|
10月8日からMBS/TBS系全国ネットにて放送予定のテレビアニメ「BLOOD+」(ブラッドプラス)。その製作発表会が25日、東京・銀座のソニービルで行なわれた。アニプレックスによるDVD/UMDビデオ化や、SCEJによるゲーム化、AIIの無料ネット配信などの計画が発表されたほか、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼CEOもビデオメッセージを寄せるなど、ソニーグループ全体がバックアップする同プロジェクトの全容が明らかになった。 テレビアニメシリーズ「BLOOD+」は、2000年に公開された劇場用の短編アニメ映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を源流とした作品。テレビ版も劇場版と同様に、プロダクション I.Gが制作を担当している。1話30分で、全52話を予定。 テレビ版は、映画版の「小夜という少女が刀を持ち、翼種(異形の生物)と戦う」という大まかな設定を踏襲しながらも、物語の舞台を‘66年の横田基地から、現代の沖縄に以降。1年以上前の記憶を失っている女子高生・音無小夜が、謎の多いチェロ奏者の青年・ハジと出会い、日本刀を手渡されたことで、彼女に架せられた宿命の歯車が回りはじめる……という物語。なお、詳しくは製作発表会のレポートで紹介している。
放送枠は「ガンダムSEED」、「鋼の錬金術師」、「ガンダムSEED DESTINY」とヒット作が数多く出している土曜日の夕方6時。これらの作品でプロデューサーや企画を担当した毎日放送の竹田靑滋氏が引き続き同作品のプロデューサーを務めている。
■ アニメファンを外へ出す
冒頭、挨拶に立った竹田氏は「ガンダムSEEDは、21世紀におけるファーストガンダムとして、富野監督の初代ガンダムを意識して戦争などをテーマとして扱った。鋼の錬金術師では技術が暴走することの怖さを訴えた」と振り返った後、「BLOOD+では、現代の日本を舞台に、きな臭い現代を理解するためにも、戦争をより身近なものとして説教臭くならないよう子供達に伝えたい。それと同時に、アメリカとは何か? も描いていきたい」と抱負を語る。
また、違う目標として「日本では、“アニメが好きだ”というのが格好が悪いことのように思われている。家に引き篭もっているようなイメージを払拭していきたい」とし、7月30日に大阪城公園で実施したライヴイベント「MBS ANIME FES.‘05 ~大阪城エクスペリメント~」を紹介。
CHEMISTRY、TMレボリューション、YeLLOW Generationなどのアーティストが出演し、多くのファンが集まった実績を振り返り「外に出てアニメを楽しんでもらうイベントを今後も積極的に行なっていきたい」と語り、具体的な計画として10月1日に東京国際フォーラムにて、「SEED DESTINY」の最終回リアルタイム上映と、「BLOOD+」第1話の先行試写を続けて行なうリレーイベントの計画を明らかにした。
■ 劇場版「BLOOD THE LAST VAMPIRE」がUMDビデオ化
具体的な商品展開説明の前に、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼CEOのビデオメッセージを上映。同氏はグループ各社がひとつの組織として連携し、世界の消費者に最初に選んでもらえるブランドになろうというスローガン「ソニー・ユナイテッド」を紹介した後、「その信条を具現化したのがBLOOD+プロジェクトだ」と説明。 「BLOOD+の映像や音楽、ゲームをソニーのあらゆる機器を用いて、様々な場所で楽しんでもらうため、ソニーグループは総力をあげて支援する」と決意を表明した。さらに、「個人的にも前作の劇場版“BLOOD THE LAST VAMPIRE”は大好きなアニメのひとつ。それがテレビシリーズとなって甦ることに興奮と感動を覚える」と笑顔で語った。
その後、アニプレックスの竹内成和社長が登壇し、パッケージ化の計画を説明。「SEED、鋼の錬金術師、SEED DESTINYのDVDなど、パッケージソフトは、そのほかのアニメと比べ、いずれも大きな売上げを記録している。BLOOD+のソフトも、それ以上のセールスを目指している」と語り、同作品のDVD化やUMDビデオ化、海外展開の可能性なども示唆した。
