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「RD-A1はHD DVD付HDDレコーダ」。東芝DM社藤井社長
-「RD-A1は永久不滅。100万でも買いたい」


6月22日発表


 株式会社東芝は22日、HD DVD/HDDレコーダ「RD-A1」の発表会を開催。同社のHD DVD、HDDレコーダ戦略について説明した。


■ 100万でも買いたい永久不滅の「RD-A1」

 東芝上席常務 デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長は、RD-A1と、HDD録画へかける思いを語った。

東芝DM社 藤井美英社長

 地上デジタル放送の伸張など、ハイビジョン対応テレビの普及などの例を挙げ、2006年には地上デジタル放送のカバーエリアが約82%、2008年には99%に達するという予測を紹介。2006年度にはデジタル放送対応レコーダが急速普及し、「少なくとも国内においては、次世代DVDへの移行の環境が急速に整ってきた」とする。

 2006年度の予測では、690万台のレコーダ市場の内、約1%がHD DVDレコーダとなるが、2008年には約29%になると予測。テレビの大型化とあわせ、「テレビと連動しながら次世代DVDが普及していく」と、HD DVDの市場伸張を予測した。

 また「プレーヤーとレコーダは本質的に違う。過去のVTRのコンセプトにとらわれすぎているように思える。“録再機”という形が理想的なのか?」と疑問を呈し、「ハイビジョン時代には、いかに大容量のHDDに録画するか。それが東芝のコンセプト。初代(RD-2000)からHDD録画だ」とHDD中心の思想でRDシリーズを展開してきたことを強調した。

 そのため、「“HD DVDレコーダ”ではなく、東芝のコンセプトとしては“HD DVD搭載のHDDレコーダ”と考えている」と、HDD録画へのこだわりを強調。PCとのインターフェイスやダウンロード対応などの将来像も含め、「一番のコンセプトは長時間録画。BD陣営からは(容量の少なさが)批判されているが、テレビの録画が長時間なのは決まっている。どういう形で現在利用されているか? 99%はHDDに録画し、必要なものだけDVDに残している。レコーダの本質はHDD」と語る。

 RD-A1の1TBというHDD容量については、「ワールドカップ全64試合/130時間録画をキャッチコピーに決めていた」という。

 また、HD DVDへのムーブ/録画については、「HD DVDになって、従来SD画質で残そうと思わなかったものでも、HD画質で残したい、という願望が増えるのではないか。日立マクセルや三菱化学メディアが同時に製品を発売してくれることとなり、HD DVDの記録メディアも急速に普及するのでは」と語った。

デジタル放送の普及やテレビの大画面化がHDのニーズを拡大 多様化するHD DVD録画/再生環境

 「“これからはダウンロード”という意見もあるが、DVD/HD DVDが無くなることはない。10~15年後にダウンロードが普及するのは間違いないが、HD画質のHD DVDのマーケットは、今後10年以上伸張していくと思っている」という。

 「時代はテラ。いかにHDを長時間録画するかという観点では、東芝が2001年以来提唱しているHDDとDVDのインテグレーション。これが最高のソリューションと信じている。東芝の技術の全てを集めた製品だ」とRD-A1への自信のほどを語った。

 また、「プレーヤーの時には、藤井が499ドルで出せと言うので、コストを削らされて不満だとか、うちの技術者の声が雑誌とかに載っていた。これじゃいかんということで、今回は好きにやれと。ただ、一切BD陣営からケチが付かないやつを作れと。今回は“技術のHD DVD”で売りたい。私は100万円でも買いたいものになったと思う」と述べ、「RD-A1という名前が、永久に不滅に残る名前になるようにマーケットに出していきたい」と語った。

 質疑応答では、398,000円という価格に質問が及んだが、「第1号機として非常に期待を込めてつくった。年末どう戦うかは大きな課題だが、今後も技術者ががんばって開発を進めていく(伊藤DAV商品企画部部長)」とした。

 また、藤井社長は「東芝内でも論議を呼んだが、価格設定は本当に難しい。300万台売れれば違いますが……。是非お買いあげ頂いて、高いか安いかご検討頂きたい。今のところ、私の周囲の皆は“藤井さん398,000円はバカだ。100万でもおかしくない”といっています。REGZAの47型とあわせても100万円以下。高いかもしれないが、REGZAとあわせてご購入頂いて、何年も使ってほしい」とアピール。「普及については全然心配していない。将来的にはテレビのように松・竹・梅と、さまざまなニーズに応えられるようにしていきたい」とした。

 398,000円という価格設定の決定においては、「長嶋のファンなので、3をどこかに入れないと。498,000円というのもあったが、日本人は4がきらいなのか、不思議と40万円台という価格設定は無い。年末でもRD-A1を越えるような製品は考えていない」とコメントした。

 なお、ドライブについては「他社製(ソニーNEC)だが、キーコンポーネンツということもありTSST製ドライブも視野に入っている。セカンドソースの供給や、ドライブメーカーとの協力も含めて、検討をしている」という。

 当初予告していたワールドカップ前発売というスケジュールについては、「何とか間に合わせたかったが、開発が追いつかなかった。7月14日に出すことができるのも奇跡的。BDも遅れているが、本当に次世代レコーダの開発は難しい。ただ、結果的にVARDIAの機能を全部入れて、高スペックになっている。何ら悔いはありません。結果的にこれでよかったかなと思っている」とした。

