総務省、‘03年のコンテンツ制作/流通の実態調査を実施 －音楽・映像などのネットワーク配信市場拡大が鍵

　各メディア事業の統計データを「ソフト」の内訳別に再編し、そこからソフト市場を推計。コンテンツ制作・流通のトレンドを包括的に把握しようというもの。具体的には、メディア全体を映像系、音声系、テキスト系の3つに大分。個別の伸張・縮小傾向を把握すると同時に、ソフトの一次利用、二次利用(マルチユース)の市場についても分析。さらに、2003年度分に関しては進展が著しいネットワークでの流通に焦点を置いた分析も行なっている。

■ 市場規模

　2003年のメディア・ソフト市場全体の規模は2002年より437億円増となる10兆8,604億円。2003年の規模は2000年から約1,000億円、96年からの6年間では約7,000億円縮小していたが、2003年は増加に転じた。

　分野別では、映画、ビデオ、テレビ番組(地上・衛星・CATV)、ゲームなどを含む映像系が前年比2.5%増の4兆9,184億円と堅調。2003年までの3年間、年平均約1,000億円ずつ拡大している。中でも映画ソフトが前年比5.7%増の8,543億円、衛星テレビ番組が11.4%増の5,625億円、CATV番組が8.3%増の67億円と好調だった。

　反面、テキスト系や音声系ソフトの市場は縮小傾向にあり、音声系は前年比1.5%減の9,317億円、テキスト系は1.2%減の5兆103億円となった。しかし、テキスト系のデータベース記事は12.5%増の2,540億円と急成長している。

	金額	‘02年比	‘00年比
映像系	4兆9,184億円	+2.5%	+7.2%
音声系	9,317億円	-1.5%	-9.8%
テキスト系	5兆103億円	-1.2%	-5.5%

　利用体制については、一次流通市場が前年比1.7%減の8兆7,410億円と引き続き縮小。反面、二次利用(マルチユース)は同10%増の2兆1,194億円と拡大を続けている。なお、ソフト別の構成比では、一時流通市場では地上テレビ番組(約29%)と新聞記事(約23%)が大きく、マルチユース市場では映画ソフト(約31%)、衛星テレビ番組(約14%)の割合が大きい。

　また、インターネットや携帯電話、通信カラオケなどを通じて流通する「通信系ソフト」に注目すると、その市場規模は2000年と比べて83.5%、2002年から34.9%増加した5,368億円。中でも増加率では映像系ソフトの前年の2.2倍と最も大きい。市場規模では音楽ソフト(着メロ・着うたなど)が1,544億円と同18.9%増、ゲームソフト(オンラインゲームなど)が583億円と同66.4%増になっている。

　こうした結果を受けて総務省は、「メディア・ソフト市場の振興はマルチユース市場の拡大が鍵になる。特に、ブロードバンド化が進む日本では、新たな市場であるネットワーク流通市場の拡大がキーポイント」と分析。「ゲームや音楽流通のネットワーク・シフトの加速や、映像配信の今後の進展に注目」としている。

■ 制作費用・量

　制作金額は3兆8,705億円で、映像系はほぼ前年と同額の2兆2,168億円、音声(3,417億円)、テキスト系(1兆3,120億円)は微減となった。割合では、地上テレビ番組が46%、新聞記事が21%を占めている。

　制作量については、音声系が前年の71.3万時間から73.3万時間に増加。映像系は89.8万時間から79.4万時間へ減少している。また、視聴・消費した量を示す流量では、音声系が304億時間から277億時間へ減少したが、そのほかの映像系、テキスト系は増加している。

□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050729_10.html
□関連記事
【1月28日】総務省、コンテンツ制作/流通に関する実態調査を実施
－コンテンツ市場の拡大はネットワーク市場の成長が鍵
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050128/soumu.htm

(2005年8月1日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]

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