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シャープに聞く「32型AQUOSで“フルHD”の理由」
-「2台目のテレビ」として訴求。さらなる小型化も検討


12月22日発売

標準価格:オープンプライス


 年末商戦もピークを迎え、薄型テレビの低価格化も加速。市場拡大が続いているが、その薄型テレビのトレンドといえば、「大画面化」と「フルHD」だろう。

 1,920×1,080ドットの「フルHD」に関しては、原理上、実現が難しかったプラズマテレビにおいても、VIERA「PZ600」シリーズなどの製品が登場。液晶においては、37型以上の販売構成比で7割以上がフルHD化を果たしている。

 もう一方のトレンド「大画面化」も着実に進行している。液晶テレビにおいては、32型から37型に人気が移行。このクラスの価格下落が非常に激しくなっている。プラズマはもちろん、BRAVIAで40型以上を積極展開するソニー、亀山第二工場の稼働にあわせて大型化を推進するシャープなど、従来はプラズマの独壇場だった40型以上で攻勢をかけ、大画面化のトレンドに拍車をかけている。

 そうした中、シャープは12日に業界初の32型のフルHD液晶テレビ「AQUOS LC-32GS10/GS20」を発表。22日より販売を開始する。従来フルHD液晶テレビの下限は37型となっていたが、より小型のサイズでもフルHDを実現した。折しも市場のトレンドは大画面に傾いており、シャープでもそのトレンドを推進しているだけに、この「フルHD小型化」のターゲットは何だろうか? 32型のフルHD AQUOSを投入する狙いをシャープに聞いた。

LC-32GS10 LC-32GS20


■ 狙いは「2台目」のテレビ

AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部 出野忠男 副事業部長 兼 商品企画部長

 32型フルHD AQUOSを投入した理由について、同社AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部 出野忠男 副事業部長 兼 商品企画部長は、「狙いは2台目のテレビ」と語る。

 同社の調査では32型AQUOSの購入者の約1割がプライベート用の「2台目テレビ」として導入。さらに、AQUOS購入者調査でも、2台目に欲しいテレビのサイズとして「32型」という回答が約2割となったという。元より人気の高い32型だが、大画面化が進む中でも、「メインのテレビとしてだけでなく、セカンドテレビとしても32型フルHDの需要はある、と確信を持った」という。

 テレビを取り巻く環境としては、地上デジタル放送の普及により、ハイビジョン環境がより一般的なものになっている。一方、Blu-ray DiscやHD DVD、ハイビジョンビデオカメラ、PLAYSTATION 3といったゲーム機など、“放送を越えるクオリティ”のコンテンツも現れ始めている。

 「もはや、(1080iの)放送が一番すごいものというわけではない」というのが、デジタルコンテンツを取り巻く現状。そうした中、放送を受信するだけの“テレビ”としてだけでなく、パソコンとの接続や、デジタルカメラ画像の確認など、多用途ディスプレイとして、32型フルHD AQUOSを訴求していくという。

 例えば、32型で200万画素のフルHDパネルとなると、ドットピッチも0.36mmと微細になる。そのため、「デジタルカメラで撮影した写真のチェックや、画像を皆で楽しむ環境としては非常に使いやすい」という。32型の平均的な視聴距離を約1.2mとすると、「WXGAの従来機種ではドットが見えてしまう。また、40型超でも同様にドットが判別できてしまうが、32型程度であれば、手の届く距離でも画素が確認できず、緻密で豊かな映像表現を楽しめる」とその魅力を訴える。

 LC-32GS10/GS20では、1080p対応のHDMI入力を2系統備えるほか、DVI-I端子も装備。さらに、PC入力時にオーバースキャンを解除して、画素を1対1で表示する「Dot by Dot」モードを備えるなど、PC接続で活用することを強く意識した設計としているという。

32型フルHDで写真鑑賞などを提案 HDMI×2のほか、DVI端子も備える

 また、37型までの「AQUOS Gシリーズ」は、デジタルダブルチューナ構成としていたが、LC-32GS20/GS10ではシングルチューナ化した。これも、「パーソナルユース」を重視しての判断という。

 液晶パネルは亀山第1工場製だが、亀山第2工場の最新技術を投入した「ブラックASV」を採用。新しい液晶材料やインクジェット方式カラーフィルターなどを導入することで、暗室コントラスト比は世界最高という2,000:1を実現。実用環境における「リビングコントラスト」も900:1を実現している。


■ さらなる小型化や、応答速度改善にも取り組む

既存の32型WXGAモデル「LC-32GH1」(左)と、37型フルHD「LC-37GX1W」(右)と比較

 今回、業界で初という32型フルHDを達成した「LC-32GS10/GS20」。出野副事業部長は「他社よりも半年ぐらいは先行できたのでは」と自信のほどを語る。店頭予想価格は、「WXGAモデルプラス5万円」とのことで、28万円前後が見込まれる。

 フルHD 32型AQUOSの月産販売台数は、アンダースピーカー型の「LC-32GS10」が5,000台、サイドスピーカー型の「LC-32GS20」が4,000台。価格下落の激しい32型であるものの、「希望としては、32型のAQUOSの中でフルHDが2割程度まで増えて欲しい」という。

 もっとも、37型では市場の約7割がフルHD化しており、こちらも価格下落が進んでいる。32型フルHDの成功のために、画面サイズと価格差だけでなく、用途提案により新しい“32型ならでは”の魅力をアピールしていく考えだ。

 それでは、このままよりフルHD/小型化を、目指していくのだろうか?

 「2004年に45型のフルHDを出したときには、『その次は37型?』と聞かれた。37型の後は32型と来た。当然、その次の26型も検討し、開発を進めている」という。「技術的に問題はない。ただし、それが『AQUOSシリーズ』としてお客様に提供できる価格合理性を出せるか、市場性はあるか、今後判断していかなければいけない」と語る。

 しかし、「デジタルカメラも低価格モデルが1,000万画素という時代で、より高い性能への要求は続くだろう。チャレンジを続けると、新しい用途も生まれてくるはず。今回のように用途提案をしながら、積極的に取り組んでいきたい」と前向きな姿勢を示す。

 また、もう一点期待されるのが、応答速度の改善技術。LC-32GS10/GS20では液晶パネルの特性改善や、応答速度改善技術「QuickShoot」により6msを実現している。CEATECなどの展示会では、120Hz倍速駆動に応答速度改善技術の展示なども行なっていたが、「(倍速駆動を)やるのであればフルHDでと考えている」という。既に同技術を実装したLSIの開発などを進めており、「準備は進んでいるので、期待して欲しい」という。


□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/061212-a.html
□関連記事
【12月12日】シャープ、液晶TV「AQUOS」に初の32型フルHDモデル
-Gシリーズに追加。コントラスト2,000:1。実売28万円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061212/sharp.htm

( 2006年12月13日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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