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パイオニア株式会社は28日、業界初となる、PLC(電力線搬送通信)を利用したネットワーク・オーディオシステム「music tap」を発表。マスコミ向けに発表会を開催し、PLCを利用して家の中に音楽が溢れるライフスタイルを提案した。 「music tap」は電源コンセントを介して、ベースとなるサウンドステーションから、各部屋のネットワークスピーカーへ音楽を配信するシステム。PLCを利用することで、無線LANなどを利用せずに、離れた部屋へ音楽を伝送できることが特徴となっている。
「music tap」という商品名について、ホームエンタテインメントビジネスグループ 事業企画部 AV企画部 システム企画課の一樂淳史氏は「tapという言葉は蛇口を意味する。水道の蛇口のように、電源コンセントに繋ぐだけで、家のどこでも音楽が溢れ出してくるイメージで命名した」という。
組み合わせるネットワークスピーカーは、L型がユニットを天面に向けた無指向性システム、S型もモノラルであり、BGM的な利用を想定していることがわかる。一樂氏は「生活にゆとりが出てくる団塊の世代も含め、今の人々の音楽との付き合い方を考えた結果、BGM的な利用のニーズが多いと判断した」という。
その結果、一般的なオーディオユーザーとは正反対と言っていい「主要都市に住む20代後半から30代の、共働きで子供のいない夫婦」をメインターゲットに据えたという。一樂氏はこの層を「自分達のライフスタイルイメージと経済力の両方を持つ人々」と定義。インタビュー調査を行なったところ、「電源コードを挿すだけで楽しめるシンプルさや、余分なコードがいらない合理性、コンポを複数必要としない省スペース性に大きな反響があった」という。
これに合わせ、女性の視点に立った、生活に溶け込むデザインを模索。食卓のプレートのような薄型のサウンドステーションや、華を生ける花器のようなネットワークスピーカー Sなどのデザインが決定。「花のように音楽を“飾る”ライフスタイルを提案していきたい」という。
■ 開発のキッカケはワイヤレスシアターシステム 発表会では実際にサウンドステーションから電源コネクタへ音楽を伝送。会場の床にあるコンセントにネットワークスピーカーを挿すだけで、音楽が流れるデモを実施。簡便さをアピールした。
また、最大6台までのスピーカーに配信できるメリットをアピールするため、「music tapを導入した家庭の1日の例」を紹介。この例ではサウンドステーションとiPodドック(IDK-01)を接続し、リビングに設置。朝、ユーザーのベッドルームに設置したスピーカーが目覚ましタイマー機能で自動的にONになり、連動してリビングのサウンドステーション/iPodが起動。iPodの再生音がベッドルームに流れる。
そのままユーザーが朝食をとりにダイニングに向かうと、設置したネットワークスピーカー Sが人影を感知して、再生を続けているiPodの音を受信。トイレに入っても、洗面台に行っても、そこに設置されたS型スピーカーが音楽を奏で、ユーザーがいなくなると停止する。一樂氏はこうした流れを「部屋を移動しても音楽がついてくるような暮らし」と表現した。 同社では2.4GHz帯を利用し、リアスピーカーをワイヤレス接続するシアタースピーカーシステムを販売している。リアスピーカーのみを台所などに運び、ワイヤレススピーカーとしても利用できるというものだがこれが「music tap」開発のキッカケになったという。 「住宅の環境によっては、2.4GHz帯や無線LANでは届かないケースもあった。こうした技術を利用しなかったのは、PLCでより確実に音楽を各部屋に届けたいと考えたから」だという。今後の展開については「独自の規格ではなくPLCに準拠しているため、他社も同じ設計のシステムが作れると考えている」とした。
□パイオニアのホームページ
(2007年2月28日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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