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三菱、フルHD解像度の液晶プロジェクタ「LVP-HC5000」
-実売45万円で10月発売。D6/C2FINEパネルを搭載


10月12日発売

標準価格:オープンプライス


 三菱電機株式会社は、フルHD解像度の液晶プロジェクタ「LVP-HC5000」を10月12日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は45万円前後の見込み。月産台数は1,000台。

LVP-HC3100/1000(左)より一回り大きい筐体を採用

 0.74型1,920×1,080ドットの液晶パネルを搭載したプロジェクタ。エプソン製のD6世代パネルで、新たに無機配向膜を用いたC2FINE(クリスタルクリアファイン)技術を導入。C2FINEでは無電圧時に液晶分子が垂直に配向し、光漏れなく黒色を出画できる「ノーマリーブラック方式」により、3LCD方式の課題だった黒の沈み込みを大幅に改善。あわせて、コントラストの向上が図られた。

 また、C2FINEでは、従来のHTPS(高温ポリシリコンTFT液晶)で必要となっていたラビング工程(配向性をもたせるためにこする工程)が不要となる。従来のHTPSプロジェクタでは、ラビング行程に伴う縦縞が視認できてしまう問題などが指摘されてきたが、C2FINEでは、原理上この問題は発生しない。

 なお、近年の同社製民生用ホームプロジェクタでは、DLP方式を中心に展開していたが、LVP-HC5000は3LCD方式を採用した。採用の理由については、「フルHDで50万円以下、高画質、低静音の3つを満たすために、現時点で最適な選択肢と考えた。今後も製品ターゲットにマッチしたデバイスを選択していく」(京都製作所 プロジェクション製造部 能勢純一部長)と説明する。


C2FINEの採用で黒表現を大幅改善 上下75%、左右5%の電動レンズシフト機能を搭載。レンズキャップも付属する

オートアイリスも搭載。ネイティブコントラストは2,000:1で、オートアイリスの利用で最大コントラスト10,000:1を実現する

 オートアイリス機能を搭載し、輝度情報に加え色信号に同期してアイリスを自動制御することでコントラストの向上を図っている。

 コントラスト比は10,000:1(オートアイリス利用時)、ネイティブコントラストは2,000:1。輝度は1,000ルーメン。新開発のフルHD対応光学エンジンを搭載。光学1.6倍の電動ズームレンズで、EDレンズ3枚を含む、14群17枚のレンズで構成され、色収差の低減と周辺フォーカスを改善。フォーカスも電動となっている。上下75%、左右5%の電動レンズシフト機能も搭載する。100型時の投写距離は3.1mで、「6畳間でも100インチを実現できる」という。

 “フルHDながら50万円以下”という低価格を実現したのは、この新光学系に拠るところが大きい。フルHD/1080p映像の出画時には、高精度なレンズ性能が求められるが、LVP-HC5000では小口径ながら、フルHD映像を忠実に再現できる精度を確保。左右方向にレンズシフトを幅を拡大すると、より大口径のレンズが必要になるが、上下方向に比べ、左右方向のレンズシフト要求が少ないなど、ユーザーや専門店の意見を参考に仕様を決め、低コストかつ高精度を実現したという。


新開発のフルHD対応光学エンジンを搭載 本体上部に操作ボタンも装備する

LVP-HC5000のノイズ低減のための工夫

 また、新開発の液晶パネル冷却ダクトの採用により、液晶パネル部の冷却性能を改善。さらに、大型のシロッコファンの採用など、冷却機構の見直しにより「業界最低レベル」という19dB(ランプ低モード)の低ファンノイズを実現した。「柱時計の“カチカチ”という音を1m離れたところから計測して20dB。LVP-HC5000はそれよりさらに静音。エアコンなどの空調のほうが、うるさく感じるのではないか」(プロジェクション製造部 能勢部長)と、静音性への自信を強調した。

 ランプは160W出力のUHEでサイドアクセスランプの採用でメンテナンス性も改善している。ランプ寿命は最大5,000時間。専用の交換ランプ「VLT-HC5000LP」は26,250円で販売される。

 IP変換回路にはSilicon Optix製の10bit「Reon-VX」を採用。IP変換やノイズリダクションなどの処理を高精度で行なうほか、Reon-VX内のHQVノイズリダクションと組み合わせて映像の輪郭に発生しやすいモスキートノイズを低減している。

 入出力端子は、HDMI、DVI-I(HDCP対応)、コンポーネント、S映像、コンポジット、D-Sub 15ピンを各1系統搭載。サービス用のRS-232CとUSB端子も備えている。外形寸法は334×352×125mm(幅×奥行き×高さ)。重量は5.6kg。消費電力は250W。


Silicon Optix製のIP変換/スケーラ「Reon-VX」を搭載 背面


■ フルHD元年に“1080p待ち”ユーザーを獲得。シェア10%を目指す

リビング・デジタルメディア事業部 栗坂伸継 副事業本部長

 同社リビング・デジタルメディア事業部 栗坂伸継 副事業本部長は、全世界での大画面とHD放送の需要拡大にあわせ、2006年は「1080p/フルHDプロジェクタ元年」と宣言。LVP-HC5000を皮切りに、「グローバルな市場でリーダーシップを発揮できる事業であり続けたい」と意気込みを語った。

 京都製作所の重里英夫所長は、米国/欧州などを含めた、ホームシアター向けプロジェクタにおける同社の市場シェアは6%と報告。このシェアをLVP-HC5000と、LVP-HC3100/1100の投入により、「2006年中に10%まで拡大したい」と目標を掲げた。

 また、放送やコンテンツのHD化により720p以上のプロジェクタ構成比が今後さらに高くなる、と分析。2005年には約1%だった1080p製品が、2006年には10%、2007年には15%に拡大するとの予測を示し、「1080p製品は、従来は100万円以上していたため、欲しくても買えなかった。50万円以下でLVP-HC5000を提供することで、“1080p待ち”のユーザーの購入を促進したい」と製品ターゲットを説明した。

2006年はフルHDプロジェクタ元年 市場シェア10%を目指す
市場ターゲットと新製品の対応

 京都製作所 プロジェクション製造部 能勢純一部長は、LVP-HC5000を中心に新製品の概要を説明した。製品コンセプトは、「いままで100万円以上のものを半額以下としながら、高画質、低騒音を目指した」と紹介。C2FINEでは無機材料の採用により、画質面のメリットに加え、パネルの長寿命化が図れるという。

試作機でのデモも実施。デバイス量産直前のもので、オートアイリスも動かない、とのことだが、解像度の高さはもちろん、黒色の表現など、従来の透過型液晶とまったく異なる映像をアピール

□三菱電機のホームページ
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2006/0822-b.htm
□製品情報(LVP-HC5000)
http://www.mitsubishielectric.co.jp/projector/home/products/lvp_hc5000/index_b.html
□関連記事
【8月22日】三菱、0.65型720p Darkchip3搭載のDLPプロジェクタ http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060822/mitsu2.htm
【2005年5月24日】エプソン、3LCDプロジェクタ用の高画質化技術「C2FINE」
-無機配向膜を採用。“漆黒の黒”とコントラスト10,000:1を実現
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050524/epson.htm

( 2006年8月22日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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