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著作権法を改正。IPマルチキャストの権利処理を円滑化
-著作権侵害の罰則強化など


12月15日成立


 12月15日の第165回臨時国会において、著作権法の一部を改正する法律案が成立した。同案では、IPマルチキャストの権利処理の円滑化など、放送のIP伝送に向けた見直しが盛り込まれている。施行日は原則2007年7月1日だが、IPマルチキャストに関連する部分については公布の日から起算して20日となる。

 IP網を利用して、1対多の通信によりコンテンツを配信する「IPマルチキャスト」については、地上デジタル放送への全面移行に向け、難視聴対策などの補完的な伝送路として実用化に向け、検討が進められている。

 しかし、IPマルチキャストは著作権法上「(有線)放送」ではなく、「自動公衆再送信」に該当するため、一般的なインターネット送信と同様に、原則として権利者の許諾を必要としていた。そのため、放送番組をIPマルチキャストで同時再送信する場合、事前に作曲家や実演家、レコード会社などの権利者から個別に許諾を取る必要があり、権利許諾の難しさが指摘されてきた。

 今回、IPマルチキャストを用いた放送対象区域内における同時再送信については、実演家とレコード制作者への許諾を不要とした。また、実演家とレコード制作者については補償金の支払いを義務づけた。なお、著作者への許諾は必要。有線放送についても従来は無権利となっていたが、実演家とレコード制作者に報酬請求権を付与した。

 そのほか、公衆送信の定義を見直し、同一構内の無線LAN送信については有線LANと同様に公衆送信の範囲から除外。また、点字図書館などの障害者情報提供施設などの録音図書の自動公衆再送信や、特許審査手続きの文書作成のための複製、機器の保守/点検のための一時的な複製などに権利制限が認められた。

 海賊版についても、「情を知って業として『輸出』又は『輸出の目的をもって所持』する行為」について、著作権等を侵害する行為とみなすこととした。

 著作権侵害に関わる係る罰則の強化も盛り込まれ、懲役刑は従来の「5年以下」から、「10年以下」に変更。罰金刑については、個人の場合従来の「500万円以下」から、「1,000万円以下」、法人の場合「1億5,000万円以下」から「3億円以下」に変更されている。

□文化庁のホームページ
http://www.bunka.go.jp/
□ニュースリリース
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/chosakukenhou_kaisei.html
□関連記事
【2月20日】IPマルチキャスト放送に向けた法改正を提言
-知的財産戦略本部がコンテンツ振興策を発表
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060220/kantei.htm

( 2006年12月18日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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