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パイオニア、事業説明会を開催。PDP/BDをプレミア化
-PDP新工場投資も検討。レコーダ撤退は「無い」


須藤民彦社長

6月6日発表


 パイオニア株式会社は6日、事業説明会を開催。同社の中期経営目標を発表するとともに、プラズマやDVD製品の不振が続くホームエレクトロニクス事業の再建策を説明した。

2007年3月期業績予想

 同社の須藤民彦社長は、2007年3月期の連結業績予想を発表した。売上高は8,300億円(前年比750億円増)、営業利益120億円(同284億円増)、純利益30億円(同880億円増)と予測。

 セグメント別では、前年度に352億円の大幅な赤字を記録したホームエレクトロニクス事業は売上高3,950億円(前年比403億円増)、営業損失180億円と引き続き赤字予想ながら、「プラズマの開発/設計のプロセス合理化や、DVD事業の回復などで、赤字を圧縮する」という。

 カーエレクトロニクスについては売上高が3,650億円(同345億円増)、営業利益260億円(同85億円増)。特許関連は光ディスク関連の特許期間満了などが影響し、売上高40億円、営業利益35億円と、昨年度の85億円/72億円から大幅減となる。その他では、アクティブ型の有機EL撤退などにより、前年の売上高612億円/営業損失40億円から、同660億円/営業利益15億円と黒字化する見込み。

 また、今期の目標達成に向けた事業構造改革の進捗についても説明。カンパニー制を廃止し、1月より事業部制に移行し、開発や中間部門の重複の削減を図るほか、新川崎、大森、所沢の3つの開発拠点を2007年春に新川崎に統合するなどで、固定費を削減。

 また、雇用調整やアクティブ型有機ELからの撤退、PDP/DVD関連の資産減損などの取り組みを紹介し、今後の経営再建プロジェクトについて説明した。

2007年3月期セグメント別の業績予想 構造改革の進捗状況


■ ホームエレの黒字化を目指す

経営再建プロジェクトの概要

 経営再建プロジェクトは、新企業ビジョンや、コアプロセスの見直し、風土改革、オーディオ事業の再活性化、連結本社の戦略/管理機能の最適配置の5つのキーワードで説明された。

 新たに策定した企業ビジョンは「すべての社員の、お客様視点に立ったプロ意識を結集しイノベーションに挑戦し続ける企業」。

 須藤社長は、「周りを巻き込んでイノベーションをおこし、ライフスタイルを提案し、企業理念である“より多くの人と、感動を”を実現していく。新しい価値を創造することが、パイオニアの再生に必要だ」と新ビジョンへの思いを語った。なお、ブランドスローガン「sound. vision. soul」は今後も継続する。

 コアプロセスの強化については、すでに設計や開発の共通化などの取り組みがスタートしているほか、製品企画も社内の意見を集約できる形を構築。「マーケティングと企画の連携を強化し、市場のフィードバックを企画に活かすなど、全員で問題を共有し、一枚岩で事業運営できる体制を整える」という。

 オーディオの再活性化については、「パイオニアの音におけるブランドイメージを復活させる。そのイメージをPDP、カーエレクトロニクスまで広げていく」とし、ハイエンドブランドの復活や、セミナーの開催、パブリシティの強化などを施策を予定しているという。「音への注目が高まっており、オーディオをコア事業化する道筋を早く立てたい」という。

 また、これらの施策により、今期はカーエレクトロニクスを拡大し、ホームエレクトロニクス事業に黒字化の目処を付ける。

 2009年3月期を目標とした中期事業戦略も発表。同期には「連結売上高9,500億円、営業利益300億円以上、営業利益率3%を目指す」とし、同期にはカーエレクトロニクスで営業利益率7%、ホームエレクトロニクスでは黒字化を達成する。須藤社長は「(営業利益率)3%は決して満足できる数字ではないが、まずは、この目標を達成していくことが重要だ」。

新企業ビジョン 中企業席目標


■ カーエレクトロニクス事業はOEMを強化

カーエレクトロニクスの重点項目

 事業別では、まずカーエレクトロニクスの強化が挙げられた。「近年、収益に貢献し、OEM事業も伸張しているカーエレクトロニクスへリソースを集中する」とし、重点投資や、人員移動を含めたリソース強化を図る。

 これらのリソース強化については、「OEMの拡大や、海外市場の強化に絶対に必要な施策。品質の求められるOEMの強化は、市販品市場にも活かせるほか、新たな顧客価値提案も可能となる」と説明。

 また、市販市場でのトップポジション堅持についても、国内で好調なHDDナビなどの例を引き、「新価値提案が高い評価に繋がっている。BRICSをはじめとする、新興市場でも単に市場拡大を図るだけでなく、新価値提案を行ない、市場規模を維持していくこともトップメーカーの使命だ」とした。また、ポータブルや、iPod対応、Bluetoothなどの新技術対応についても、強化していくという。


