|
次世代光ディスク規格として「HD DVD」を推進するHD DVDプロモーショングループは4日(現地時間)、2006 International CESにおいてプレスカンファレンスを開催。各スタジオがパッケージソフトの市場投入タイトルとそのスケジュールを発表したほか、MicrosoftやIntelが、HD DVDへの強力な支持を表明した。
東芝執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長 藤井美英氏は、3月に実売799.99ドルの「HD-XA1」と499.99ドルの「HD-A1」の2モデルのHD DVDプレーヤーを発表することを紹介。 「HD DVDはもはやプロトタイプでもスローガンではなく、明白な現実だ。家電業界や映画業界、IT、小売りなどの業界で高い評価を得ており、HD映像普及の推進力となる」と、3月の発売に向けての体制作りが進んでいることをアピールした。 具体的なHD DVDタイトルについては、Warner Home Video(WHV)が3月28日より、Batman Begins、Constantine、Million Dollar Baby、Phantom of the Opera、Twisterを発売、さらに、6月に向けて合計32タイトルを投入する。Universal Picturesは6月までに、Jarhead、40Year-Old Virgin、Bourne Supremacy、Van Helsingを、Paramountは、Aeon Flux、Sky Captain & the World of Tomorrow、The Italian Job、Tomb Raiderなどを発売し、6月までに約50のタイトルが揃う予定。 またMiramaxもHD DVDでのタイトルリリースを決定。、さらにフランスやイギリスなどを中心とした映画スタジオStudio CanalもHD DVDでのリリースを表明。Studio CanalはiHDによるインタラクティブ機能やVC-1の画質を選択の理由としてあげている。 参加企業の増加により、2006年のホリデーシーズンには200タイトルのラインナップを見込んでいるという。 □関連記事【1月5日】Warner、HD DVDで3月28日より24タイトルを発売 -ハリー・ポッター/T3/チャーリーとチョコレート工場 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060105/warner.htm 【1月5日】Universal、HD DVDタイトル第一弾10作品を3月から発売 -リディック、アポロ13、ヴァン・ヘルシングなど http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060105/univer.htm 【1月5日】Paramount、Blu-ray/HD DVDタイトル発表 -HD DVDで「Mission Impossible」トリロジー http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060105/param.htm
しかし、カンファレンスの中で目立ったのは、各スタジオよりも、MicrosoftとIntelの積極支持。Microsoftはエンターテインメント&デバイス部門プレジデントのロビー・バック氏がHD DVDの積極支持を表明するとともに、Xbox 360でHD DVDの外付けドライブを用意することを明らかにした。 ただし、価格や具体的な発売時期については言及せず、インターフェイスなどの詳細についても公表していない。Microsoft Senior Program ManagerのKevin Collins氏は、片面2層HD DVD/2層DVDのハイブリッドディスクを例に取り、下位互換性やコストの安さ、インタラクティブ機能などHD DVDの支持理由について言及。次世代のWindows Media Center Editionを用いたHD DVDの再生デモを実施した。
Managed Copyについても実演が行なわれた。Managed Copyは、Blu-rayとHD DVDで採用される著作権保護技術「AACS」の機能として用意されており、コンテンツホルダの定めた回数のHDDへのコピーなどをサポート。ネットワーク機能を利用した有償でのダビングライセンス販売なども見込まれている。実際にWindows PC上でHDDにコピーを行なうデモも披露された。 なお、Manged Copyの運用についてはAACSにおいて詳細が決定していないため、HD-XA1などの初代のHD DVDプレーヤーは暫定的な対応となり、後日のアップデートにより正式対応となる見込み。Managed Copy対応のHDD搭載レコーダや、PCについては春以降の発売が見込まれている。
Intel Digital Home GroupのDonald MacDonald副社長もHD DVDの支持を表明。CE向けの確立したプラットフォームの優位性や、同社のPCプラットフォーム「ViiV」やWindows Media Center Editionとの親和性、Managed Copyなどの特徴を理由に挙げ、Managed Copyについては、著作権を保護した合法的なコピーが海賊版の排除にもつながる、とアピールした。
同日には、パッケージメディア生産大手のメモリーテックがHD DVD-ROMの量産開始をアナウンス。また、東芝の他、Thomsonも同日に開催されたプレスカンファレンスにて、499ドルのHD DVDプレーヤー「HDV5000」を第2四半期に投入することを発表。HD DVD市場展開の準備が整いつつあることが確認できた。 ただし、今回のカンファレンスではWHVやParamountなどの大手スタジオの代表が集まったにもかかわらず、強力な支持を打ち出すスタジオはなく、結果的にIntelやMicrosoftの動きが目立ったのも事実。 東芝は、当初より10万円以下でのプレーヤー投入を予告していたが、「HD-XA1」の799ドルをはじめ、HD-A1の499ドルと、新規格プレーヤーの第1弾としては異例な低価格となった。「PLAYSTAION 3を全く意識しなかったわけではないが、実際にはゲームと映画はかなり異なる市場と考えている。発売の準備も整い、成功を確信している(東芝DM社藤井社長)」という。 また、HD-XA1/HD-A1はHDMIの1080i/720p出力に対応しているが、HD DVD-ROMの収録映像は、フィルムソースの場合は基本的に1080/24pで収録し、CGなどでは1080/60iなどで記録するという。そのため、HDMIの1080i/720p出力用にフラグを設定し、2-3プルダウンなどの処理を行なったのちディスプレイに出力する。 なお、HD DVD-ROMにおいては、2006年上旬に発売されるタイトルについては地域コードが付与されず、リージョンフリーとなる。しかし、地域コードによる再生制御を求めるスタジオも多いため、DVDフォーラムに新設された専用の部会において、検討を進めていく。
□2006 International CESのホームページ(英文) (2006年1月5日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|