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その年度に最も印象に残る活躍をした声優を対象に、その業績を称える「声優アワード」の授賞式が3日、東京・秋葉原UDXにて行なわれ、主演男優賞を福山潤さんが、女優賞を朴●美(“●”は王へんに路/ぱくろみ)さんがそれぞれ受賞した。
声優アワード実行委員会が主催するもので、今年度が第1回目となる。2006年10月に投票が開始された一般投票を第一次選考とし、2月にノミネート者を発表。その後、選考委員会による審議を経て受賞者が決定した。各賞の受賞者は下表の通り。
なお、アワードの概要発表の際は「サブキャラクター賞」と「新人賞」は、男優と女優でそれぞれ1名枠とされていたが、最終的な選考が難航。その結果、それぞれ複数名受賞となっている。
また、一次投票の結果から選出を行なう前述の賞に加え、選考委員会によって顕彰される特別賞も以下の方々に贈られた。
主演男優賞に輝いた福山潤さんは、「プリンセス・プリンセス」や「xxxHOLiC」、「コードギアス 反逆のルルーシュ」など話題作の主役を次々と演じ、コメディチックな表現から凄みの効いた男らしい声まで幅広い役柄をこなした。「声優という、なりたかった職業になれて、役を演じてご飯が食べられる。それだけで幸せなのですが、その仕事がこうして評価していただき、嬉しい気持ちでいっぱいです」(福山さん)。 主演女優賞の朴さんは「NANA」の大崎ナナ役で活躍したほか、「うえきの法則」の植木耕助など男性キャラクターもこなす演技力豊かな声優。「諸先輩方の言葉を聞いて、このトロフィーが今の私には重く感じられます。私の名前は“王の路(みち)を美しく”という意味を込めて父が付けてくれました。これからもその名に恥じぬよう、トロフィーの重みに負けぬよう頑張ります」と喜びを語った。 サブキャラクター賞の石田彰さんは「機動戦士ガンダムSEED DESTENY」のアスラン・ザラ役や、「BLOOD+」のジョエルなど、主役にも負けない作品の核となる脇役を熱演。宮田幸季さんは「吉永さん家のガーゴイル」の吉永和己役で作品を支えたほか、東京アニメセンターRADIOのパーソナリティーとしても活躍。 小清水亜美さんも「くじびきアンバランス」や「コードギアス 反逆のルルーシュ」カレン役など、現在のアニメシーンに欠かせない存在。後藤邑子さんは「涼宮ハルヒの憂鬱」朝比奈みくる役で大ブレイク。独特の可愛らしい声で多くのファンを魅了した。
新人賞に選ばれた柿原徹也さんは、「プリンセス・プリンセス」の豊実琴役で存在感のある演技を披露した点が評価。「一生に一度しか貰えない賞を頂けて光栄です」(柿原さん)。森田成一さんは「BLEACH」の黒崎一護役など、女性ファンを魅了する声色とルックスが魅力。「応援してくださった皆さんの声で頂けた賞です」と、それぞれ喜びを語った。
同じく新人賞を獲得した平野綾さんは「去年は沢山の作品に関わらせていただきました。今年も去年以上に頑張ります!」と喜びを爆発。その言葉通り2006年は「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒ役や「DEATH NOTE」の弥海砂役など多数の作品に参加。その人気だけでなく、「NANA」のレイラなど少女から大人の女性まで幅広い演技も評価された。もう1人の新人賞、鹿野優以さんは「ひまわりっ!」にレギュラー出演し、「すもももももも~ 地上最強のヨメ~」ではヒロインに大抜擢。キャラクターの魅力を最大限に発揮する演技で期待に応えた。
歌唱賞を受賞した水樹奈々さんは、武道館などで精力的にコンサート活動を行ない、声優という枠を超えたミュージシャンとしての活動が評価。浅野真澄さんは声優として活躍する一方、「A&G 超RADIO SHOW~アニスパ!~」のパーソナリティを鷲崎健さんとともに担当。歯に衣着せぬマイペーストークで多くのリスナーを魅了しベストパーソナリティ賞を受賞。「声優になるまではラジオを聴いたことがなかったのですが、こんな賞をいただけるなんて感激です」と笑顔で語った。
声優をメインとした賞の創設は初めてということもあり、第1回では約50年の歴史を持つ洋画の吹き替えや、アニメの声優、ナレーションなどの歴史を振り返り、声優という職業そのものの認知拡大や地位向上に多大な貢献をしたベテラン声優達にも功労賞などが贈られた。 「銀河鉄道999」のメーテル役などで知られる池田昌子さんは「亡くなられた富山敬さんなど、諸先輩方と一緒に受賞した気持ちです」。「ドラえもん」ののび太役でお馴染み小原乃梨子さんは、山田康雄さんや城達也さんなどの名前を挙げながら「アカデミー賞のように、今までお世話になった人々の名前をずっと言っていきたい気分」と瞳をうるませた。 マリリン・モンローの吹き替えを、ほぼ専属で担当している向井真理子さんは「マリリンを真似て、今日はシャネルの5番の香水をつけてきました」と微笑み、最後には「ププッピドゥ~」も披露。会場から大きな拍手を受けた。 「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造や「ハクション大魔王」の魔王役などで知られる大平透さんも「生きているうちにこんな賞を頂けるとは。この仕事を始めて50年、まだまだやれるかなという気持ちになります」と感激した。 アニメーションは日本が誇るコンテンツの1つとして注目を集めており、映画祭などでそのクオリティの高さを表彰される機会も増えている。しかし、アニメーション部門など、作品としてのみの受賞が多く、監督や声優などが個別に評価される機会は実写作品と比べて少ない。
反面、アニメ作品や声優が参加するゲームやラジオ番組の増加、インターネットラジオの台頭などで、これまで表舞台に立つ事が少なかった声優という職業の現状は大きく変化。役柄とセットではなく、声優が個人として注目を集める機会が多くなり、歌手としてCDセールスランキングの上位にランクインするなど、活躍の場や求められる資質も多岐にわたっている。 声優個人の活動を作品の枠を超えて評価/表彰する今回のアワードは、こうした現状の中で、声優という職の持つ意味をあらためて見つめ直す意義があると言えるだろう。同時に、日陰の存在だった声優界の黎明期を支え、今日の発展へと繋げたベテラン声優達の受賞コメントは、いずれも声優個人として評価されることへの喜びに満ちたもので、胸に迫るものがあった。 サブキャラクター賞を受賞した石田彰さんの「先輩方の言葉を聞いて、これまでの歴史の重みや、今なお、誰もが知っているキャラクターを作り出せるような仕事にたずさわっているんだという気持ちを新たにした。僕らはつたないですが、続いてきた歴史を受け継いでいけるよう、頑張りたい」というコメントが印象に残る授賞式となった。
□東京アニメセンターのホームページ
(2007年3月3日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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