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松下、第2四半期はAVC/家電が過去最高の利益率
-中村社長「‘08年には、1インチ5,000円のPDPを」


中村邦夫社長

10月28日発表


 松下電器産業株式会社は28日、2005年度上半期(4~9月)の連結決算を発表。売上高は前年同期比1%減の4兆2,592億円、営業利益は9%増の1,711億円、税引前利益は12%増の1,541億円、当期純利益は15%増の644億円と、減収増益となった。

 中村邦夫社長は、「売上げ、利益ともに7月末時点の公表見通しを上回っており、上期ベースでは4年連続での増益。第2四半期の営業利益率は5.7%になっている。プラズマテレビ、デジタルカメラ、エアコンなど、当社ならではの特徴を持った製品が市場に受け入れられている。開発、製造、販売のそれぞれの部門が、良い製品を開発し、垂直立ち上げで販売するという、グループのパワーを発揮できる体制が出来上がっている」と総括した。

第2四半期の営業利益率は5.7% 上期の連結決算概要


■デジタル家電が好調の一方、携帯電話事業の低迷が響く

 国内では、特にデジタル家電製品が前年同期比14%増、白物家電では3%増といずれも業界平均を上回る実績となった。V商品も、57品目で6,212億円を売り上げ、利益拡大に貢献した。

 だが、「5.7%の利益率は、あくまでも瞬間風速である。構造改革や固定費の圧縮を、まだまだ継続的に行なう必要がある。デジタル家電などで、特徴を持った製品を投入していく。また、これを世界同時立ち上げによって、新製品を一気に収益に結びつけていく。工場に関しても、ネクストセル方式を導入し、生産性の高い工場を日本で確立したい。原油高、原料高、市場の価格競争の激化もあり、オセロ型のデジタル競争が始まっている。窮地は脱したが、まだ危機は続いており、2006年度の営業利益率5%に向けて、競争に立ち向かっていきたい」とした。

 川上徹也取締役専務も「下期の経営の不透明感を鑑み、2005年の通期見通しは第3四半期発表時に見直す」と慎重な姿勢を見せた。

国内ではデジタル家電が好調 V商品は57品目で6,212億円を売り上げ、利益拡大に貢献

 AVCネットワークは、前年並の1兆8,818億円、営業利益は24%増の848億円。PDPテレビやデジタルカメラの好調が携帯電話の不調をカバーできなかったものの、「パナソニック製品の領域は、業界全体では1%減であるのに対し、当社は8%増となっている」(川上取締役専務)という。中でも、第2四半期の実績は、営業利益率で5.8%と、第1四半期の3.1%から大きく伸ばした。

第2四半期の実績は、営業利益率で5.8%と、第1四半期の3.1%から大きく伸びた

 同ドメインの主要会社別の業績では、携帯電話事業を担当するパナソニックモバイルコミュニケーションズが売上高で15%減の2,464億円、営業損失ではマイナス53億円の赤字となった。

 携帯電話事業に関しては、「今年度の課題事業として、携帯電話、日本ビクター、電池工業の3つを挙げたが、携帯電話事業は足踏み状態。これをどうするか検討している。2010年には第4世代の携帯電話へと移行し、ユビキタスをモバイルの観点から実現する、高速、大容量の重要なデバイスとなる。2006年から事業を回復させ、2010年に向かって、新たな技術開発に投資したい」(中村社長)として、事業縮小などの意向などがないことを示した。

 また、業績が不振な日本ビクターに関しては、「リストラと、集中と選択を推進しており、2006年からは立ち上がってくる」とした。

 一方、デジタル家電などを担当するパナソニックAVCネットワークス社は、売上高が前年比6%増の7,258億円、営業利益は44%増の280億円となった。営業利益率は5.3%で、収益性が低いといわれるテジタル家電分野において、5%を超える過去最高の利益率を記録したという。

上期の主要ドメイン会社の概況 第2四半期の概況

 主要製品別では、テレビは前年比14%増の3,917億円、うちPDPテレビは81%増の1,833億円、DVDレコーダおよびDVDプレーヤーは4%減の499億円、音響機器は18%減の919億円、パソコンが含まれる情報機器は9%増の6,168億円、通信機器は13%減の3,862億円。通信機器のうち携帯電話は23%減の1,998億円となった。

 中村社長は、「PDPは電機メーカーの顔であり、きちっと収益をとっていかなくてはならない事業。事業は倍々で成長しており、コスト競争力にも自信がある。2008年には1インチ5,000円を達成したい」とした。

 だが、その一方で、「PDPは、これから普及期に入る製品であり、シェアを安定させるには2、3年かかる。言い方は過激かもしれないが、いまは消耗戦の段階にあり、プラズマテレビでしっかりと40%のシェアをとっていく。安閑としてはいられない」とした。

 白物家電などが含まれるアプライアンスは、売上高が19%減の6,037億円、営業利益は5%増の395億円となった。第2四半期は、7.4%の営業利益率となり、これも過去最高の利益率となった。エアコンでは、松下電工とのコラボレーションによって、新たに住設、電材ルートでの販売が増加、2桁成長となり、トップシェアを奪還したという。川上専務は、「ひとり勝ちの状況とはいえ、手はゆるめない」とした。

 デバイスは、売上高が14%減の6,808億円、営業利益は15%減の337億円。第1四半期の低迷が影響しているが、第2四半期の営業利益率は、第1四半期の1.7%から大きく改善し、8.0%となった。

プラズマテレビのシェア状況 アプライアンスは過去最高の利益率となった 川上徹也取締役専務


□松下電器のホームページ
http://panasonic.co.jp/
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn051028-1/jn051028-1.html?ref=news
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(2005年10月28日)

[Reported by 大河原克行]


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