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三洋電機株式会社は21日、11月に発表した経営再建計画にて明らかにされた資本増強について、ゴールドマン・サックス・グループ、および株式会社三井住友銀行、大和證券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ株式会社(大和証券SMBCPI)を引き受け先とした、3,000億円の第三者割当増資を実施すると発表した。 同社は2005年度上半期の連結業績で、純利益が2,330億円の赤字予想となった。これを受けて、事業の選択・集中を柱とした中期経営計画を発表。総合家電メーカーから脱却し、二次電池などの得意分野に注力。TV事業では「アジアの世界的な電子機器メーカー」との提携など、大幅な再建を実施。2006年1月末までに1万人のリストラを行なうことなどを決めている。 その際、構造改革やコア事業への設備投資などを行なうために、3,000億円規模の資本増強を検討していることを発表。今回、三洋が3,000億円の優先株式を発行し、大和証券SMBCPIと、ゴールドマン・サックス、三井住友銀行がこれを引き受けることで基本合意に達した。 内訳は、大和証券SMBCPIとゴールドマン・サックスへ各1,250億円を、三井住友銀行へ500億円を割り当てる予定。2006年2月下旬に開催される臨時株主総会において正式に決定される。
■ 経営責任の明確化はこれから
前田孝一副社長は、大規模な増資について「2006年3月期の自己資本率は低下が予想されていたが、これで約17%まで回復する。人員削減に関する諸費用や設備投資などを行なう際にも資本が重要になる。これで、V字回復に向けた発射台の準備が整った」と説明。 さらに、「ソニーや松下に色々な事が起こっても、信頼が揺るがないのは資本の確かさがあるから」とし、財務基板の安定が中期経営計画の重要な要素だとした。 また、経営責任の問題については「現在は経営再建に向けて全社が一丸となって進んでいる状態」とし、人事面での具体的な動きを否定。しかし「今回ゴールドマン・サックスなど、株式を引き受ける3社から取締役などの役員が派遣される可能性はあり、そうした話し合いは行なわれている」とした。 野中ともよ会長の進退については「現在のところ、何も決まってはいない。経営再建に向けて邁進することで手一杯の状況」だという。しかし、前田氏は個人的な意見として「会長が就任してからまだ半年ほどしか経っていない。今後の経営計画の推移も踏まえて、見てもらいたいという気持ちはある」と語った。
最後に、前田氏は「家電メーカーは戦後の高度成長を支え、日本の基幹産業と言って良い。また、三洋には関西の総合家電企業としての社会的責任もあり、従業員の家族も入れれば100万人レベルの生活がかかっている。それゆえ、絶対に立ち直るべき企業だと思っている」と付け加えた。
□三洋電機のホームページ
(2005年12月21日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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