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ソニー、第2四半期決算は営業損失208億円
-バッテリ不具合が影響。エレクトロニクスは回復


大根田伸行 執行役EVP兼CFO

10月26日発表


 ソニーは26日、2006年度第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比8.3%増となる1兆8,542億円。営業損失は208億円、税引き前損失は261億円。当期純利益は前年比94.1%減の17億円となった。

 売上高は増加したが、デルやアップル、レノボなどのノートPCにおける、ソニー製リチウムイオンバッテリの回収費用として今期に512億円を計上したため、営業利益はマイナスとなった。

 上半期では売上高は前年同期比9.7%増の3兆5,984億円ながら、営業利益は同90.9%減の62億1,500万円となった。

第2四半期連結業績 営業利益修正要因


■ エレクトロニクスは好調。BRAVIAも下期黒字化へ

エレクトロニクス事業の業績

 一方、エレクトロニクス分野は前年比12.1%の増収で、回復基調。売上高は1兆3,784億円。営業利益は、前年度に厚生年金基金の代行返上益465億円があったことと、ノートPC用電池パックの回収費用512億円を計上したため、前年比71.4%減の81億円と減益となっている。

 製品別では、液晶テレビ「BRAVIA」や、PC「VAIO」、デジタルカメラ「サイバーショット」が営業利益にプラスに貢献。利益の絶対額では、「ビデオカメラ、デジタルカメラ、放送用機器の順(湯原隆男 コーポレートエグゼクティブ SVP)」という。

 液晶テレビは全地域で売り上げ増で、収益改善が図られたほか、ブラウン管テレビも減収だが、「構造改革の結果損益は改善した(湯原SVP)」という。テレビ事業においては「100億円の赤字。液晶テレビ単体でもまだ赤字。前期に第3四半期の年末商戦に向けた費用が入っており、第3四半期は利益が出ると期待している」とし、2006年下期の黒字化達成に意欲を見せた。

 しかし、エレクトロニクスの連結棚卸資産は前年同期末から3,287億円増の9,716億円となり、棚卸資産回転日数も58日に増えた。その要因は、液晶テレビとPLAYSTATION 3用の半導体。同社の大根田伸行 執行役EVP兼CFOは、「液晶テレビについては、第1四半期のワールドカップ商戦が振るわなかった結果を第2四半期に調整した。通常よりやや高い水準だが、販売の機会損失を避けるための必要なレベル」と説明した。

 また、PLAYSTATION 3用の半導体の在庫増は、出荷時期の遅れにより、CELLなどの半導体を在庫として処理したためという。

エレクトロニクス営業利益増減要因 エレクトロニクス連結棚卸し資産

ゲーム事業の業績

 ゲームについては、売上高は前年比約20.5%減の1,703億円、営業損失は435億円。PSP用ソフトが増収となったが、PS2ハードの販売数量減少や値下げにより減収となった。

 PSP、PS2ビジネスは前年並みだが、PLAYSTATION 3に向けた研究開発投資の継続などにより、大幅な損失を計上した。

 ハードウェアの生産台数はPS2が前年同期比1万台増の502万台、PSPが同14万台増の389万台。なお、2006年度のPLAYSTATION 3出荷目標600万台に変更はない。



■ 映画事業も赤字だが、「ダビンチコードに期待」

ソニー・エリクソン事業の業績

 ソニー・エリクソンは、売上高が前年比42%増の29億1,300万ユーロ、純利益は同187%増の2億9,800万ユーロと過去最高の業績を達成。サイバーショットケータイ(K800)やウォークマンケータイ(W810)などの製品が人気を集め、販売台数は前年同期比43%増の1,980万台。持分法によるソニーの投資利益は同211%増の218億円。

 映画については、売上高が前年同期比12.1%増の1,782億円、営業損失は153億円。劇場公開作品が前年比で増加しているため、全体の広告宣伝費も増加。また、「Zoom」や「All the King's Men」の不振により、損益が悪化した。

 DVD売り上げも減少しているが、年末に向けて「(DVD化される)ダ・ヴィンチ・コードは大きな利益を上げるだろう。映画ビジネスについては心配していない(大根田CFO)」という。

 SMEI、SMEJにおける音楽事業は、ディスク製造事業を別セグメントに移管したため売り上げが減少。売上高は815億円、営業利益は65億円。アルバムやシングルの売り上げは増加しており、売上貢献作品はYUKIの「Wave」、ビヨンセの「B'Day」など。

 ソニーBMGは、売上高が1%増の9億4,800万ドル、純損失は3,900万ドル。売上げ貢献作品はJustin Timberlakeの「FutureSex/LoveSounds」、ビヨンセの「B'Day」など。金融ビジネスは、売上高が前年比4.4%減の1,681億円、営業利益は同38.7%減の246億円。

映画の業績 音楽事業の業績 ソニーBMGの業績


■ 「連結営業利益率5%の旗は降ろさない」

連結営業利益率は2%

 通期の業績予測については、19日に発表した下方修正から変更はなく、売上高は8兆2,300億円、営業利益500億円、純利益800億円。

 同社では、2007年度末までの達成目標として、連結営業利益率を全社で5%、エレクトロニクス事業で4%を掲げている。しかし、構造改革費用は代行返上益、ノートPC用バッテリ回収/交換費用などを省いた今期の実績は全体で2%、エレクトロニクスで4.6%となっている。

 「1年で2%から5%に持って行くことは難しいのでは? 」との質問に、大根田CFOは、「5%の旗は降ろさない。現時点で利益率を下げているのはゲームだが、立ち上げの産みの苦しみの段階。来期にはコストダウンバージョンのPS3になり、数も歩留まりも上がる。そんなに大きな赤字にはならない。来期ではゲーム事業で大幅な改善が見込める」と説明。

 また、PLAYSTATION 3の年度内600万台という出荷目標の達成を疑問視する声には、「最大の商戦となる12月までに出せる数は確かに少ない。マーケティングの一つのやりかたとして、1月以降にクーポンを配るなど、1~2月にもモノを売れるような施策をSCEでは考えている。ゲームはもともと、1月以降も売れる製品。タフな状況ながら600万は達成できない数字ではないと考えている」とした。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/index.html
□関連記事
【10月19日】ソニー、バッテリ不具合やPS3値下げで業績下方修正
-純利益500億円減。PS3関連で300億円マイナス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061019/sony.htm
【7月27日】ソニー、2006年度第1四半期は営業黒字に転換
-「BRAVIA」好調でエレクトロニクスも黒字に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060727/sony.htm

( 2006年10月26日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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