TI、新720p DLPチップ「0.65 WXGA DarkChip3」 －「ネイティブ・コントラスト」を重視。近日中に対応製品も発売

8月8日発表

　日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は8日、高コントラストを実現可能なフロントプロジェクタ向けDLPチップ「.65 WXGA DarkChip3」を発表した。既に出荷を開始しており、各DLPプロジェクタメーカーから近日中に搭載製品が発表される見込み。

　0.65型/1,280×768ドットのDLPチップで、従来比約20%以上のコントラスト改善や、自然な映像再現を可能とする。DarkChip3はコントラストの改善などを実現する画質向上技術で、従来は0.8型チップで導入し、製品化していた。今回、0.65型のパネルに同技術を導入することで、より小型/低価格帯のDLPプロジェクタでも画質向上を実現できる。

DarkChip技術の進化。0.65型で開口率90%以上を実現

　DarkChip3は、DLPチップのミラー間の間隔を狭め、画質に影響するミラーの表面積を拡大しながら、ミラー下部のコーティング改良により、迷光の影響を低減。さらに、「ビア(Via)」と呼ばれるミラーを保持する支柱のための中央支持点を小型化し、90%以上の開口率を実現、ピクセル間の隙間を感じさせないシームレスな映像再現を可能とする。

　DLPチップのデバイスとしてのコントラスト比は、2,400:1以上(従来の0.65型/DarkChip2は2,000:1)。DLPの今後の開発においても、「ネイティブ・コントラストを重視して改善を続けていく」(DLP事業部事業統括部兼プロダクトマーケティング部 大原一浩部長)とし、「(他方式のプロジェクタでは)シーンに連動して絞りを調節するなど、カタログ値でコントラストを上げる機種が多いが、ユーザーメリットはあまり無い。高コントラストやはDLPの特徴。デバイスの実力としてのコントラスト向上を目指していく」と説明した。

左が従来のDarckChip2搭載のリファレンス機、右が新DarckChip3搭載機の投写映像 (c)2006 フジテレビ		HD DVDプレーヤー「HD-XA1」とHD DVDソフト「夜桜」でデモ

ピーター・ヴァンケッセル DLP事業部長

　同社 DLP事業部のピーター・ヴァンケッセル事業部長は、DLPを用いたフロントプロジェクタ、リアプロテレビ、DLPシネマの、3つの市場動向について解説した。

　フロントプロジェクタ市場は、2006年に500万台市場となり、年率約25%の成長を予想。2009年には1,000万台となる見込み。現在のエンタープライズ/文教/コンシューマの3つの主要市場に加え、DVDを内蔵した「インスタントシアター」、超小型の「ポケットプロジェクタ」、「ビデオゲーム」などの新カテゴリの伸張を予想。特にポケットプロジェクタにおいては、Samsungや三菱、東芝などが製品開発を行なっている事例を紹介し、新たな市場創出に向け期待を語った。

フロントプロジェクタ市場は拡大基調	日本のフロントプロジェクタ市場でもシェア拡大を狙う

　リアプロテレビについても、「日本ではさほど認知されていないが、特に北米は大きな市場になった。年率20%以上の伸びを示しており、2006年度は1,500万台の出荷を見込んでいる」という。また、1080p対応製品の量産についても、「HD DVDやBlu-rayなどのHDソリューションが今後増加するが、DLPは一足先に1080p製品を投入している」と説明した。

　DLPシネマについては、現在1,200以上のスクリーンで利用され、150以上の新作映画の上映、2,500万以上の視聴実績などを説明し、「数年内には、15,000スクリーンを達成する」とした。

　日本市場での展開については、BrilliantColorの導入により特にデータプロジェクタで指摘されていた白色の再現性を向上。また、DarkChip3などの新技術導入やマーケティング活動の強化により、年内にプロジェクタ市場で、DLP製品のシェア30%を目指すという。

　なお、DarkChip3の1080p化については、「時期を明言することはできないが、特にホームシアター用途では、DarkChip3の高コントラストが生きる」とし、1080pパネルでもDarckChip3を導入する方針を示唆した。

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□関連記事
【2005年10月14日】ヤマハ、フィルムライク画質を追求した720pDLPプロジェクタ
－「720P DarkChip3」や新信号処理「HQV」を搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051014/yamaha.htm

( 2006年8月8日 )

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