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ドルビー、“5.1ch以降”のホームシアター音響を解説
-デジタルシネマを忠実にホームシアターで再現


8月1日発表


 ドルビーラボラトリーズインターナショナルサービスインク日本支社は1日、同社技術の最新動向を紹介するプレス向け説明会を開催。次世代光ディスク向けのドルビーデジタル プラスや、次世代ホームシアター音響のコンセプトなどについて紹介した。


■ DD+とMLPを推進

松浦亮統括ディレクター サービス・マーケティング担当

 次世代光ディスク向けのドルビーデジタルプラス(DD+)やDVDオーディオで利用されているMLPについて、同社統括ディレクター サービス・マーケティング担当の松浦亮氏が解説した。

 次世代光ディスクでは、HD DVDについては、ドルビーデジタル(DD)に加え、DD+が必須コーデック。MLPも2chが必須コーデックとなっている。一方のBlu-rayでは、DDが必須で、DD+、MLPがオプション扱いとなる。

 DD+のビットレートは32kbps~6Mbpsで、最大チャンネル数は13.1ch。5.1ch以上のチャンネル数を実現するため、サブストリーム構成を採用し、Independent Substream(IS)と呼ばれる、単独でデコード可能なサブストリームと、ISの追加チャンネル情報となるDependent Substream(DS)を用意。柔軟な拡張性を実現している。


Dolbyの3つのコーデック技術 次世代ディスクでのコーデック採用状況 7.1chデコーダ構成例

 さらに、複数のオーディオデータを同時に再生するオーディオミキシングの機能もサポートする。DD+デコーダでは、DDへのダウンコンバート機能が必須となるため、DD+対応のプレーヤーなどがあれば、640kbpsのDDにコンバートしてAVアンプに出力できる。

 DD+のビットストリームはHDMIもしくはIEEE 1394のみでS/PDIFでは転送できない。また、DD+デコーダ搭載のAVアンプの発売については「2006年末から2007年初頭の見込み」という。

DD+の互換性について MLPの映画での利用イメージ


■ 次世代プレーヤー、AVアンプの役割が大きく変わる?

最大16chを利用可能なデジタルシネマの音響

 松浦氏が特に力を入れて解説したのは、HD DVD/Blu-rayといった次世代光ディスク用プレーヤー、AVアンプでデジタル伝送の考え方が変化するという点。松浦氏によれば、次世代のプレーヤー/AVアンプでは、従来のように伝送されたビットストリームを、デコードして出力するだけでなく、より大幅に機能拡張される可能性があるという。

 HD DVD/Blu-rayでは、デジタルシネマの16ch音声をホームシアターに継承することを音響設計のベースと考えており、現在では8ch(7.1ch)のサポートが予定されている。しかし、このホームシアター向けのスピーカー構成については、5.1chを基本とするものの、7.1chでどういった構成を取るのか、という点についての定義は行なわれていないという。

 デジタルシネマの16chを定義したSMPTEのRP 225文書では、スタンダードな5.1chに加え、L/Rリアサラウンド、L/Rサラウンドダイレクト、L/Rセンター、L/Rワイド、垂直方向に拡張するL/R Vertical Height、Center Virtical Hegiht、センターサラウンド、天井スピーカーのトップサラウンド、2基のサブウーファなどが定義されている。この中から、どのスピーカーが使われるかについては、実際に映画で誰かが使うまではわからず、また、作品によって使用するチャンネルが変わる可能性もあるという。

RP 226文書で定義されたチャンネル名称 5.1ch以上をどう使うかがデジタルシネマ/次世代光ディスクのテーマに 次世代のホームシアターでは、7.1chだけで7つの可能性が

 デジタルシネマのスピーカー構成をベースに7.1chホームシアターに落とし込むと、同様に5.1chを基本としながらも、残りの2チャンネルの出力の扱いが、L/Rリアサラウンドの場合や、天井スピーカーと垂直方向のセンターなどさまざまな7.1ch構成ができてしまう。そのため、記録チャンネルと実際の出力設定が一致した場合は問題ないが、記録チャンネルと出力設定が一致しない場合は5.1chでしか再生できなくなってしまう。

 こうした状況に対応すべく、映像ソースのチャンネル構成を各シアターのチャンネル構成に自在に適応せる機能を検討、開発しているという。例えば、5.1ch+L/Rリアサラウンドの7.1ch環境で、5.1ch+上方L/Rフロントスピーカーの7.1ch音声信号が入力される場合に、5.1chスピーカーを利用しながら、上部L/Rフロントスピーカーの情報をAVアンプで生成。その情報を各スピーカーに割り当てて、擬似的に7.1ch再生するなどの仕組みをAVアンプに取り入れる。

 ダウンミックスのみならずアップミックスによる8ch以上の拡張も可能となる見込み。具体的な手法については確定していないが、プロロジックIIxやドルビーバーチャルスピーカーのノウハウを生かし、製作意図に近い環境をアンプ側で生成して再生するといったシステムを想定しているという。

プレーヤー側で出力設定を再生システムにあわせる ディスクの記録チャンネルと出力設定が一致しない場合、バーチャルなチャンネルをアンプ側で生成して再生する 次なるドルビーの一手

□ドルビーのホームページ
http://www.dolby.co.jp/
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(2005年8月1日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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