所有世帯を100%とし、DVR所有世帯は93.4%(平日)/94.8%(休日)となり、DVR所有者でも9割以上をライブ放送を見ている。DVRの世帯普及数が15%程度であることから、「この差異が現行テレビ広告ビジネスに与える影響はごく軽微」としている。 しかし、DVRの使用には世代差が見られ、35才以上ではDVRの利用者が非利用者のテレビ視聴時間を上回るのに対し、12~34才ではDVR利用者が非利用者のテレビ視聴時間を下回っている。同社では、「若年層はDVRを使いこなし、タイムシフト化を進めているのに対し、35~59才層はもともとテレビ好きな人が他者に先駆けて導入したと考えられる」と分析している。 現在の導入ユーザーについては、「先端技術を積極的に取り入れる典型的なアーリーアダプタではなく、情報感度が高い人」と分析。導入ユーザーは、「広告に対する態度も平均より好意的で、新聞/雑誌の接触も多い、特にテレビ情報誌の接触率が高い」とする。 また、広告価値の観点からは、「レコーダ導入により、CMスキップでCM接触機会が減少し、CM認知率も減少する」との懸念も示されているが、CM認知率調査では、ほぼ全ての事例でDVR所有者のほうが、非所有者より高い認知率を示したという。この結果について同社では、「情報感度が高い、テレビ好きという、DVRユーザー特性に起因すると考えられ、DVRがそのままCM効果の低下につながることは無いといえる。むしろDVRユーザーこそCMメッセージを浸透させる上で効率的なターゲット・グループと考えることもできる」と分析している。 また、過去7年間の家庭内メディア接触時間の推移を見ると、インターネットが飛躍的に伸びているほか、テレビの視聴時間も8.7分伸びて、一日あたり208.3分となっている。これは、テレビを見ながらPCでインターネットを利用したり、携帯電話でメールを送るなどの「ダブルスクリーン現象」が一般化しているためで、「テレビの圧倒的リーチ力は変わっていない」とする。 DVRにはCMスキップボタンのようにCM効果を低減させる機能も搭載しているため、「日本においてテレビ広告を取り巻く環境は厳しいのは事実」という。しかし、「調査ではDVR導入により、ライブ視聴を含むテレビ視聴時間の増加傾向が確認され、CM認知率もDVR所有者のほうが高いことが明らかになった。現時点ではDVRはテレビへの接触機会を増加させる装置であると考えられる」と分析し、DVRが与えるテレビ広告へのプラス面も評価している。 □電通のホームページ (2005年7月19日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|