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米DivXは13日、日本国内のDivX関連製品の現状や、活動強化に関する記者説明会を開催した。 DivXは、動画圧縮コーデックの「DivX」(最新バージョンは6.4)を開発するほか、DivXコーデックを利用した変換ソフトやプレーヤーソフトの開発/配布も行なっている。ダウンロード配信用には、独自のDRMも開発しており、海外では採用例も多い。また、2006年8月からは、高品質が特徴の動画共有サービス「DivX Stage6」の提供も開始している。 また、DivX 6以降のコーデックには、より高機能なプロファイルとして「DivX Ultra」を用意。DVDビデオのようなメニューやチャプター、音声切替や解像度変更設定といった機能が利用できるDivXの拡張フォーマットで、再生対応機器やプレーヤーソフトと組み合わせて利用できる。 これまで同社では、こうしたサービスやコーデック配布開始などの情報を積極的に公開しておらず、実質的な国内での記者説明会は、今回が初となる。
■ 海外では、映画バンドルのDVDプレーヤーを販売
まずは、ワールドワイドでの実績について、DivXのCXO(Chief DivX Officer)であるKevin Hell氏が説明を行なった。コーデックや変換ソフト、再生ソフトなどのDivXソフトウェアのダウンロード数は約2億。DivX再生機能を備える同社の認証取得機器については、5,000万台を販売していると実績を報告。 また、独自開発のDRMと認証機器との組み合わせを利用したビジネスについても好調で、配信事業では、フランスのinaや、イタリアのWINDなど海外の大手配信サイトがDivX DRMでの配信を展開しているとした。 海外で販売されているDVDプレーヤーなどの多くがDivX再生機能を備え、DivX認証を取得している。そのため、PC上でCD/DVDメディアに記録したDivXコンテンツをリビングのDVDプレーヤーで楽しめるといった環境が整っているという。 そのほか、インドなどの事例として、DRM付きDivXコンテンツをバンドルしたプレーヤー機器の販売についても解説。1枚のメディア内に6本のDivXによる映画コンテンツをバンドルし、プレーヤー購入後にすぐに映画を楽しめる。こうしたバンドル戦略は、コンテンツを手軽に購入できない国々での需要が高く、評判もいいとしている。
日本におけるDivXの現状についても解説。DivXソフトウェアのダウンロード数は全世界におけるダウンロード数の約10%程度となる2,000万以上。 現在、大手家電量販店では、30以上のDivX認証取得済み製品が販売されているとした。特にHDMI出力搭載のパイオニア製DVDプレーヤー「DV-696AV」が、8月発表のBCNランキングにおいて、DVDプレーヤー部門で1位を獲得しており、DivX認証を取得した製品がランキングのトップを獲得した点を強調。 また、ペンタックスのコンパクトデジタルカメラ「Optio」シリーズやカシオの「EX-S770D」などの動画撮影機能にDivXコーデックが採用されているほか、東芝が12月に発売するポータブルDVDプレーヤー「ポータロウ」シリーズ2モデルでDivX再生機能を搭載するなど、日本国内においても、DivX対応機器が増えている点を重ねて強調した。
■ 動画共有サービス「Stage6」は日本ユーザーが全体の約半数 同社の動画共有サービス「DivX Stage6」についても、デモを交えて詳細な説明を行なった。Stage 6は、2006年8月よりサービスを開始している動画共有サービス。「YouTube」や「Google Video」など、既存の類似サービスは多いが、同社では、Stage6がこうした他社のサービスと異なるポイントを列挙した。
1つは、高解像度の動画ファイルのアップロード/ダウンロードに対応していること。また、アップロードの際には、同社無償配布の「DivXプレーヤーソフト」を使用して、簡単にアップロードして公開できる。そのほか、ブラウザ上から手軽にコンテンツのダウンロードが行なえる点についても、他社サービスと異なるポイントであると説明。
Stage6は、サービス開始後、11月までの日本からのアクセス数が700万以上を記録したという。アクセス数全体の約半数が日本からのアクセスによるもので、日本からの利用者が多い理由として「高品質な動画共有サービスへの需要の高さによるもの」としている。 また、近日中にStage6上で、DRM付きDivXコンテンツの有料ダウンロード配信も検討中であるとした。 ■ 日本国内でも、デジタルメディアの「エコシステム」を実現したい
同社日本事業所の日本代表、大沢幸弘氏は、今後の国内での事業展開について説明した。 「今後は、さらに多くの機器にDivXを搭載してもらい、相互に連動するデジタルメディアの『エコシステム』の構築を目指す。現時点ではまだDivXを搭載する携帯電話は市場には存在しないが、近日中に、韓国Samsungから、DivX再生に対応する携帯電話が登場する予定。また、デジタルテレビについては、まだ搭載例がない。こうした機器にもDivXを搭載することで、エコシステムの実現に近づけていく」と目標を語った。 「DivXを共通のメディア言語のようなものとして構築していくのが究極の目標となる。家庭内の全ての機器にDivXを搭載、各家庭がDivX搭載機器に囲まれていれば、世界中どこでも同じコンテンツが再生できる」とした。
日本国内でのDivXに対する印象についても言及、「2004年頃、日本の家電量販店などに行ってもDivXのロゴを見かけることはほとんどなかった。この時期に、DivXに興味を示していたのはITリテラシーの高い利用者たちが中心だったため、機器としてもあまりメジャーなものはなかった。ところが、現在では、店頭で非常に多くの機器にDivXのロゴが確認できるようになった」とDivX対応機器の増加について解説した。 また、Stage6については、「映像編集ソフトなどを趣味で購入した人たちに対して、公開の場を設けたかった。個人で作成した作品は、自分のブログやサイトで公開しても、人から見てもらえる機会が少ない。多くの人が見られる場所での公開の機会を提供したいと考えていたが、Stage6はそういう人たちにこそ是非使ってほしいサービス」と提案。 「日本の利用者は画質に厳しい人が多い。だからこそ、Stage6は他の動画共有サービスと異なるものとして、日本で広く受けれられているのだと思う。YouTubeなどと同様、違法なアップロードも多いが、米国の法規に則って順次対応している」とした。 なお、Stage6のサイトは現時点ではα版で、日本語化などのスケジュールについては未定としている。 ■ 国内からも対応機器が続々増加の予定 日本では、DivXの印象は「P2Pのファイル交換」など、どちらかというとアンダーグラウンドなイメージが強い。 こうしたイメージの払拭について、大沢代表は「DivXは、これまであまり積極的にマーケティング活動を行なっておらず、どちらかというと利用者同士の“口コミ”による広がりによるところが大きかった。にも関わらず、正直、日本で失敗しているとは感じていない。売上額は日本国内でも着々と伸びている」と説明した。 さらに、「今は言えないが、今後も続々国内での採用メーカーが増える予定になっており、不安は全く感じていない。今後は新製品や新情報を随時提供していくことで、より多くの人たちにDivXという名前を知ってもらい、浸透率を上げていくために、努力していく。2007年頭に開催するCESでは、DivX関連の大きな話がいろいろ出てくると思うので、ご期待下さい」と締めくくった。 □DivXのホームページ ( 2006年12月13日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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