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ユニバーサルに聞く「HD DVD支持」の理由
-ネットワーク活用で「次」の段階へ


ユニバーサルスタジオ ホームエンターテイメントのケネス・グラフェオ上級副社長


 HD DVDとBlu-ray Discの次世代光ディスクの「フォーマット戦争」が市場に持ち込まれて、1年が経過した。

 熾烈な競争を続けている両フォーマットだが、大手ハリウッドスタジオで唯一、「HD DVDのみ」を支持しているのがユニバーサルだ。東芝のHD DVDレコーダ発表会にあわせて来日した、ユニバーサルスタジオ ホームエンターテイメントのケネス・グラフェオ上級副社長にHD DVD支持の真意を伺った。


■ ネットワーク活用で「次」のHD DVDへ

発表会では、(プレーヤーあたりのタイトル販売数である)アタッチレートの高さと、ゲーム機ではない“プレーヤー”製品の重要性について強調していました。BDを搭載したPLAYSTATION 3という「ゲーム」と専用「プレーヤー」の購入者の違いをもう少し具体的にお教えいただけますか?

グラフェオ: DVDプレーヤーは、家庭の中心のテレビでの利用が前提となります。つまり家庭で一番いい場所に設置されます。HD DVDプレーヤーはほとんどがHDTVに接続されていますが、ゲーム機はそれほど繋がれていません。つまり、“プレーヤー”としての利用頻度は高くありません。

 (4:1でHD DVDが多いという)アタッチレートでもその傾向が確認できると思います。また、購買層もゲームは15~25歳が中心、一方、プレーヤー製品では35歳以上とかなり異なっています。

-HD DVDには画質/音質だけではなく、インタラクティブ機能、ネットワーク機能などのさまざまな特徴があります。どのあたりが消費者に受け入れられていると感じていますか?

東芝RD-A600/300発表会に出展された各社のHD DVDソフト

グラフェオ:まずは画質と音質ですね。DVDとの大きな違いが全ての人に伝わる、新しい体験が提供できます。消費者の反応も、“映像や音が圧倒的に違う”というものが大半ですね。われわれもまずはその点をアピールしていきます。

 もちろん、特典やピクチャ・イン・ピクチャ(PinP)などの新機能も重要です。DVDの場合は、約2割のヘビーユーザーが、販売数量の60%程度を占めており、大きな購買層になっています。画質はもちろん、こうした熱心なユーザーの方は、特典やピクチャインピクチャなどの機能にこだわります。今後、ますます重要になってくると思います。

 具体的には、「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」や「マイアミ・バイス」のPinPやブックマーク機能は非常に高い支持を得ています。また、Warnerが(北米で)発売する「Blood Diamond」や、8月に発売を予定している(米NBCのテレビドラマシリーズ)「Heroes」には新しい機能も盛り込んでいます。今後、提供を予定しているのは、ネットを利用した「パーソナライズ」の機能。これも反響を見てみたいですね。

-ユニバーサルのタイトルは、U-Controlなどのユニークなインタラクティブ機能を備えています。ただ、日本の消費者としては、日本版の「キング・コング」や「TOKYO DRIFT」、「マイアミ・バイス」といったタイトルのインタラクティブ機能が、北米版に比べると省略されていることが気になりますが……。。

グラフェオ:マイアミ・バイスの例で言えば、時間が足りませんでした(笑)。監督のマイケル・マンから素材を受け取った際には、すでにリリース日時が迫っていたため、北米版と(日本を含む)インターナショナル版の作業を平行して進める必要がありました。インターナショナル版では、より多くの言語を入れるなどの工数、時間が発生します。ただし、HD DVDにはネットワークを利用した追加コンテンツのダウンロード機能もあります。将来的には、より柔軟に特典の追加が行なえるようになり、要望にこたえられると考えています。

-ネットを使ったダウンロードはいつ頃から開始されるのでしょうか?

グラフェオ:8月下旬に発売する「Heroes」に入ります。

-機能の省略は、日本を軽視しているというわけではないですね?

グラフェオ:タイトルの制作方針は、北米版と、日本を含むインターナショナル版の2つを制作するという考えです。従来のいくつかのタイトルは日本専用のものもありますが、今後は日本で発売されるタイトルはインターナショナルの共通仕様になります。

-日本は、非常にレコーダが強い市場です。米国と比べてどんな違いを感じますか?

グラフェオ:米国とは全く違う市場ですね。DVDの普及率は米国は90%以上で世界一。世帯あたりのDVD購入枚数も年間14タイトルという統計もあり、DVDが売れる市場です。日本では、非常に強いレンタルマーケットがある。日本ではレコーダが普及していますが、米国は市場が無いのに等しい。

 レコーダに関しては、「ワオ」しかいえないですね(笑)。凄い価値を持った製品だと思います。ただ、消費文化はアメリカと日本で全く違うと感じました。

-北米のHD DVDの存在感は非常に高いと思います。ところが、日本市場ではいまひとつ存在感を示せていません。

グラフェオ:米国は、フォーマット戦争の主戦場になっています。それが数の上でも非常に大きくなっている要因ですね。欧州は、PLAYSTATION 3の投入が遅かったこともあり、HD DVDがかなり浸透しています。米国や欧州と同様の流れが、日本でも起きてほしいと考えています。


■ HD DVDは最高の体験を実現するフォーマット

-ユニバーサルがBlu-ray Discに参入するという可能性はありますか?

グラフェオ: HD DVDが、最高の体験を実現するメディアと考えています。それがHD DVD支持の理由です。仮に、Blu-rayが同じような体験を提供できたとしても、プレーヤーの再生互換性の確保や、ディスク量産時に全く新しいラインが必要となる。これらは非常に大きな問題です。

-現在は、HD DVDプレーヤーの製造メーカーは東芝だけです。不安はないですか?

グラフェオ:SamsungのBD/HD DVDデュアルプレーヤーの発表もポジティブなものと考えています。PCでのHD DVD採用も進んでおり、中国メーカーの取り組みにも期待しています。

 また、4月から北米でスタートしたプロモーションの関係で、(299ドルという)「買いやすさ」が実現できました。この価格が拡販に大きく寄与しており、手ごたえを感じています。

-最後に。ユニバーサルに限らずおすすめのHD DVDタイトルは?

グラフェオ: 「セレニティー」はいいですね。好きな映画でしたが、HDになりより魅力的になりました。もちろん、「マトリックス」は外せませんね。「キング・コング」、「マイアミ・バイス」、「ヴァン・ヘルシング」と、あとはもうすぐ(北米で)発売される「300」のインタラクティブ機能はおすすめです。

□ユニバーサル・ピクチャーズのホームページ
http://www.universalpictures.jp/
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( 2007年6月13日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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