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ユニデン株式会社は31日、3月30日に発表した液晶テレビとプラズマモニター、デジタルレコーダ、デジタルチューナなどの新製品を報道関係者に公開。今後の事業戦略なども含め、製品の説明会を開催した。いずれのモデルも直販の「ユニデンダイレクト」のみでの販売となっている。
いずれの製品もシンプルな機能と低価格が特徴。液晶テレビの42V/37V型は1,366×768ドットのパネルを採用。デジタルチューナは搭載しておらず、ゴーストリダクション機能付きの地上アナログチューナ1基のみ内蔵。HDMI端子を2系統備えている。 基本的なデザインは従来モデルを踏襲しており、筐体は光沢仕上げ。カラーはホワイトとブラックの2色を用意する。技術本部の上席執行役員板橋隆夫氏は「光沢仕上げはコストがかかる部分だが、液晶テレビの後発メーカーとして目を引くデザイン性の高さは妥協できない。購入者からの反響も上々」だという。
地上デジタルチューナの「DT100-HDMI」は。自社開発のシンプルなチューナ。BS/110度CSデジタル放送には対応していないが、送料込みで2万円を切る低価格が特徴。外形寸法も234×164×59mm(幅×奥行き×高さ)と小型だ。 板橋氏は「ユーザーに負担をかけずに、いかに地上デジタル放送の楽しさを提供できるかを考えたモデル」と説明。機能を最小限にすることでコストを抑えたほか、ユニデンの液晶テレビ以外との接続も想定。「他社の薄型テレビや、ブラウン管テレビなどを使っているユーザーに使ってもらいたい」という。
出力端子はHDMI、D4、S映像、コンポジットを各1系統、音声出力を2系統装備。光デジタル音声出力やi.LINK、Ethernetは搭載していない。また、EPG表示機能も備えていない。
なお、これらのモデルは企画、設計、開発、製造まで一環して同社が行なっている。パネルなどのキーデバイスは他社からの供給を受けているが「液晶テレビに関して言えば、スケーリングを司る部分のICに、ユニデン独自のプログラムを使用している」としている。
だが、開発スタッフの人員は数十人で、大手メーカーと比べると比較にならないほど少ない。「何もない所からテレビを作ることは難しく、競争の激しい薄型テレビ業界に最後発で参入したことも大きなハンデ。だが、開発スピードや、独自のコンセプト、開発/生産プラットフォームには自信がある。今後もユーザーやマーケットに驚きを与える製品を作りたい」と語る。
■ プラズマモニターとハイビジョンレコーダはパイオニアと共同開発 プラズマモニターとハイビジョンレコーダに関しては、パイオニアと共同開発したという。プラズマに関してはパネルを含むパーツの提供を受けているほか、ハイビジョンレコーダはパイオニアが2005年11月から販売している「DVR-DT70」とデザイン以外は、ほぼ同じもの。
「企画とデザインをユニデンが担当した」(板橋氏)とのことで、シルバーを基調としたカラーリングを採用。地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載しており、HDD容量は250GB。デジタル放送のMPEG-2 TS信号を約29時間録画できる。また、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)のGUI画面を搭載。HDMI出力端子も備えている。 プラズマモニターはアナログを含むチューナを搭載しておらず、セットモデルのハイビジョンレコーダをチューナとして利用することになる。1,024×768ドットのパネルを採用しており、2系統のHDMI入力を装備した。
プラズマをラインナップに加えた理由については「ユーザーからプラズマも欲しいという要望があり、選択肢の幅を広げたいと考えた」という。しかし、「今後は大型サイズをプラズマで展開しようというものではなく、あくまで選択肢の幅を広げるのが狙い。パイオニアとの共同開発モデルの今後の予定については、今回発売する42V型の反響を見ながら検討したいが、今後も面白い製品を届けられたらと思っている」としている。
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■ 「ユニデンなりの勝利を」
板橋氏は同社の製品コンセプトについて「全てのユーザーに無駄なく、高画質な映像や高音質を楽しんでもらうこと」と説明。その上で「大手メーカーの薄型テレビは、2画面表示や多チャンネル同時表示、独自のインデックス画面など、多機能化することで差別化している。しかし、それゆえチューナを増やしたり、メモリや回路をプラスする必要があり、コストも高くなる。また、実際にそうした付加機能も“あれば便利”というレベルで、家庭で頻繁に使われていない場合のほうが多い」と分析。 板橋氏はこうした多機能化を「セールス時に差別化としてアピールするための機能」と表現。「ユニデンのテレビではそうした機能を排除し、購入しやすい価格を実現する」という。さらに「ただ単に安いだけではなく、テレビの本質である画質は妥協しない。大手メーカーと比べて勝る画質とは言えないかもしれないが、決して劣らないレベルには達している」とし、自社製品に対する自信をみせた。
低価格ながらHDMI端子を備えるなど、同社の液晶テレビのコンセプトは2005年10月に発売された第1弾モデルから大きな注目を集めてきた。業績に関してユニデン・ディレクトインの菊地英雄常務執行役員は「10月以来、毎月3,000~4,000台のレベルで売れている。2006年に入ってからは若干減少しているが、ほぼ想定通り」と説明。サイズでは「37型を検討しつつ、結果的に32型を購入されるユーザーが多い」という。 今後のシェア目標については「特に発表していないが、10%などといった大きな数字を狙うのではなく、ユニデンとして黒字が出せるラインから逆算したシェアを目標としている。他社との競争というよりも、ユニデンなりの勝利を目指したい」と説明。販売方法についても「マージンが発生する量販店などでの販売も現在のところは予定していない。今後も直販で展開していく」という。
しかし、「実際に商品を見たいという声は多く、これまではイベント会場などで出展もしてきたが、今後は直営店の設置も考えている」という。また、「認知度という点では、ユニデンという会社はまったく知られていないと言ってもいい。しかし、技術力は製品クオリティの面では大手に劣らないと自負している。ブランド力は1~2年で手に入るものではないかもしれないが、直販というシステムはユニデンと言う名前を覚えてもらえるメリットもあると考えている」と事業戦略を語った。
□ユニデンのホームページ
(2006年3月31日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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