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株式会社東芝は、第2世代HD DVDプレーヤー「HD-XA2/XF2」の発表会を開催。東芝上席常務 デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長は、新プレーヤーへの期待と、HD DVDの事業戦略を説明した。
藤井氏は、「ようやく日本においても、普及型のプレーヤーを発表できることになりました。東芝としては、DVDを急速に次世代DVD、HD DVDに移行したい」と、新プレーヤーでHD DVDの本格普及を目指す姿勢をアピール。また、民生プレーヤーやゲームのほか、「パソコンメーカーの関心が高まっている」とし、Qosmioでの搭載など「ハード的には十分に先行している。このポジションを維持していきたい」とPCでのHD DVDドライブ採用にも自信をのぞかせた。 パッケージソフトについては「以前は年末100本、できれば150~200本という話をしてきました。最初は不安もありましたが、北米ではすでに100本以上、日本でも40本以上が発売されている。年末までにトータルで300タイトルが発売される見込み。想像以上にリリースが進んでいる」とした。 HD DVDのアドバンテージとしては、アドバンスト・コンテンツによるPinP機能などを挙げ、「すでに多数のタイトルが実際に発売されている。インターネット機能も来年にも実現可能となる見込み。是非BDの方も一日も早くこうしたディスクを出していただいて、ともに次世代DVDを楽しみたいな、というのが偽らざる心境です」とコメント。さらに、HD DVD/DVDツインフォーマットディスクなどのHD DVDの特徴をアピールし、「コンテンツビジネスの見地からも1枚のディスクに2つのフォーマットが入るのは大きなメリット」とアピールした。
また、「某社は、『HD DVDは30GBで2時間半しか入らない。BDは6時間で、HD DVDでは映画が何割かが録れない』と言っているが、それはおかしい。地デジでは30GBで3時間50分入ります。来年には新しいレコーダも予定しているが、是非(H.264などの)トランスコーディング技術を入れたい。30GBでも6時間以上記録できるようになるだろう。いろいろな技術を使い方に応じて進歩させていくのが、エレクトロニクスメーカーの使命」とアピール。 HDDやフラッシュメモリの大容量化についても言及し、「今の地デジは圧倒的にHDDに記録されている。録画の中心はどの調査を見てもHDD。光ディスクとフラッシュメモリ、HDDのいいところ取りをした製品を消費者に提案していく。ダウンロードの時代にもHDDは必須。HDDを中心にした製品展開を考えていく」と説明。「市場が求めるより早くHD化を進め、最適な仕様で、最適なタイミング、最適な価格で提供する。HD DVDが次世代の最適なソリューション」と訴えた。 ■ 初の普及型HD DVDプレーヤーで市場拡大。HD化を推進
新プレーヤーについては、「日本では初めての普及型プレーヤー」として、特にHD-XF2を積極的にアピールしていく姿勢を示し、49,800円という想定価格を披露。「販売構成比では15:1で、HD-XF2を中心に力を入れて展開していく(東芝DM社 デジタルAV事業部 DAV国内営業部 増山泰正部長)」という。 なお、想定売価の49,800円については、「とにかく5万円を切りたいと第1世代発売時から考えていた」という。「正直数10ドルのDVDプレーヤーと比較しないでほしいが、ものすごい容量のDRAM、1億トランジスタを越えるLSIなどを搭載して、49,800円で発売できることは誇り。お買い得な値段だと思っている。是非体験してほしい」とアピールした。 また、当初11月10日頃の発表を予定していたが、「PLAYSTATION 3と重なってもしようがない。いくら東芝ががんばってもPS3には勝てないなと、分相応に敬意を表しまして、今日(15日)発表としました」という。なお、松下のBDレコーダの発売日に合わせたのでは? との問いには「松下さんには申し訳ないけど、忘れていました」。 第2世代HD DVDプレーヤーのキャッチコピーは「もうDVDもハイビジョン」。新聞や雑誌、交通広告などで積極的にHD DVDを訴求していく。体験展示や、体験/販促キャンペーンなども年末に向けて積極的に展開していくという。 