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ソニー、‘05年度決算は「BRAVIA」が好調
-赤字縮小。PS3は‘06年に600万台出荷予定


4月27日発表


 ソニーは27日、2005年度の連結決算を発表した。売上高は前年度比4.4%増の7兆4,754億円、営業利益は同67.9%増の1,913億円、税引き前利益は同82.1%増の2,863億円。当期純利益は同24.5%減の1,236億円となった。なお、持分法による投資利益は同54.6%減の132億円。これにともない、2006年度の連結業績見通しも上方修正されている。

2005年度の連結業績

 メインとなるエレクトロニクス分野の売上高は前年度比1.7%の増収で5兆1,505億円を記録。新ブランド「BRAVIA」として投入した液晶テレビが国内外で好調だったほか、液晶リアプロジェクションテレビも米国を中心に堅調な伸びを記録。しかし、ブラウン管テレビや新規開発を停止したプラズマテレビなどで減収。テレビ全体の売上げは同0.2%増の9,314億円となったが、営業利益は898億円の損失となった。

 それにともない、エレクトロニクス全体でも営業損失は309億円と黒字化はできなかった。しかし、2004年度の343億円の損失から33億円改善している。外部顧客向け売上げの減少や、固定資産の減損および除売却損の増加、製品単価下落にともなう原価率の悪化などが要因。しかし、ソニー厚生年金基金の代行返上益645億円と為替によるプラス影響により、損益改善に至ったという。

 液晶テレビが減益となったことについて執行役エグゼクティブバイスプレジデント兼CFOの大根田伸行氏は、「単価下落の影響を受けて減益になったが、現在は改善傾向にありる。価格下落の幅も落ち着いてきた感触もある。さらに、BRAVIA導入後は商品力の強化や大型化へのシフトも実現できた」と振り返る。黒字化についてはこれまでの計画通り、2006年下期での黒字化を予定している。

 また、製造工程については「今までは韓国のS-LCDで生産したパネルを日本に持ってきて組み立てて出荷していたが、今後、海外向けモデルに関しては韓国で製造まで行なう体制にしたい」という。

 液晶テレビの生産台数は、2005年度は280万台、2006年度は600万台を見込んでいる。パネルの供給能力については、既報の通りS-LCDに約280億円の投資を行ない、第7世代パネルの月産能力を7万台へ、2007年2月を目処に9万枚へ拡大する計画を説明。しかし、「600万台の内、半分程度はS-LCDから調達できるだろう。しかし、外部調達も増える」という。だが、供給先については非公開とした。

エレクトロニクス分野 製品カテゴリ別 執行役エグゼクティブバイスプレジデント兼CFOの大根田伸行氏

 エレクトロニクスの中でオーディオ/ビデオ(デジカメ)/テレビ/パソコンなどの情報・通信を合わせた「AV & IT」分野では、前年度比1%減の売上高3兆3,479億円。営業損益は375億円と255億円前年より増加した。

 製品別ではオーディオが同6.2%減の5,365億円の売上げで、営業利益は27億円。ビデオの売上高は同1.9%のマイナスだが、営業利益は793億円で、前年の254億円と比べ212.2%と倍増している。DVDカムやHDVカムが好調だったほか、海外でノートPCが堅調。中南米ではホームオーディオの販売も好調に推移したという。

 ポータブルオーディオ事業については、ウォークマンAシリーズが日本と欧州で「それなりのシェアを獲得した」と説明。しかし「全体のビジネスボリュームからすると、iPodには及ばない。最大の要因は主力市場である米国で、まだ新製品を出せていないことにある」と分析。対策として今期以降組織再編を行ない日欧だけでなく米国にも新製品を投入する計画だという。

 エレクトロニクス全体の2006年度の見通しでは、液晶テレビやゲーム分野向けを含む半導体の貢献により増収を見込む。営業損益については前年度に計上していたソニー厚生年金基金に関する代行返上益の影響が無くなるものの、上記の増収高価や構造改革費用の減少などで、前年度の営業損失に対して大幅な収益改善、営業利益を見込んでいる。


■PS3は2006年度に600万台を目指す

 ゲーム分野の売上高は、前年度比31.4%増加した9,586億円。ハードウェアではPSPの普及が進み、今年度の生産出荷台数は1,406万台。PS2も1,622万台出荷し、人気を維持したことで欧米を中心に大幅な増収となった。ソフトウェアはPS2用が減収となったものの、PSP用ソフトの売上げ貢献で日米全地域でほぼ前年並みとなっている。

 営業利益もPS2、およびPSPビジネスにおける利益が前年を上回ったが、PS3のリリースに向けた積極的な研究開発投資を継続したことや、PS3プラットフォームの立ち上げ関連費用を計上したことにより、2004年の432億円から、79.7%減の87億円となった。なお、Cellプロセッサ製造への投資額は約2,000億円となっている。

ゲーム分野 グラフ右上を参照。PS3は2006年度に600万台を出荷する見通し

 大根田氏はゲーム分野について「今年は新プラットフォーム確立への投資の時期と考えている。しかし、PS3は普及拡大に向けて一気に展開し、半導体のコストダウン試作なども行ない、PS2で実現したように早期の黒字化を目指す」と説明。2006年度のPS3の販売台数見通しを600万台とした。


■ 映画は「ダ・ヴィンチ・コード」に期待

映画分野

 映画分野では売上高は前年度比1.7%増の7,459億円だが、米ドルベースでは4%の減少となった。主に米国での劇場興行収入やDVD/VHSソフトの売上げ減少が影響している。ソフトの売上げが減少したのは、2004年度は「スパイダーマン2」の大きな貢献があったため。2005年度公開の「ステルス」や「ザスーラ」、「レジェンド・オブ・ゾロ」は不振だったという。

 営業利益は前年から365億円減少し、274億円に。しかし「ダ・ヴィンチ・コード」や「オープン・シーズン」、ボンド映画最新作「Casino Royale」などに期待しているという。


■ その他

 構造改革の進捗状況については「ほぼ予定通り進んでいる」とし、1月時点の見込みでは600億円だった2005年度の資産売却額が、実績では780億円。人員削減も4,500人を見込んだところ5,700人を削減。「2007年度に計1万人という人員削減計画だったが、このペースでは2006年度中に達成できそうだ」という。

 また、製造拠点の集中プランとしては、既発表の7拠点に加え、新たにDVDレコーダなどを製造している「ソニーイーエムシーエス株式会社 木更津テック 岩根事業所」や、「VAIO or America「Manufactuiring」の閉鎖も決定している。

 これらを受けて同社は2006年度の連結業績見通しを上方修正。売上高は前年比10%増で、8兆2,000億円、営業利益は同48%減の1,000億円、その中の構造改革費用は64%減の500億円。純利益は同5%増の1,300億円とした。税引き前利益は48%減の1,500億円。持分法投資利益は204%増加し、400億円としている。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/index.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060126/sony.htm

(2006年4月27日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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