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クリプトン、2ウェイスピーカー「vigore」最上位モデル
-モニターで培った技術を投入。ピアノ塗装仕上げ


10月上旬発売

標準価格:346,500円(ペア)


 株式会社クリプトンは、スピーカー市場参入第3弾として、ブックシェルフスピーカー「Vigore(ヴィゴーレ) KX-3」のハイグレードモデル「KX-3P」を10月上旬に発売する。価格はペアで346,500円。

 同社は2005年6月に、スピーカー市場参入第1弾モデルとして「KX-3」(バーズアイメープル/ペア252,000円)を発売。その後、モアビ自然材を使ったバージョンとして「KX-3M」(ペア252,000円)を投入。今回の「KX-3P」は黒色ピアノ塗装モデルとなり、上位モデルと位置付けられている。

スタジオでの検証用に製作されたモニタースピーカー

 密閉型エンクロージャを採用した2ウェイ2スピーカーのブックシェルフ。開発にあたっては、KX-3のスタジオモニターバージョン製作で培った技術を投入。それを、そのまま民生向けにリリースするのではなく、「より音楽を楽しめる音にチューニングした」(同社)という。同社ではこれを「ミュージックモニター」と表現している。

 主な仕様は下位モデルと同じだが、2つの変更点がある。1つは位相管理の徹底。下位モデルはツイータのインピーダンスが4Ω、ウーファが6Ωと異なっていたが、KX-3Pでは新設計のツイータを採用することで6Ωに合わせている。

 これにともないクロスオーバー周波数も変更。従来は3,500Hzだったが、新モデルでは2,500Hzになった。合わせてインピーダンスマッチング型のネットワーク部も音質の見直しを行なっており、「プロの現場で練り込まれた音質のグレードアップを実現した」という。

スタジオで検証している様子 内部構造 吸音材はウール100%(純毛)の低密度フェルトを使用したほか、同社独自の吸音材「ミスティックホワイト(ダイニーマ)」も採用したハイブリッド仕様

試聴の様子。従来モデルよりも精密かつ繊細な再生音が印象に残る。密閉型ながら低域の再生能力は高く、ピアノの左手の動きを描写しながらも、響き良い音が再生された

 エンクロージャのピアノ塗装は、河合楽器のピアノを塗装していたという工場に依頼。6面全てを塗装しており、塗装工程は従来の8工程の倍となる、16工程を要している。その結果、不要振動を抑えた良い響きと、表面波のスピードで抜けの良い高域を実現。特にピアノの音の表現力が大幅に向上したという。なお、型番末尾の「P」には、ピアノという意味と、プロフェッショナル(モニター)という2つの意味が込められているという。

 そのほかの仕様は下位モデルと同じ。ツイータは2.5cm径のピュアシルクソフトドーム。ウーファは17cm径で、振動板にはドイツのクルトミューラーのコーンを採用。磁気回路には磁気抵抗の少ないアルニコマグネットを使用している。再生周波数帯域は40Hz~30kHz。

新開発のツイータ。インピーダンスを6Ωに変えつつ、従来のユニットを超える性能を持たせるところに注力したという ウーファは17cm径で、振動板にはドイツのクルトミューラーのコーンを採用 スピーカーターミナルはバイワイヤリング方式

 アクセサリメーカーとしての特徴も活かしており、ユニットのボイスコイルに三菱電線工業の導体素材「MEXCEL OFCエッジワイズワイヤー」を使用。吸音材にはウール100%(純毛)の低密度フェルトを使用したほか、同社独自の吸音材「ミスティックホワイト(ダイニーマ)」も採用したハイブリッド仕様となっている。

ネットワークには音質を考慮してハンダを使っていない

 ネットワークには抵抗値の低い直径1.2mmの空芯コイルを採用し、フィルムコンデンサはケース入りのピッチ材で振動を抑制。素子間の結線はハンダフリーのかしめ方式を使用。スピーカーターミナルはバイワイヤリング方式で、端子は金メッキとなっている。

 エンクロージャの素材は針葉樹系の高密度18mm厚パーチクルボードで密閉型。定格入力は50W、最大入力は150W。外形寸法は219×290×350mmで下位モデルと同じだが、重量は10kgと、9.6kgから若干重くなっている。また、付属のサランネットもピアノ塗装とのマッチングを図ったデザインに変更されている。


■ 「モニターライクながら、音楽が楽しめる音を」

 濱田正久代表取締役は、3年前から参入したスピーカー事業について「音に対する高い評価を頂いており、ジワジワと売れてきている」と手ごたえを語り、「新モデルは、クリプトンのスピーカーの魅力をさらに煮詰めたモデル」と表現。

技術開発室の渡邊勝室長

 技術開発室の室長で、ビクターのSXシリーズの原点である「SX-3」を開発した渡邊勝氏は、新モデルについて「クリプトンとして第3弾となるスピーカー。これからも本気でスピーカー事業に取り組むぞという意気込みを示す意味でも、相当に力を入れて開発した」と語る。

 モニタースピーカー開発の中で見出された、前述の強化ポイントを挙げながら「avexや東芝EMIなどのスタジオに協力してもらい、最終的には“これならいける”というOKを各スタジオから頂いた。しかし、音をそのまま出せばいいというのではなく、KX-3Pではあくまで音楽を楽しめる民生用スピーカーとしてチューニングしている」と、音質のキャラクターを説明。

 デザイン面についても「奇抜さや斬新さは無いかもしれないが、曲線が無いのはMDF材ではなく、木の良さが味わえるパーチクルボードを使っている証でもある。ピアノ仕上げを採用したことで、ラグジュアリー感も演出している」と、魅力を語った。

発表会場には7月から発売を開始したアクセサリーの新製品も展示。性能を保ちながらコストパフォーマンスを追及したというハイカーボンスチール製インシュレータ。フラットタイプとソフトスパイクタイプを用意。4個セットで50mm径が10,500円、40mm径が8,400円 インシュレーションボードの「AB-G3500/2500/1500」。従来モデル54mmの厚さを27mmまで薄型化し、軽量化したモデル。強化ガラスと木材を合わせたハイブリッド構造を採用している。価格は15,750円~26,250円

□クリプトンのホームページ
(8月20日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.kripton.co.jp/
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-ペア25万円の2ウェイ。モアビ自然材を使用
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【2005年6月16日】クリプトン、スピーカー市場参入第1弾「vigore」
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(2007年8月20日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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