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シャープ株式会社は31日、液晶テレビAQUOSシリーズの新モデルとして、フルHD解像度を持つ52型、46型、42型を発表。同社の亀山第2工場製パネルを採用し、第8世代のマザーガラスから生産している。発表会では同パネルを使った製品を10月1日から世界同時発売していくことが明らかにされた。
第8世代のマザーガラスを使った生産は韓国サムスン電子とソニーが、合弁会社のS-LCD会社において、2007年秋の量産開始を目指して工場への共同投資を行なっている。シャープの専務取締役、AV・大型液晶事業統括兼AVシステム事業本部長の片山幹雄氏は「他社と比べ1年先取りし、大型パネルの生産能力を増強できたことは大きい。また、大型化にあたっては競合するプラズマも意識し、新規部材を投入して効率化を図った」と説明。 その例として、第2工場ではフューチャービジョンが研究・開発したインクジェット方式によるカラーフィルターの製造技術を投入したことを説明。ほかにも産総研や東北大学らと協力し、革新的な装置や部材の開発、次世代プロセスの開発などを行なっており「そうした産・学・官の連携で生み出した新しい技術を第2工場に導入している」と説明した。 その結果、第1工場と比べ、工場内搬送距離を1/2以下に、生産リードタイムも1/2以下に短縮。現在第1工場は第6世代ガラスで月産3万枚の生産能力を持っているが、第2では第8世代ガラスで1万5,000枚からスタート。2007年3月までに3万枚、2008年中頃には9万枚に増強し、第1と第2を合わせて2008年に32型で年産2,000万台の体制を確立するという。 片山氏は「我々の予想を遥かに上回る需要が世界中であり、特に海外では一時的に供給不足に陥っていた」とこれまでを振り返り、「液晶テレビの世界需要は2008年度に8,000万台に達すると予想しており、今後も続くこうした需要に第2工場の生産能力を活用して対応していきたい」とした。 なお、会場では亀山工場の紹介映像も上映。「工場の差が、テレビの差になる。」というキャッチコピーで締めくくられるなど、最先端の技術を投入した第2工場への自信を感じさせる内容となった。
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■ 大型モデルで海外展開を強化
また、液晶テレビとしての戦略については、今回発表した3サイズを世界同時発売する計画を発表。中国、ドイツ、アメリカの順でほぼ同時に発表を行ない、10月1日に同時発売する。 この計画には生産体制のグローバル化が不可欠となる。シャープではこれまで、亀山工場でパネルの生産からバックライトユニットや各種部品を取り付け、液晶モジュール化までを実施。それを海外の生産拠点に運搬して現地で組み立てを行なっていた。しかし、回路などをつけたままモジュールを運搬するにはコストがかかるという欠点があった。
今回のパネルからはパネルのみを運搬し、モジュール化の段階から現地で行なう方式に変更。中国市場向けには南京の、アジア向けにはマレーシアの、米国向けにはメキシコの、欧州向けにはポーランドの工場で組み立てを行なうという。
片山氏は「過去にやったことが無いチャレンジで、どのような成果が得られるかわからないが、結果はクリスマスにわかるだろう。世界的にその時期はAV機器が一番良く売れるため、スムーズな供給で対応していきたい」と語る。なお、日本では9月から発売を開始する37型以下のモデルについては、米国/欧州で今回のモデルと同時展開を予定。外部調達パネルを含め、供給タイミングを調整するという。 大型モデルを主軸とした海外展開について片山氏は「これまで32インチまでのラインナップしか持っていなかったため、40インチ以上がメインの海外市場ではシャープが目立たないという状況が続いており、“日本と比べて海外では元気がない”と言われていた」とこれまでの状況を説明。 「今回、他社にもできない52型など、40型、50型のラインナップを揃えることで、メインの売り場で場所を取り、消費者にアピールしていきたい。ブランドイメージの構築についても、大規模な販売広告費の投入を予定している」とプランを語った。
世界でのシェアについては「昨年は20%以上持っていたが、今年は12%まで落ちている。国内が50%程度に高まっていることを考えると、海外のみでは12%よりも低い10%以下だろう。今回の大型サイズの投入で、世界シェアを15%程度まで戻せるだろうと考えている」と目標を掲げた。
□シャープのホームページ
(2006年8月31日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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