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文化庁は1日、第10回・文化審議会著作権分科会法制問題小委員会を開催。検討課題であったiPodなどのHDD内蔵型オーディオ機器などを、私的録音補償金制度の対象とするか否かの結論を先送りし、課金を見送るという、前回の報告書案とほぼ同じ内容の報告書がとりまとめられ、委員の了承を得た。 著作権分科会では、HDDオーディオプレーヤーなどの追加指定に関して検討を行なっていたが、既報の通り11月11日に行なわれた第9回の会議において、課金を見送ることを決定。今回まとめられた報告書も、原則として第9回の内容に沿ったものとなった。 報告書の概要は、HDD内蔵型オーディオ機器は汎用性を持つものの、音楽の録音・再生を最大のセールスポイントとして販売・購入されているため、補償金制度の対象に指定することは「不可能ではない」とする。 しかし、現在の補償金制度自体に様々な問題が指摘されていることを考慮。問題点を抱えたまま、新たな指定を行なうことは危険と判断し、「現時点で指定を行なうことは適切ではないと思科する」と結論づけた。また、来年以降、補償金制度の廃止や骨組みの見直しも視野に入れた抜本的な検討が必要としている。 なお、11月に発表された報告書案では、委員会とは別に検討の場を設け「ユーザーや関係者が参加した形で検討することが適切」としていた。しかし、「別の検討の場を設けることを、委員会の場で決める必要はない」という意見があり、最終的な報告書から前述の一文は省かれることになった。ただし、別途場を設けるというアイデアは存続しており、開催時期など、具体的な事柄に関しても今後話し合いを進めていくとしている。
■JEITAが歓迎のコメント また、報告書の了承を受け、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)はコメントを発表した。 JEITAは「私的録音録画補償金制度は多くの問題を抱えており、制度自体の縮小・廃止に向けた抜本的な見直しが必要であると主張してきた」と説明。さらに、「音楽配信サービスのように、技術で利用をコントロールし、ユーザーから直接対価を徴収するビジネスも登場している。このような状況で現行制度の対象を拡大することは、制度が抱える問題を増幅させる」とし、HDD内蔵プレーヤーを制度の対象とすることに反対する従来の姿勢を強調。報告書を支持した。
そのうえで「今後は抜本的検討を含め、コンテンツビジネス発展のための諸課題を解決するため、関係者が建設的な議論を行なうべき」とし、JEITA今後の検討に積極的に参加する意思を表明している。
□文化庁のホームページ
(2005年12月1日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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