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三洋エプソンイメージングデバイス株式会社は、上下左右約180度の広視野角を実現する技術「Photo Fine Vistarich」(フォトファイン・ビスタリッチ)を搭載する中小型液晶ディスプレイ5製品を2006年秋より量産開始する。携帯電話やデジタルカメラ、カーナビなどの車載機器への搭載を見込む。 上下左右の視野角が±80度以上で、従来方式の製品と比較した場合、視野角の広さだけではなく、角度が変わっても色の変化が少ないのが特徴。正面のコントラスト比は500:1だが、上下左右±80度でも、コントラスト比約100:1を維持できる。 また、開口率が高いため省電力化も容易。位相差板が不要なので、薄型化も可能。中間階調での応答速度にムラがないため、地上デジタル放送などの映像再生にも適している。また、液晶の表面を指などで押しても色の変化が起こらない。
今回新たに開発された製品は5モデルで、主な製品仕様は以下の通り。
他の液晶方式と比較した場合、一般的な「VA」方式では、立った状態の液晶分子が、通電時に様々な方向に向いて視野角を補償しあうことで、広い視野角を実現している。この場合、低視覚では色度が落ちてしまい白く見えてしまったり、コントラストが落ちてしまう。これを補完するため、通常は画素を細分割、別駆動にすることで克服する方法を取る場合もあるが、中小型液晶ではサイズの問題からこの方法は利用できないという。 また「IPS」方式では電極を1つの基板上に2つ並べる。この状態で通電すると液晶分子が水平方向に回転するので、これにより広視野角を実現する。だが、開口率が狭く、低視覚では若干の色度低下が見られ、コントラストも落ちるという。 これらの方式に対して、Photo Fine Vistarichでは、電極を基板の上下に配置。通電することで、液晶分子が色々な方向に回転する。多方向の回転により、光学補償が行なわれて視野角の広さを実現している。
■ デファクトスタンダードを目指す
有賀修二社長は、2006年度の事業戦略として、携帯機器やデジタルカメラ市場のシェアを維持しつつ、新たに車載機器などへの進出を強化していく方針を示した。シェアの拡大を優先事項と考えており、そのためフィリピンの生産工場を増強。2005年度の年間最大生産能力は1.6億個だったが、2006年度には最大2.2億個の生産が可能になる。
価格については「付加価値を付けて販売していきたいのは確かだが、最近では価格競争も激しいので、シェアの増加を優先したい。そのため、価格についても市場やメーカーの意向に沿った形で決めていく。シェアを拡大していくことで、デファクトスタンダードを目指したい」とした。 □三洋エプソンイメージングデバイスのホームページ ( 2006年5月17日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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