なお、日本でのこれまでの販売台数はプレーヤーの「HD-XA1」が約1万台弱、レコーダが5,000台弱。北米ではプレーヤーが数万台販売されており、「大きな成果と考えている(藤井社長)」という。2006年度の販売目標は50~60万台。すでに発売を予定している日本、北米、欧州、豪州のほか、2007年度にはアジアや南米での展開も目指している。 北米モデルのHD DVDプレーヤー「HD-A2(国内ではHD-XF2)」は、当初10月の発売を予定していたが、部材の調達などの問題から、12月に発売延期している。原因については、一部部材の問題だが、「青色レーザーの遅れではない」という。 HD DVDレコーダの投入計画については、「RD-A1は398,000円という価格で、消費者の夢を壊すなどと批判も頂いてしまったが、高画質/高画質を求める方の『メモリアルプロダクト』。ただし、レコーダは日本においてはメジャーな製品。東芝として次世代にシフトを図るのだから、来年は期待できる製品が出せるのではないか」と説明した。 また、HD DVDのドライブ事業については、「(新製品のドライブも)東芝で作っている。ドライブは民生用、ゲーム用、パソコン用とフルラインナップで進めており、第3世代までロードマップが完成している。全力を挙げて取り組んでいる」と、積極的な取り組みをアピール。 HD DVDのドライブメーカーが少ないことについては、「絶好のチャンスと考えている」とし、「パソコンではコストが重視されるが、コスト面での優位性は明らか。1社で何千万台でも作りたい。Lite-OnやまだHD DVDドライブを発表していない会社もあるので、100%われわれが作るという訳にはいかないが、従来の日本のドライブメーカーにはないメンタリティで世界制覇を目指したい」という。 Xbox 360 HD DVDプレーヤーとの競合については、「とにかく急速にHD化を進めていきたいので、競合というより、BDプレーヤーも含めて、もっともっとたくさん売っていただきたい。BDもがんばって5万円を切るプレーヤーを出して、どんどんHD化を進めていほしい。Xboxのプレーヤーは、ドライブ供給者としても全世界でもますます売れることを切に願っています」とした。 ■ パートナーとの協力関係をアピール また、マイクロソフト株式会社 執行役 エンターテインメント事業部 Xbox事業本部長の泉水敬氏は、同社のHD DVDへの取り組みを紹介。互換性やHDiのインタラクティブ機能、低コストなディスク生産、コンテンツ業界の支持など、同社がHD DVDを推進する理由を簡単に紹介したほか、同日に発表したバンダイビジュアルとメモリーテックとのアニメの高画質化への取り組みについても言及。 また、日本で23日に発売予定のXbox 360 HD DVDプレーヤーについては、「すでに発売された欧米でも好評。Xbox 360のユーザーさんが気軽にHD DVDを楽しめるようになる」とし、「ソフトウェアの技術を通じて、HD DVD推進に貢献していきたい」と訴えた。
さらにHD DVDタイトルを発売/発売予定の各ソフトメーカーの代表者も登壇。ユニバーサル・ピクチャーズジャパンの秋山玄社長が挨拶を行なった。JVAの調査を例に引き、「年間3万円分以上のDVDを購入する約6%のユーザーが、金額ベースでは市場の約78%を占めている。従来この6%のユーザーに向けて、さまざまな提案を行なってきた。しかし、市場も成熟し、新しいアイデアを求めてきた。新しいHD DVDの発売とともに、残りの94%のユーザーにも訴求していきたい」と訴えた。 メモリーテック株式会社の川﨑代治社長は、「ディスク製造の準備は進んでいる。品質、コスト面でHD DVDが遙かに有利と考えており、今日時点で月に1,000万枚以上のHD DVD生産体制を整えている」と、ディスク製作の準備が進んでいることをアピール。また、「コンテンツメーカーと協力し、高画質な映像の実現にも取り組んでいる」とし、NHKと共同で製作した「映像詩 里山 命めぐる水辺」や、バンダイビジュアルとの連携などに言及。「今後もパートナー各社、消費者にとって魅力のあるHD DVDの普及のために取り組んでいく」とした。
□東芝のホームページ ( 2006年11月15日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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