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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は26日、デジタルAVコミュニケーション向けプラットフォーム「DaVinci(ダヴィンチ)」に関する製品群のサンプル出荷を開始したことを明らかにするとともに、2006年夏には、DaVinciプラットフォームに準拠した第1号製品が国内市場に投入される予定であることを公表した。 DaVinciプラットフォームは、デジタルAV機器の開発に最適化したオープンプラットフォームとして、プロセッサ、ソフトウェア、開発ツールなどで構成されるDSPベースのプラットフォーム。通信機能を介してデジタルAVコンテンツを共有する電子機器全般に活用できるものと位置づけている。機器メーカーは、このプラットフォームを採用することで開発期間の短縮や、開発コストを削減できるといったメリットがある。 中核となるDaVinciプロセッサは、DSPコア、ARMコア、アクセラレータ、ペリフェラルを統合したSoC(システムオンチップ)として提供され、2005年年12月からサンプル出荷を開始したものとして、TMS320DM6443およびTMS320DM6446がある。
TMS320DM6446プロセッサでは、DSPサブシステムとしてC64x DSP 600MHz Coreを搭載。「8命令での動作が可能なことから、RISCチップの4.8GHzと同等の処理が可能になる。他社と差別化した音づくり、画づくりができるプロセッサだといえる」(日本TI岡野明一執行役員戦略企画本部本部長)という。 また、開発ツールとしては、スタータツールや包括的な開発キット、リファレンス設計などのツールのほか、ARM/DSP統合開発環境、OSツール、DSPツールの提供によって、開発者は慣れた環境で開発を行いながら、DaVinciプラットフォームが利用できるという。すでに、DVEVMによるデジタルビデオ評価モジュールなどの提供が開始されている。 さらに、ソフトウェアとしては、OSやマルチメディアAPI、ミドルウェア、マルチメディアコーデックなどが提供される。H.264、MPEG-4、MPEG-2、AAC、WMAなどの各種コーデックにも対応したソフトウェアを日本TIだけでなく、パートナー会社から提供することで、幅広い圧縮規格への対応や、新たな規格にも迅速に対応できるようになるとしている。 「DaVinciの特徴は、DSPだけで600社以上のパートナーが存在し、幅広い規格をサポートできるプラットフォーム環境にあること。また、開発ツールの提供といった点でも高い実績があることだろう。DSPにおいて、50%以上という高いシェアを獲得しているのも開発環境の差が大きく影響したと認識している。また、携帯電話向けのOMAPにおいて、NTTドコモのFOMAで全面採用されたのは、プロセッサの高い競争力によるものだと考えている。今後、様々な機器がコンバージェンスするなかで、ソフトウェアが重視されるのは明らか。そのなかで競争力が高いプロセッサを有していることは大きな差別化になる。これまでの携帯電話やハイファイオーディオ機器での実績からも明らかなように、DSPをベースとしたDaVinciプラットフォームの強みは競争力の強いプロセッサと、多くのパートナーの存在、そして、評価の高い開発環境にある」(岡野執行役員)とした。
今後、同社では、DaVinciプラットフォームを、HD対応の高画質テレビをはじめ、車載インフォテイメント機器、IPセットトップボックス、監視カメラ、IPテレビ電話、ポータブルメディアプレーヤー、デジタルカメラ、医療用画像処理システムなどへと広げていく考えだという。 山崎俊行社長は、「2006年における日本TIの注力分野は、アナログ製品では、ポータブル・パワーマネジメント、フラットテレビ向けのAD/DAコンバータ、近距離無線向けRFなど、携帯電話向けでは、次世代携帯電話対応のOMAPアプリケーションプロセッサや、開発コードネームでHollywoodと呼ばれるシングルチップデジタルTVレシーバーなど、そして、最後にデジタル家電向けとして、オーディオアンプやコンバータ製品、DLPによるプロジェクタ製品がある。そうした中でも、これからキーになる製品のひとつが、DaVinciテクノロジーであり、ここにTIの特徴を発揮できる」とした。 □日本TIのホームページ (2006年1月27日) [Reported by 大河原克行]
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