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シャープ株式会社は、2005年度連結決算を発表した。 売上高は前年比10.1%増の2兆7,971億円、営業利益は8.4%増の1,637億円、経常利益は7.4%増の1,508億円、当期純利益は15.4%増の886億円。売上高、利益ともに3年連続で過去最高を更新するという好決算となった。 部門別では、エレクトロニクス機器の売上高が前年比8.1%増の1兆7,428億円、営業利益が9.2%増の622億円となった。そのうち、液晶テレビを含むAV・通信機器の売上高は12.1%増の1兆912億円と初めて1兆円を突破。営業利益は10.6%増の357億円と、いずれも2桁増の好調な内容となった。 家電製品などの電化機器は、売上高が5.9%増の2,247億円、営業利益が3.0%増の21億円。パソコンなどの情報機器は売上高が0.1%増の4,268億円、営業利益が7.8%増の253億円となった。 一方、電子部品の売上高は前年比13.4%増の1兆3,580億円、営業利益は9.0%増の1,019億円。内訳は、LSIが売上高が3.6%減の1,904億円、営業利益が36.1%減の78億円。液晶の売上高は19.1%増の8,575億円、営業利益が22.6%増の681億円。太陽電池を含むその他電子部品の売上高が10.9%増の3,101億円、営業利益が1.2%増の258億円となった。 ■ 液晶テレビ好調、市場規模は1.8倍に拡大と予想
やはり、好調な決算を支えたのは液晶テレビの成長である。 液晶カラーテレビの売上高は前年比33%増の4,107億円。台数ベースでは国内が189万5,000台、海外が210万8,000台となり、国内外を含めて前年比47%増の400万3,000台となった。 シャープの佐治寛代表取締役副社長は、「放送のデジタル化や大画面、高精細化に対する要求が高く、とくにフルスペックハイビジョンに対する需要が旺盛。フルHDを量産できるメーカーは限られており、この強みを発揮していきたい。30型以上の出荷比率は38%であり、37型以上では14%となっている。これを2006年には30型以上を60%に、37型以上を26%に増やしたい」と、さらなる成長戦略に意欲を見せている。 シャープでは、2006年度の全世界の液晶テレビの市場規模を4,200万台と想定している。2005年度の2,360万台の市場規模から実に1.8倍に拡大すると見ているのだ。 これに対して、シャープの液晶テレビ事業は、「2006年度は、金額では33.9%増の5,500億円、台数では1.5倍となる600万台を目指す」と佐治副社長は語る。 600万台のうち、国内は240万台、海外は360万台。「とくに海外ではAQUOSブランドの強化に力を注ぐ。広告宣伝費を倍増する予定だ」としている。 台湾の液晶パネルメーカーから、パネルの一部調達を開始したことについては、「すでに3月から数万台単位で調達を開始している。ただし、年間何万台調達するかは未定。品質などを慎重に吟味しながら、調達量を考えていきたい」とした。 今年10月に稼働を予定している亀山第2工場に関しては、「ぜひ前倒しで稼働をさせたい」と前置きし、「もしかしたら、この決算会見で具体的な前倒し時期にも言及できるかもしれないと考えていたが、そこまでは明確にはできない。6月22日に予定している株主総会では、具体的な稼働時期を明らかにできるかもしれない。ただひとついえることは、遅くはならない」とコメント。第2工場の稼働時期が、計画の前倒しを前提として準備が進んでいることを明確に示した。 一方で問題とされているのが液晶テレビの価格下落の問題だが、「2006年度も2割から3割程度の価格下落があるだろう」と予測。ただし、「そのうち大画面化の進展によって、液晶テレビ事業に対する価格下落の影響は10%程度に留めたい。これを、亀山第2工場の稼働や高効率のバリューチェーン、材料価格の低減努力などによって、2桁以上のコストダウンを図ることで吸収する」とした。 同社の2005年度の設備投資額2,189億円のうち、液晶関連が1,480億円。2006年度は2,750億円のうち、1,940億円を液晶関連とする。 ■ 携帯事業も堅調、auへの製品供給も開始
また、携帯電話事業にも言及。ワンセグ放送対応機種を、今年6月からボーダフォン向けに投入し、ワールドカップ需要を狙うほか、今年度はドコモ、ボーダフォンに加えて、auにも製品供給を開始することに触れ、「ナンバーポータビリティ制度の導入を控え、特徴のある製品を作ることが求められている。国内での競争はますます激しくなるだろう」などとした。さらに、ウィルコムに提供しているW-ZERO3についても、「数10万台規模で、好調な売れ行きを見せている」とした。 ボーダフォンの経営体制が変わったことについては、「どういう要求がくるのはまったくわからないが、どんな要求にも対応できるように準備し、特徴のある製品を投入したい」とした。 シャープの携帯電話事業は、2005年度実績が前年比10.7%増の4,451億円。台数では18%増の1,182万台(うち国内808万台、海外374万台)。2006年度は5.6%増の4,700億円、台数では国内880万台、海外420万台の合計1,300万台を目標とした。 なお、パソコンに関しては、2005年度の売上高は前年比13.3%減の341億円。2006年度は2.4%増の350億円を目指す。 ■ 「2006年度は当期純利益1,000億円の節目に挑戦」
同社では、2006年度の連結業績予想も発表。売上高は前年比7.3%増の3兆円、営業利益は10.0%増の1,800億円、経常利益は12.7%増の1700億円、当期純利益は12.8%増の1,000億円とし、売上高、利益ともに4年連続での過去最高更新を目指す。 「売上高3兆円、最終利益1,000億円という節目に挑戦する」(佐治副社長)としている。 部門別では、エレクトロニクス機器の売上高が前年比9.7%増の1兆9,115億円、営業利益が10.8%増の690億円。そのうち、AV・通信機器の売上高は14.6%増の1兆2,505億円。営業利益は13.2%増の405億円。電化機器は、売上高が0.1%増の2,250億円、営業利益が39.2%増の30億円。情報機器は売上高が2.1%増の4,360億円、営業利益が4.7%増の255億円。 一方、電子部品の売上高は前年比11.6%増の1兆5,160億円、営業利益は9.4%増の1,115億円。そのうち、LSIの売上高が1.9%増の1,940億円、営業利益が1.5%増の80億円、液晶の売上高は14.3%増の9,800億円、営業利益が10.0%増の750億円、その他電子部品の売上高が10.3%増の3,420億円、営業利益が10.2%増の285億円とした。 □シャープのホームページ ( 2006年4月26日 ) [Reported by 大河原克行]
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