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日本テレビ放送網株式会社(日本テレビ)は、地上デジタル放送やワンセグなど、新しい放送に対する同社の取り組みや、最新の放送技術などを展示する「デジテク2007」を開幕した。会期は3月13日~14日まで。入場は無料。会場は東京・汐留の日テレタワー 2F。
■ プッシュ型のワンセグデータ放送 現在ワンセグ放送で提供されているデータ放送サービスは、ユーザーが能動的にデータ放送の各項目を選択し、番組情報などにアクセスするプル型スタイルが主流。しかし、日テレでは番組を視聴している際に、自動的に番組データを携帯電話などに蓄積させる「ワンセグinfoサービス(仮)」を開発している。 これは、番組を視聴していると、放送局側から番組に関する諸情報がプッシュ型コンテンツとして配信されるというもの。現在試験的に導入している番組「たべごろマンマ!」では、データ放送画面に料理のレシピが、番組の進行状況に沿って、順次追加表示されていく。 ユーザーはそのレシピ画面から、通信を経由して料理の写真なども含まれる、より詳細な情報のページにアクセスする。将来的にはこの段階も放送波配信で行なわれる予定。取得したページは、電子化されたクーポン券などをおサイフケータイに取り込めるドコモのサービス「トルカ」のデータ領域に保存が可能。好きなときに呼び出して、参照できる。
「トルカ」のデータとして保存する理由は、将来的に電子クーポンや電子カードの配信を予定しているため。ワンセグとおサイフケータイを直結させるイメージで、例えば番組で紹介されたレストランの割引電子クーポンが自動的に携帯電話のトルカカードフォルダに蓄積。ユーザーはレストランのレジに携帯電話をかざすだけで、割引などのサービスが受けられると同時に、支払いも行なえるという流れになる。 日テレでは今後もプッシュ型データ放送の採用番組を増加させる意向で、現在のところプロ野球の放送で、選手のデータなどを配信することを考えているという。 また、「ワンセグinfoサービス(仮)」は、放送以外での活用も検討されている。現在、駅などにディスプレイを用いた広告映像表示システムが増加しているが、これらシステムとの連携を予定。例えば、銀座の街の飲食店や映画館などの情報を、銀座の3Dマップとともに表示するシステムを構築。ユーザーは実際の街を歩く前に、目的の店舗までバーチャル空間の中を進み、道順の確認ができる。 3D空間の中で店舗に辿り着くと割引クーポンなどがディスプレイに表示される。ディスプレイ装置の横には携帯電話用のトルカ用リーダ/ライタが装備されており、店舗クーポンを取得可能。実際の店舗で利用できる。
ほかにも、家庭用のFelicaアダプタを介して電子広告を携帯電話で取得する方式や、放送音声にURLなどのデジタルデータを埋め込む「音響OFDM」技術を利用した電子チラシ配信サービスなど、様々な技術が検証/提案されている。
■ 電車の中でもデジタル放送
昨年のデジテクでは、山手線の車内モニター「トレインチャンネル」で地上デジタル放送を受信し、巨人戦のナイター中継を表示する実験が紹介されていたが、今年も会場に同様のシステムが展示された。 これは、走行する電車で12セグメントの地上デジタル放送を受信し、山手線のドア上部に設置されたトレインチャンネルモニターに映像を表示するというもの。トンネルなどの電波が届き難い場所ではワンセグに自動的に切り替えて安定受信を図っているのが特徴だ。
第2弾の受信実験は、2007年1月に行なわれた箱根駅伝を中継。放送側の仕組みにより、データ放送を常時表示するモードで走行。途中の駅から乗車した乗客にも走行位置やレースの順位状況が把握しやすく、好評だったという。「恒例のイベントにできれば、正月でも安心して初詣に出かけられる視聴者が増えそう」(日テレ)だという。
■ そのほか 現在のワンセグではサイマル放送が行なわれているため、キー局からHD伝送された12セグの映像を受けた各地の放送局は、その12セグ映像を利用して、各放送局でワンセグ用の映像/音声をエンコードし、地域に向けて放送している。 しかし、12セグとは内容の異なる独自のワンセグ放送が今後開始された場合、12セグからワンセグを作ることはできなくなり、ワンセグデータを各放送局に送る専用伝送装置を追加しなくてはならない可能性がある。 そこで、12セグのHD-SDI信号の補助データ(ANC)領域に、あらかじめキー局側で作成したワンセグデータを重畳して伝送する「12セグ/ワンセグ多重伝送装置」を開発。従来のHD非圧縮回線を利用してコストを抑えつつ、オリジナルワンセグ番組に対応できるという。
一風変わった展示としては、空撮用ヘリコプター「Bell-430」が注目されている。空気抵抗の少ない特殊翼型の「テーパーブレード」を採用したことで、機体の振動が極めて小さいのが特徴。この機体にHDカメラ防振装置を搭載することで、撮影している絵がほとんどしない空撮が可能になったという。 また、カメラや撮影システムを操作するためのコントロールパネルも小型化を追及。従来よりも小型なヘリへの搭載を実現した。「(小型ヘリが利用できることで)報道で利用する際、周囲への騒音被害を抑えられる。また、空撮が気軽に行なえるようになるため、ドラマのオープニングでの利用など、用途も増加する」としている。
□日テレのホームページ
(2007年3月14日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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