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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー!)は26日、衛星通信事業者の株式会社JSATと経営統合を行なうと発表した。 共同株式移転により、両社の完全親会社となる、スカパー・JSAT株式会社の設立を決定。その傘下で経営統合を行なう。今後は、両社の経営資源を統合してシナジーを追求し、有料多チャンネル放送の市場拡大や、通信と放送の融合を見据えた総合的な事業の拡大と経営の効率化を図るという。 統合により、両社は共同株式移転などに関する株主総会を経て、2007年3月末ごろに上場を一旦廃止。改めて4月に持株会社の株式上場を行なう予定。既存の株主はそのまま持株会社の株主となり、移転比率は、スカパー!の1株には持株会社1株の割り当て、JSATの1株には4株が割り当てられる。
■ ハイビジョン化や受信機の高機能化で加入者増へ
今回の経営統合に際し、同日に都内で記者会見を開催。持株会社の社長も兼務することになるスカパー! の仁藤雅夫社長と、JSATの磯崎澄社長が、統合の意義や期待できるシナジーなどについて説明した。 仁藤社長は、経営統合の背景として、欧米では衛星の保有とプラットフォーム、番組制作事業者が一体となっているのに対し、日本ではそれぞれが別会社で行なわれていることを挙げ、「それぞれの事業範囲内での利益最大化を追求するため、市場拡大に限界がある」と指摘。 一方、有料チャンネル全体の市場については、「デジタル放送の普及や、携帯電話の高機能化、IP放送の実現などにより、まだまだ成長ポテンシャルがある。これを早く顕在化させる必要がある」と述べた。 仁藤氏は、経営統合によるメリットについても説明。まず、「DTH事業運営の最適化と市場の更なる拡大」として、「これまで分断されていた2社は、それぞれの事業範囲内で“部分最適”を追求してきたが、垂直統合により、衛星放送事業での“全体最適”を求めることができる」とし、具体的な目標として、コンテンツの増強やHD番組の充実、高機能で使いやすい受信機の導入を掲げた。 また、サービスの普及促進事業において、これまでマーケティングはスカパー! のみが放送事業者から徴収した手数料を元に行なっていたが、統合後はJSATが放送事業者から得ているトランスポンダ使用料も合わせて普及促進に充当。「予算を5年で約4割~5割拡大できる」(磯崎社長)としており、これまで資金面で大きな負担だったというアンテナ取り付け無料キャンペーンなども販促の一環として予定している。
さらに、9月に発表した、H.264形式でのハイビジョン放送の実現や、110度CSデジタルにおけるハイビジョン化の加速などで視聴者の要望に応えるとしたほか、資金難が問題とされる放送事業者のHD化についても、徴収額の減免などにより支援する体制を構築可能だという。 そのほか、規模の拡大により「M&Aを含む新規事業の展開を加速する」とし、コア事業としてのスカパー!(124/128)やスカパー! 110の収益拡大に加え、両社それぞれの利益創出についても追求するという。仁藤氏は「今回の統合は第1段階。第2段階では、持株会社が、メディアを横断した様々な事業を持つ複合型企業の実現をイメージしている」と述べた。 また、スカパーは、同日に開催した取締役会において、ビックカメラの子会社であり、BS/110度CSデジタル放送事業者である日本ビーエス放送株式会社のCS放送事業を、子会社を通じて承継することも発表。 日本ビーエス放送は、2006年11月30日に110度CSデジタルでの放送休止を予定しており、スカパー! は、業務継承を通じて110度CSデジタル放送のハイビジョン化の拡充といった施策を検討するという。
JSATの磯崎社長は、衛星通信事業の今後について「光ファイバーの普及など、インフラが多様化したが、衛星はブロードバンドと相互に補完する関係。また、ポータブル端末への配信などの分野にも対応可能で、今回の統合がシナジーを発揮するだろう」とした。 統合による財務や中期目標のイメージについても発表。2007年3月期の業績見込み(連結)を単純に合算すると、営業利益は1,260億円、経常利益は112億円、当期利益は75億円となり、総資産は計3,028億円、時価総額(10月25日時点)は2,421億円。なお、JSATは同日に業績予想を上方修正している。「相互取引があるため、この額が全て業績とはならないが、それほど大きくは変わらないイメージ」(仁藤氏)とした。 中期目標として、加入者はモバイル、IP放送を含め700~800万件、売上高2,000~3,000億円を設定。統合後のグループ事業計画は2007年3月までに策定する。
(2006年10月26日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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