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シャープ株式会社は、2006年度中間期の連結業績を発表。売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに、中間期としては4年連続で過去最高を更新した。また、会見のなかで、来年3月に予定している亀山第2工場の第2期稼働が、早まる可能性があることを、同社・佐治寛副社長が明らかにした。 シャープの2006年度中間期連結決算は、売上高が前年同期比9.7%増の1兆4,656億円、営業利益は20.1%増の901億円、経常利益は24.5%増の813億円、当期純利益は27.5%増の465億円となった。 ■ 大型液晶テレビ好調。大型化で価格下落に対応 エレクトロニクス機器部門の売上高は、10.4%増の9,240億円。営業利益は25.4%増の371億円。そのうち、液晶テレビをはじめとするAV・通信機器事業では、売上高が14.3%増の5,879億円、営業利益は24.1%増の201億円。「大型液晶テレビおよび携帯電話が伸張している」(佐治副社長)とした。 液晶テレビは、売上高が33.6%増の2,468億円。台数では46%増の252万台となった。 「この半年間で店頭価格は2割程度下落したが、大型化が進展したことで、当社の販売金額では2%減に留まった。上期は30インチ以上が47%だったが、下期はこれが55%になる。また、40インチ以上は上期は4%だったが、下期は17%になるだろう。亀山第2工場で、46/52インチの大型フルハイビジョン液晶テレビの生産が可能になり、これが店頭で高い評価を得ている。46/52インチは、国内では3対1といった形になるだろう」と国内の販売状況などを説明した。 「また、海外向けには、中国、マレーシアに続き、9月からはメキシコでもセットの生産を開始した。来年1月にはポーランドでも生産が開始されることで全世界5拠点でテレビの生産が可能なることから、リードタイムの短縮や在庫の削減、物流コストの削減が図れる。北米では、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコを中心に、今週から広告展開を開始した。まだ店頭に製品が並んだところであり、ユーザーには渡っていない。どのサイズが売れるのか、PDPとの競合はどうなるのか、といった動きが見えるのは、11月半ばのサンクスギビングディ突入前になるだろう」などとした。 価格下落の傾向については「40インチ以上は、年間2割程度の価格下落になるだろうが、30インチ台以下は1割程度の価格下落になるだろう。だが、今後、40インチ台以上の価格下落は激しくなり、いくら大型化を進めたとしても、当社の販売価格が、上期のように2%の下落で留まるということは考えられない。下期は、5%程度の下落は覚悟している」とした。 また「37インチは3割程度の価格下落が見込まれる。リビングで設置するテレビが、40インチ台へと移行すること、パーソナルでは20インチ台を購入することを考えると、37インチが安くなることが予想される。家庭のなかで、どういうインチ数が求められるかを見定めているところ」とした。 なお、液晶テレビは、2006年度通期では、33.9%増の5,500億円を目指し、前年比1.5倍の600万台の出荷を目指す。 携帯電話の上期売上高は、9.4%増の2,407億円、台数では5%増の620万台。「ワンセグ対応のAQUOSケータイや、FOMAの新モデルなどの高付加価値製品が堅調で、海外市場で価格下落の影響を受けたものの、単価は上昇している。最先端デバイスを活用し、軽量化、薄型化に力を注ぐ一方、ドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアに対応することで、広い範囲でのユーザー獲得を図る」とした。 携帯電話の通期の売上高は5.6%増の4,700億円を計画。台数では10%増の1,300万台を目指す。 ■ 白物家電やLSIの不調も液晶事業でカバー 白物家電で構成される電化機器事業の売上高は、6.5%増の1,192億円となったものの、「冷夏の影響で夏物商品の売れ行きが鈍く」(佐治副社長)、営業利益は8.5%減の11億円となった。 主要製品の売上高は、冷蔵庫が13.5%増の297億円、エアコンが5.4%減の286億円、電子レンジ・オーブンが9.3%増の271億円。 「健康、環境、安全といった観点で新たな商品を作っていく。蛍光灯をLEDランプに変えたり、太陽電池を応用した製品を開発したりといった新たな製品の開発も進めていきたい」とした。 PCやPDAが含まれる情報機器事業は、売上高が2.7%増の2,168億円、営業利益が30.8%増の158億円。「PC事業は儲からないことから、絞り込む方向を打ち出している。インターネットAQUOSは、PCとテレビを合体させた形で商品を作ったが、PCを使う人にとっては値段が高く、テレビとして買う人もPCの機能が壊れたらどうするのか、といった声もあり、うまくいっていない」とした。 PCの上期売上高は42.1%減の105億円と大幅な縮小となった。 一方、電子部品部門の売上高は18.0%増の7,643億円、営業利益は19.8%増の558億円となった。 LSIの売上高が0.8%増の963億円、営業利益が20.3%減の33億円と厳しい結果になったが、液晶事業が、3月に増産体制を敷いた亀山第1工場に続き、8月に稼働した亀山第2工場の貢献もあり、大型液晶パネルが伸張。中小型液晶も順調に推移したことで、売上高が25.5%増の5,062億円、営業利益が19.1%増の369億円と、これをカバー。さらに、太陽電池が含まれる、その他電子部品に関しても、売上高が8.5%増の1,617億円、営業利益が36.6%増の155億円と増収増益となった。 なお、液晶事業は、2006年度通期見通しでは、9,800億円の売り上げを計画していたが、1兆300億円に上方修正した。 また、通期の全社連結業績見通しについては、「液晶テレビや携帯電話といった主力製品が伸張しているものの、米国における景気のスローダウンを背景に、他地域への影響も懸念され、世界経済全体の減速も想定される」として、修正は行わなかった。 ■ 亀山第2工場第2期稼動の前倒しを示唆 一方、佐治副社長は、来年3月に予定している亀山第2工場第2期生産ラインの稼働時期を、早める可能性があることを明らかにした。 現在、亀山第2工場では、第8世代のパネル生産体制を敷き、月産1万5,000枚(日産500枚)としているが、3月には、これを月産3万枚(日産1,000枚)に引き上げる計画を発表している。「この体制を早めたい。1月から3月の間には稼働させたい」とした。 同工場は2008年度にフル稼働が予定されている。また、亀山第2工場の次の液晶パネル生産工場の計画については、「来年8月までに、どんな液晶パネルを、どんな生産プロセスで、どんな工場でつくるかを決めたい。本来は、今年末までに決める予定だったが、20インチ台の液晶パネルを台湾から月10万台程度を調達しており、その影響で国内の工場に余力が出てきたことで、決める時期にも余裕が出てきた」などとした。 □シャープのホームページ ( 2006年10月25日 ) [Reported by 大河原克行]
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