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ピクセラが初のデジタルラジオ/ワンセグ対応USBチューナを展示
-デジラジ研究発表会。文化放送はアニラジをスタート


3月6日開催


 地上デジタルラジオの普及に向け、ビジネス面での環境整備や普及活動を行なう「デジタルラジオ・ニュービジネス・フォーラム」は6日、デジタルラジオに関連したサービスの研究を行なっている各ワーキンググループの成果報告会を開催した。

 会場ではワーキンググループが各自の研究内容の紹介、実証実験の成果などをデモしたほか、ピクセラがPC向けUSBチューナとして初となる、1/3セグメント受信に対応したUSB接続のチューナを展示した。


■ デジタルラジオも受信できるPC用USBワンセグチューナ

 ピクセラが展示していたのは、未発表のUSBワンセグチューナ「PIX-ST050-PU0」。最大の特徴はRfStreamが開発した1/3セグ対応のシリコンチューナモジュール「TDJ1200ST」を採用したこと。ワンセグ放送に加え、デジタルラジオの1/3セグメント放送の受信も可能になっている。

 これに合わせて、デジタルラジオ受信用のアプリケーション「StationMobile Radio Edition」もβ版として開発中。デジタルラジオの特徴であるMPEG-4 AVC/H.264を使った簡易動画の再生や、P2プロファイルデータ放送、EPG表示などもサポートしている。

PIX-ST050-PU0 StationMobile Radio Edition β版

 同USBデジタルラジオ/ワンセグチューナの発売日や価格などは明らかにされていないが、「ユーザーがワンセグに加え、デジタルラジオも体験できるモデルにしようと計画している」(同社)という。

1/3セグ対応のシリコンチューナモジュール「DJ1200ST」。12.5×12.5×1.2mm(縦×横×厚さ)と非常に小さいのが特徴。消費電力も抑えられている 本体にはロッドアンテナが付属。USB端子の保護キャップは、両側側面に穴が開いており、アンテナに通すことで無くす心配がない


■ デジタルラジオでのアニラジ番組は3月12日スタート

 各WG(ワーキンググループ)の成果報告では、デジタルラジオを使った新しいサービスの検討が進められている。今回の発表の傾向は、サービスのアイデアを検討していたこれまでの報告から一歩進んで、対応機器の開発や実証実験を行なったWGが多く、本サービス開始に向けた準備が整いつつあるようだ。

 「楽曲ダウンロードWG」では、デジタルラジオの放送波を利用した音楽ファイルのダウンロードサービスを検証。DRMとして、メロディーズ&メモリーズ グローバルが共通化を呼びかけている「許諾コード」を利用。コンテンツの再生制御などが行なえるもので、実際に楽曲データ(250kbpsの着うたフル)に再生制御情報を加えて放送し、端末側で保存。端末で取得した許諾コード通りに再生ができるかの検証を行なったという。

 さらに、実際の利用を想定し、ライセンスの取得を車などの移動機器内から行ない、正常に取得できるか否かの実験や、許諾コードに記載された「当日のみ再生可」、「再生回数制限」、「外部メモリへの書き出し制限」などの各機能も検証された。その結果、実験は概ね成功したが、楽曲のダウンロードを行なう「Now ON AIR画面」の表示時間が短く、ダウンロードに手間取っている間に次の曲の画面に切り替わってしまうなどの改善課題も出てきたという。

デジタルラジオでの楽曲ダウンロードと許諾コード取得の流れ 許諾コードを用いた想定サービススキームと、主な実験の内容

 文化放送が中心となって活動している、「コンテンツ別コミュニティ・ビジネスWG AKIBAコミュニティ分科会」では、デジタルラジオのターゲットリスナーの設定や分析などを通して、放送内容やサービスなどのアプローチを研究したという。

 文化放送 デジタル事業局の長島太郎部次長補佐は、デジタルラジオの想定リスナーとして「文化放送がAMラジオで獲得しているアニメ&ゲーム(A&G)リスナーが多くなるだろう」と予測。そのリスナー像については「マスメディアに流されず、ネットの口コミなどを情報源として活用し、メディアに対してニュートラルな感覚を持つ人々。そして、商品購入にあたっては、自らの情報収集手段を持ち、購入前に相当量の商品情報を持つ選択眼の厳しい人々」と分析する。

 その上で広告主が消費を促進したいブランドがある場合、「まず、通信誘導が容易に行なえるデジタルラジオで“擬似ブランド体験”を提供する。次に携帯電話の通信を利用してバーチャルでのブランド体験を提供。そして、最後にはイベントなど、リアルでのブランド体験に繋げることで新しい消費者との接点が獲得できる」と説明。

 この考えに基づき文化放送では、秋葉原の東京アニメセンターでの声優を起用したラジオの公開録音や、声優アワードへの協力、武道館でのアニメロサマーライブなどを実施。「放送とリアルの融合」を進め、ラジオを離れ、リスナーと外での接点を確保してきたという。

 そして、デジタルラジオでの具体的な展開として、4月からステーションネームを「UNIQue!」(ユニーク)に変更。アジアの情報を中心としたコンテンツやAMの文化放送と連動した番組など様々なコンテンツを用意するという。また、それに先駆けて3月12日から、アニメ&ゲームゾーンの核となる番組「Voice of A&G Digital」を放送するという。月曜日から木曜日までの3時間で、生放送を予定。前述の「ラジオからリアルへ」の展開も、同番組で実践していくという。

文化放送 デジタル事業局の長島太郎部次長補佐 文化放送のデジタルラジオでの基本コンセプトは「ラジオからリアルへ」。それを実践する番組が間もなくスタートするという

 ほかにも、テレマティクスラジオWGでは、車載用デジタルラジオチューナ向けの技術を開発。市販のVHFポールアンテナを利用して走行受信テストを行なった結果、現在のデジタルラジオの受信可能範囲は横浜方面では戸塚周辺、千葉方面では佐倉周辺だったという。

 そこで、2本のアンテナを使って受信能力を向上させる「アダプティブアレイアンテナ制御」技術を利用。東関東自動車道では距離にして3~4km程度受信エリアが拡大できたという。また、放送波でのファイルダウンロード実験では、Digital Fountainが開発したRaptorと呼ばれる誤り訂正技術を利用。前述のアンテナ技術と併用することで、通常のカルーセル方式と比べ、大幅にデータダウンロード効率が向上できるとした。

走行受信テストを行なった際のデジタルラジオ受信範囲 Raptor技術とアダプティブアレイアンテナを組み合わせることで、ファイルダウンロード効率が向上できる

菊地浬さんによるラジオ収録デモも実施。データ放送も交えてデジタルラジオ番組の製作現場を紹介した。ゲストとしてジャズボーカリストでフリューゲルホーン奏者のTOKUさんも登場。ライヴも披露した ニュービジネスフォーラム代表でデジタルハリウッド大学 大学院 学長の杉山知之氏も挨拶。「デジタルラジオは新しいものでありると一般の人に認知させることが普及にとって重要。そのためにWGが存在する」と語る

□デジタルラジオ・ニュービジネス・フォーラムのホームページ
http://drforum.jp/
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050607/dradio.htm

(2007年3月6日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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