なお、これに先駆けて、劇場版の「BLOOD THE LAST VAMPIRE」がUMDビデオ化される。タイトルは「BLOODTHE LAST VAMPIRE デジタルマスター版」(ANSU-2151)。発売は9月28日。本編と特典ディスクの2枚組みで、特典ディスクにはBLOOD+のメイキングを約20分収録。さらに、14ページのブックレットも同梱する。価格は3,990円。10月31日までの期間限定生産となっている。
■ 放送日の24時からネットで無料配信
さらに、ソニーグループの動画配信会社AIIの大塚博正社長は、BLOOD+を、テレビアニメ放送日の24時から1週間、同話を無料で配信する計画を明らかにした。AIIの無料会員登録を行なうと、放送当日の24時から同週のアニメが1週間無料で視聴できる。さらに、月額210円の有料会員サービス「Screenplus」も用意しており、同会員は公開から1週間以上が経過した放送済みの本編を1話210円で3日間視聴できるという。 また、無料配信の配信帯域は500kbpsだが、Screenplus会員には1Mbps/2Mbpsの帯域も用意。より高画質で観賞できる。なお、先行会員登録キャンペーンとして8月25日から10月8日までに登録すると、先行映像が無料で視聴でき、各種プレゼントへの応募も行なえる。
ほかにも、SCEIのスタジオ第2制作部部長・山元哲治氏がゲーム化を発表。「発売日や内容など詳しい情報は来年まで言うなと口止めされていますが、プレイステーション 2とUMDでゲームをリリースする予定」だという。
ソニー・ミュージックエンタテインメントの北川直樹コーポレイト・エグゼクティブは、オープニングテーマを高橋瞳さんが歌うことを発表。新人ながらSEED DESTINYの主題歌を担当し、オリコン初登場1位を獲得した実績の持ち主。 北川氏は「SMEはこれまで、SEED、鋼の錬金術師など、土曜日6時に放送されたアニメのオープニング、エンディングを手掛けてきたが、使われた曲でオリコン初登場1位が4曲、2位が4曲という結果を残している」と説明。理由について「アーティストがアニメや原作をしっかり見て、その世界観やメッセージに沿った楽曲を作った。また、クール毎に音楽を変更し、1年間で8組のアーティストを起用。これにより、新鮮で作品のファンに受け入れられる楽曲を生み出してきた。これはアニメソングの常識を破るものだ」と振り返った。
また、音楽を手がけるのは、「ラスト・サムライ」や「グラディエーター」など、ハリウッド映画を数多く手掛けているハンス・ジマー氏と、「スピード2」や「バット・ボーイズ」などの音楽で知られるマーク・マンシーナ氏が担当。両氏もビデオメッセージを寄せた。
■ 主人公には現役の女子高生声優が抜擢
最後に、監督とシリーズ構成を担当する藤咲淳一氏と、音無小夜役の喜多村英梨さん、ハジ役の小西克幸さん、宮城カイ役の吉野裕行さんが登場。藤咲監督は沖縄取材時に、米軍基地とフェンス1枚隔てて暮らしている子供達と出会ったことを語り「今だからこそ戦争というものを描きたい。テレビアニメで壮大な戦争シーンを描くのは難しいが、より身近な戦争は描けると考えている」と構想を語った。 主人公の小夜と同じ女子高生で声優の喜多村さんは、劇場版からのBLOODファンとのこと。「こんな大プロジェクトに参加できて、ドッキリなんじゃないかと今でも思っています。ホラー系が好きなのでBLOODはツボにハマッた作品。そのテレビアニメ版ということで、精一杯頑張りたい」と抱負を語った。
謎の多いチェロ奏者ハジを演じる小西さんは「まだアフレコが始まっていないので、自分にとってもハジは謎だらけの存在。これから深く関わっていきたい」と語る。記憶を無くした小夜が身を寄せる家の少年・宮城カイ役の吉野さんは「カイは、おそらく戦いに巻き込まれていく側の人間。自分もアフレコ現場で戦いたい」と熱意を見せた。なお、アフレコは約2週間後から開始されるという。
□BLOOD+の公式ホームページ
(2005年8月25日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|