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パイオニア株式会社は14日、2007年3月期連結決算を発表した。売上高は前年比5.6%増の7,971億200万円、営業利益は124億8,700万円と、昨年度の164億円の損失から黒字転換した。事業構造改革の実施などの費用計上から、純損失は68億円となったが、昨年度の850億円の損失から大幅に損益が改善された。 ■ ホームエレクトロニクス事業で損益改善 ホームエレクトロニクス事業は、売上高が前期比3.9%増の3,688億2,200万円、営業損益は162億3,600万円の損失となった。
プラズマディスプレイの出荷台数は自社ブランド60万台、OEM4万台の合計65万台。自社ブランドの売上げが欧米で増加したものの、OEMが減少し、前期比で若干の出荷減となった。ただし、原価率は大幅に改善したため、赤字幅は大幅に縮小された。ホームエレクトロニクス事業の売上に占めるPDPの構成比は48%。 プラズマ以外では、DVDレコーダの売上が減少したが、DVDドライブや関連デバイス、DJ機器の売上が増加した。
カーエレクトロニクス事業は、カーナビ、オーディオともに売上が増加し、売上高は前年比8.3%増の3,578億900万円となった。営業利益は前年比26.5%増の221億1,600万円。 カーナビについては国内の市販市場向けや、北米のOEMが伸張。カーオーディオは中南米やロシアの市販市場向け増加した。カーエレクトロニクス全体のOEM向けの構成比は約36%。 特許関連では光ディスクにおける一部の特許権期間が満了し、前期比で45.4%減収の46億6,100万円となった。営業利益は39億2,400万円。その他の部門では、携帯電話用スピーカーユニットが減少したものの、FA機器やパッシブ型の有機ELディスプレイの売上が増加し、前期比7.8%増収の売上高660億1,000万円となった。 ■ PDPは高級路線、BDレコーダは「考え中」
2007年度は、ホームエレクトロニクス事業で、今夏に投入予定のプラズマテレビにより下半期の売上増加を予想。カーエレクトロニクスでもOEMの売上増や、海外の市販カーナビの拡大を予定している。通期の業績見通しは、売上高が4.8%増の8,350億円、営業利益150億円、純利益125億円と黒字転換を見込んでいる。 プラズマテレビについては、2007年度の生産予定台数を72万台と設定。そのうち71万台が自社ブランド、1万台がOEMとなる見込み。昨年度実績65万台から7万台の増加となるが、他のプラズマメーカーや液晶テレビメーカーとは異なり、高付加価値製品へのシフトを進めていく。 同社 石塚肇専務取締役は、「平均単価の高い高精細/大型に注力する。100人に受ける商品ではなくて頂点にいる5人ぐらいに理解していただける製品。そこで商売をしていく」と説明。戦略製品と位置づける新プラズマテレビの発売時期については、「6月の末から欧米で発売する。最初はXGAの製品だが、この評判がものすごく良い。その後に、フルHD版も発売し、50、60インチというクラスで展開する」とした。 なお、Blu-ray関連製品については、「コンピュータ向けのドライブ市場の出足が遅い。本格的な普及期は2年ほど先」としながらも、「(2007年度は)プレーヤーは前年の4倍程度、PC用のドライブは5~6倍の出荷を予定している」という。 ただし、レコーダについては、「いまのところ、考え中。DVDレコーダの開発経験もあるが、ソフトウェア開発が難しい。人が必要な割に台数が出ず、アメリカには市場が無い。技術もドライブもあるが、そこにどれだけの人を投入して、回収できるか、いまのところ計画が立っていない。当面はプレーヤーとPC用ドライブ、レコーダメーカーへのドライブ供給をやっていく」と説明した。 なお、東北パイオニア株式会社を完全子会社化するため、株式の公開買い付けを実施することも明らかにした。現在パイオニアは、東北パイオニアの67.08%の株式を保有しているが、6月25日までに1株につき2,210円で公開買い付けを実施し、完全子会社化を図る。買い付けの総額は約147億円。 東北パイオニアは、カーオーディオ用スピーカーや有機EL事業を中心とした独自事業拡大を目指して、2000年に東証2部に上場。しかし、パイオニアグループで、2006年にアクティブ型の有機ELディスプレイの量産化を断念したこともあり、現在は親会社のパイオニア向け取引が売上高のおよそ60%を占めているという。 そのため、完全子会社化により、パイオニア内のスピーカー部門と統合し、カーステレオおよびスピーカー関連生産に関する中核会社と位置づけ、グループの市場優位性の強化を図っていくとしている。 □パイオニアのホームページ ( 2007年5月14日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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