 メディアの価格については、「詳しくはメディアメーカーに伺って欲しいが、東芝の自身のコスト分析では、HD DVDが安い」とした。なお、RD-A1の海外展開については、「日本のごく限られた消費者だけにお届けしたい」とのことで、販売目標については、「年内1万台ぐらい。そんなにお金持ちがいるとは思えない」とする。プレーヤーの目標については、3月発表時と変わらず「2006年度で60~70万台。上方修正もあるかもしれない」とした。

 ただし、HDDレコーダの海外展開については、「ハイビジョン時代は、プレーヤーがお手軽な値段で普及すると考えている。アメリカでは90%がプレーヤー、欧州は80~85%がレコーダ。アメリカでレコーダというとHDDのないDVDのレコーダ、欧州では半分から1/3がHDD搭載なので、東芝でも海外でHDD付を拡大したい。HDで残したいという需要は増えていくが、基本はアメリカのTiVoを見てもHDD。積極的に機能を追加したレコーダを拡大したい」という。


■ これぞ「マニア向けの製品」

東芝DM社 デジタルAV事業部 DAV商品企画部 伊藤眞一部長

 また、東芝DM社 デジタルAV事業部 DAV商品企画部の伊藤眞一部長は、RD-A1の特徴を説明。HD DVD録画に加え、HD DVDソフトの高品位再生や高画質化機能、高音質化機能などに言及し、「業界最高の高画質/高音質設計を搭載した」とアピールした。

 HD DVDならではのメリットとしては、VR録画したDVD-RAMのデータをHDDにコピーし、HD DVDに無劣化でダビングできるなど、DVDからのフォーマットの継承性をアピール。また、プレーヤーのHD-XA1ではCPRM付のDVD-R/RW/RAM再生ができなかったが、RD-A1ではCPRM付DVDの録画/再生にも対応している。

 外観については、「シャーシに対し4本のアルミの柱や、アルミパネルからなる“パルテノン型のフルアーマーシャシ”」と説明。リアパネルはステンレス製。また、高画質機能については、ABT製のスケーラや、ビデオDACの説明、音声面ではメガ・レゾリューション・パラレルDACシステム、さらに電源構成などについて解説し、「これぞマニア向けといえる製品に仕上げることができた」という。


■ HD DVD-Rもあわせて発売。2層化と高速化を加速

日立マクセル田村礼人氏

 続いて、日立マクセル株式会社から、ディスク製品事業グループ アドバンスドディスク事業部 設計部 副技師長の田村礼人氏が同社の記録型HD DVDメディアにについて説明した。

 7月5日より発売するHD DVD-Rメディア「HDR15V.1P」などを紹介しながら、DVDの基本コンセプトを踏襲しているHD DVDのメリットを解説。「DVDとディスク構造が同じため、製造の観点からすると、DVDの技術や製造設備を最大限に活用できる」という。

 同社の技術としては高精度スタンパや、青色レーザー対応の新規の有機色素の採用、光学特性の良好な貼り合わせ技術などを紹介した。なお、HD DVD-RWについても開発を進めており、「マクセル独自のBCM相変化記録膜を用いたディスクの基本設計をすでに完了した。規格策定が完了次第、製品を発売したい」という。発売時期については2006年秋を見込んでいる。今後は4倍速など記録速度の向上を目指していくという。


マクセルのHD DVD-Rメディア HD DVD-RWも参考出品

三菱化学メディア 吉田秀美氏

 三菱化学メディア株式会社からは、取締役最高技術責任者の吉田秀美氏が登壇。7月5日発売予定の1層HD DVD-Rメディアに加え、2層30GBメディアについても7月下旬に発売することをアナウンスした。HD DVD-RWについては「規格が整い次第、順次製品化していくが、秋以降になる見込み」という。

 同社のスタンパや成形技術、さらに同社がDVDから採用しているAZO系色素のメリットも紹介。「皆様に長期で安心して利用して頂けると考えている」と、その長期保存能力をアピール。今後は、高速メディア開発を推進していき、「デジタルハイビジョンの時代にマッチした製品を提案していきたい」と語った。


三菱化学のHD DVD-Rメディア 三菱化学はHD DVD-RWを参考出品
リコーもHD DVD-Rメディアを出展 イメーションもHD DVD-Rメディアを出展


■ ユニバーサルがHD DVDソフトを今秋国内発売

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 野端正人氏

 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン マーケティングディレクターの野端正人氏は、「われわれソフトビジネスを行なうものにとっては、ハードのイノベーションには多いに期待している。DVDも機器の普及が一段落したこともあり、機器に合わせて普及してきたDVDマーケットも落ち着いてきた。新しい規格に期待している」とハードウェアによるHDビデオ市場の牽引への期待を語った。

 「今まで無かったような高品位映像/音声、インタラクティブ機能など新しい体験を消費者に届けたい。一度、良いもの、便利なものを体験すると、人間の性としてもう昔には戻れない。品質的にはより高い音/映像に、さらにまで以上の使い勝手を実現できる。まさに次世代のDVD規格で、ハードに負けないようソフト側でもさまざまな機能を積んでいきたい」とハードとソフトで協力して市場の立ち上げる意向を表明。同社としては初となる、国内展開製品を紹介した。

  • アポロ13
  • ヴァン・ヘルシング
  • ジャーヘッド
  • セレニティー
  • DOOM/ドゥーム
  • ボーン・スプレマシー

 上記6作品だけではく、今後もタイトルを投入していく。ただし、発売日や価格、音声仕様などの、詳細については未定で、「改めて紹介したい」とした。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2006_06/pr_j2201.htm
□製品情報
http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/products/hddvd/rd-a1/index.html
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( 2006年6月22日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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