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東芝、テレビ事業が黒字化、PC事業は74億円の赤字
-中間期決算は大幅な増収増益に


10月31日発表


 株式会社東芝は、2006年度中間期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比9.0%増の3兆1,620億円、営業利益は26.8%増の651億円、税引前利益は98.7%増の836億円、当期純利益は165.1%増の388億円となった。

 同社では、社会インフラ部門が当初計画よりも好調であることを背景に、10月17日付けで中間期の業績見通しを上方修正していた。

 なお、ウェスチングハウス社グループの買収資金を4,200億円の手当したことなどにより、総資産は、前年同期に比べて7,271億円増加し、5兆2,929億円となったほか、借入金・社債残高は2,906億円増加し、1兆2,871億円となった。



■ テレビ事業は第2四半期に黒字化達成

 セグメント別では、デジタルプロダクツの売上高が前年同期比13%増の1兆3,159億円、営業損失は前年同期に比べて143億円減のマイナス76億円となった。

 デジタルメディア事業において、薄型テレビおよびストレージデバイスが好調で大幅な増益。テレビ事業は、上期ではまだ赤字だが、第2四半期から黒字化しており、下期でも黒字化を目指す考え。

 「液晶パネルの調達価格の下落とともに、REGZAシリーズによって差異化した商品が投入でき、シェアが上昇したことが黒字化の要因。海外ではすでに黒字化しているが、国内は開発コストの負担などもあり、黒字転換には時間がかかる。海外で収益を確保し、テレビ事業全体では下期の黒字化を目指す」(代表執行役専務・村岡富美雄氏)とした。

 また、PC事業は、欧米市場における販売台数の伸張により、売上高は、前年同期比18%増の4,512億円と増収になったものの、価格下落や円安の影響を受けて収益が悪化し、PC事業の営業損失は、前年同期の14億円の黒字から、マイナス74億円の赤字となった。

 「前年同期は1ドル110円だったものが、今期は115円と円安に動いている。ODMでは、ドル建てで部品を調達しており、これが収益悪化に影響している」としている。

 PC事業は下期はブレイクイーブンに戻す計画を打ち出している。

 「3年前にPC事業が赤字化したきに実行した構造改革を再度実行する。固定費の大幅な削減、生産体制の見直し、プラットフォームの削減などに取り組むほか、このなかで調達CDの改善も行う。すでに、PC社社長が音頭をとって、実行に移しており、下期の収益はイーブンにする」とした。

 また、携帯電話は海外での販売台数が増加、国内でも上期は12%強のシェアを獲得して、第2位となるなど比較的順調だったが、MNP導入前の買い控えの影響を受けたほか、海外での価格下落の影響を受けて減収となった。

 「下期は機種の入れ替えなどがあり、数量的には厳しくなるが、上期に続いて利益を出していきたい」とした。



■ 電子デバイスは増収増益。家電も黒字転換

 電子デバイス事業は、売上高が前年同期比13%増の7,374億円、営業利益は152億円増の569億円。

 半導体事業において、メモリおよびシステムLSIが好調に推移し増収。高い利益水準を維持していることから増益にも貢献した。液晶ディスプレイ事業も携帯電話向けが海外を中心に好調で増収となった。

 社会インフラは、売上高が30億円増の8,291億円、営業利益は72億円増の106億円。

 電力システム事業においては、前年同期に東北電力の大型物件があったことから、この反動として、減収減益となる一方、社会システム事業において放送システムが大幅な増収となった。また、医用システムもマルチスライスCT装置が好調に推移した。

 家庭電器(家電)は、売上高が前年同期比9%増の3,672億円、営業利益は74億円増の11億円と黒字転換した。冷蔵庫、洗濯機および産業用照明が好調だったのが要因だという。



■ PS3の出荷量減少で、LSI事業は縮小の見通し

 なお、同社では、通期見通しを上方修正した。売上高は1,500億円増の6兆7,500億円、営業利益は50億円増の2,700億円、税引前利益は500億円増の2,700億円、当期純利益は200億円増の1,100億円とした。営業利益率は、初期見通しの4%を維持する。

 医用システム事業、電力システム事業などが当初見込みに対して堅調に推移しているほか、GE東芝シリコーンの株式売却益で570億円、東芝セラミックスの株式売却益で370億円などが下期に計上されることで、税引前利益が大幅に増加するため、としている。

 セグメント別では、デジタルプロダクツの売上高が500億円増の2兆7,500億円、営業利益は200億円減の150億円。PC事業は、上期に70億円の利益を見込んでいたが、これが74億円の赤字となり、下期はほぼイーブンで推移すると見込んでいることで、実質上、PC事業だけで約140億円の修正となった。PC事業の売上高予想は、8,800億円の初期予想から600億円増加し、9,400億円としている。

 電子デバイスは、売上高が700億円減の1兆5,500億円、営業利益は250億円減の1,300億円。半導体において、NAND型メモリが約50%という価格下落の影響を受けたこと、SCEの「PLAYSTATION 3」の出荷数量が、当初計画よりも大幅縮小したことで、PS3向けのシステムLSI事業が約110億円縮小したことなどが影響すると見ている。初期見通しに対して、シテスムLSIの売上高は162億円減の5,000億円、メモリが459億円減の4,590億円としている。

 社会インフラは、売上高が300億円増の1兆9,700億円、営業利益は350億円増の950億円、家電は、売上高が200億円増の7,300億円、営業利益は50億円増の100億円とした。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2006h1.htm
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060511/toshiba.htm

( 2006年10月31日 )

[Reported by 大河原克行]


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