■ プラズマは“プレミア”戦略。BDプレーヤー発売は今秋に先送り

 一方不振の続く、ホームエレクトロニクス事業については、プラズマと、Blu-ray/DVDなどの光ディスクの事業再建を骨子とし、業績回復を図る。

プラズマの中期事業戦略

 プラズマについては、「昨年度は大きな赤字を出したが、販売能力と生産能力のミスマッチが起きた。他社は大規模な投資を行なっているが、現時点では高画質を軸に展開する。高画質を大切にしようとするお客様に対し、受け入れて頂けるような価値を提案する」とし、数量よりも画質やブランドなどによる“プレミア感”で勝負する姿勢を明らかにした。

 「欧米ではパイオニアのPDPはプレミアムバリューを提供していると認知されている。フルHDなど他社の追随を許さない技術が、プレミアを呼び出す源泉。大型、高精細化の中、ターゲットユーザーも必然的に増加している」と高付加価値戦略を継続して取り組んでいくという。

 しかし、「価格も下落するので、プレミアムなだけでは手詰まりになる。どこかで再び数に挑戦しないといけない」とし、生産能力の増強も検討していることを明らかにした。具体的な時期や場所、数量については未定だが、「2009年の中間計画については、新しい工場による数も盛り込んでいる。まだ決まっていないが、北京オリンピック前には(パネルが)欲しいなと思っている」とした。

 また、プラズマ事業での他社との協力については、「部品の共通化などの取り組みで協力していく可能性はある。どこかが一緒にやろうということになれば、一緒になることはやぶさかではない。ただ、今のところ特に計画は無い」とした。

 光ディスク事業については、DVDレコーダの開発投資を抑制し、既存の開発資産を活かした製品開発を進めるほか、Blu-ray Discプレーヤーの世界展開に注力する。

民生向け光ディスク事業の中期事業戦略

 「DVDレコーダの現在の市場環境は、先行者利益の獲得は難しい。今の体制では採算性を確保するのが困難。既存の資産を活かして投資を抑制し、市場を絞って事業展開する」という。

 具体的には、シェアの高い欧州でのHDD搭載DVDレコーダや、日本国内でのHDD/DVDレコーダなどを継続。一方、ローエンドなどについては「今でも3in1レコーダなどで、部品を供給しながら、完成品を買い取っている。こうした形は今後も増えていく」という。ただし、一部で報道されたDVDレコーダ事業からの撤退については、「年内など近々にレコーダ事業から撤退するということは無い」と明言した。

 また、Blu-rayについては、「HDコンテンツの再生機として普及を予想しており、PDPのプレミアを出していくためにも欠かせないもの」と位置づける。ただし、北米での発売は発表時の5月から延期されており、「今秋ごろとなる」という。


光ディスク事業のPC、デバイス関連中期事業戦略

 Blu-rayレコーダについては、「まずはプレーヤーを最優先している。レコーダについて、どうするかというのを具体的に申し上げる状況には至っていない」と説明するに留まった。PC用ドライブについてはBlu-ray Discに開発の中心をシフト。また、レコーダ用のエンジンなどの部品事業の強化や、PDPをはじめとする、他の事業との融合商品も考えていくという。

 会場では、「BDの投入により、光ディスク事業が回復するというのは疑問。収益貢献がきちんと出来るのか?」との質問も出たが、「プラズマをやる以上、フルスペックのHDを出力できるBDプレーヤーは欠かせない。日欧米では、放送メディアとしてのデジタル対応が進んでいるため、プラズマも高精細化が進んだ。しかし、その他の地域ではHDのプラズマが普及しないため、XGAやフルHDの市場が作り出せない。そうした意味で、Blu-rayを率先してやることが絶対不可欠だ」と説明した。

 また、「持っている技術資産も、他社にかなり先行している。そうした観点から、当面の間、しっかりとリーディングポジションを確保できる。プレーヤーだけでなく、ドライブも競争できるという状況だ」と分析。ただし、「DVDレコーダのように、何でも自前主義でどんどんやるのは厳しい。他社とお互いの強みを持ち合ったり、部品で協力といった施策はありえる」とした。

 さらにパッシブ型の有機ELについては、「まだ、黒字転換しておらず、楽観できるとは思っていない」という。また、重点項目に挙げられた“オーディオ事業の強化”については、スピーカーを例に挙げ、「現在、EXシリーズなどハイエンドなものから、東北パイオニアのOEM用や市販カーオーディオ、携帯電話用など、グループ内でそれぞれバラバラな仕組みやっている。個別では良くやっているが、こうした点を組み直して、活性化できないか、グループ内の提案を待っている」とした。

□パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/
□ニュースリリース
http://pioneer.jp/corp/ir/finance/announce/cp_060606/
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【6月5日】パイオニア、「DVDレコーダ撤退」報道を否定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060605/pioneer.htm
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051208/pioneer.htm

( 2006年6月6日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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