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CEATEC JAPAN 2007会場では、株式会社ピクセラが、2日発表のAV機器ブランド「PRODIA」の記者向け発表会を行なった。また、株式会社クイックサンも、2日に発表したテレビ用システム「ROBRO」(ロブロ)のプロトタイプの記者向け説明会を行なった。 ■ 「既成概念の枠を超える製品」を目指す 「PRODIA」は、ピクセラが新たに開始するAV機器ブランド。第1弾の製品としては、既報の通り、EPG表示に対応する単体の地上デジタルチューナ「PIX-XT030-P00」と、TNパネルを採用する20型液晶テレビ「PIX-YT010-P00」を用意。価格はいずれもオープンプライスで、PIX-XT030-P00の直販価格は20,800円で、10月12日発売。PIX-YT010-P00が10月下旬発売で直販価格は59,800円。
発表会では、ピクセラの栗原良和常務取締役が、AV機器ブランド「PRODIA」登場の経緯などについて説明を行なった。 ピクセラは、以前よりPC用AV周辺機器を開発しており、2005年春には、PC用の地上デジタルチューナユニット「PIX-DTTV/P1W」を開発するなど、PCメーカー向けOEM製品として、地デジソリューションを展開してきた。また、AV機器メーカー向けOEM製品の開発も続け、地デジチューナやSTBなどをマスプロなどに出荷してきた。そのほか、W-ZERO3[es]用ワンセグチューナユニットなども提供している。 こうして蓄積した技術を活かすべくAV業界への参入を決意し、今回の製品発表に至った。
新ブランドによるAV業界参入の理由としては「これまで同様に、OEMだけを続けていても問題はないが、現在のAV業界がとにかく安く売る“価格勝負”へと向かっている現状を見ていると、このままではいけないと考え、この状況を打破すべく、新ブランドの“PRODIA”を立ち上げた」と説明した。
PRODIAブランドの特徴としては「今までにない方向性で、他社にはないアドバンテージを持つ製品を出して勝負していく」としており、目指すテーマとして「基本性能を追求し、使っていく上での心地よさと喜びを求める“ファンダメンタルクオリティ”」と「“既成概念の枠を超える”製品」を挙げた。 今回発表した2製品はいずれも、「基本性能を追求した製品」としており「もっと安い海外製の製品も多く存在するが、それら製品を実際に使ってみると、テレビの表示に時間がかかったり、メニューが操作しづらいなど、テレビとして大事な基本機能がしっかり作られていない」と指摘。 「PIX-YT010-P00は、こうした製品と比べるとチャンネルの切替速度などのレスポンスのよさや、メニューの使いやすさなどにもこだわっており、使ってみると違いが分かる」と外観ではなく使い勝手のよさを強調。地上デジタルチューナについても「直販2万円ながら、EPG表示に対応し、コンパクトサイズで省電力。液晶テレビと共通のエンジンを採用し、レスポンスのよさについても、国内大手メーカーのテレビの中でもトップクラス」と自信を見せた。
ただし販路については、新たに開拓する必要もあり「PC周辺機器を発売していたので、量販店などへのルートはあるが、AV機器では担当者も異なる。そのため、こうしたAV機器の販路を広げるためにも、まずはきちんと見せられる無難な製品を第1弾として用意した」としている。 “既成概念を超える製品”については、「今回発表したWindows CE内蔵の多機能液晶テレビのコンセプトモデルもその1例となる。こういった独創的な製品も今後、色々と開発していく方針」とした。 また、「PRODIAブランドで取り扱う製品ジャンルは、テレビやチューナなど、単なるAV機器だけではない。ひょっとしたらPRODIAブランドでPCを出すかもしれないし、全く別のジャンルの製品を出すかもしれない。とにかく“ピクセラだけ”にしかできないという点にこだわった製品を今後も出していきたい」とブランドの今後の展開について語った。 ■ 32型液晶テレビや、微弱電波による映像/音声配信システムを展示 なお、展示ブースでは、Windows CE内蔵の多機能液晶テレビや、未発表となるPRODIAブランドの32型液晶テレビも参考展示していた。 多機能液晶テレビについては、既報の通り、2008年の製品化を目指すが、32型テレビについては、現時点で具体的な製品展開は計画されておらず「試しに作ってみたというレベルの試作機」としている。ただし、今回の展示で評判がよければ製品化も検討するとしている。
そのほか、限られた範囲に向けて、映像・音声などを電波で配信するシステムも参考展示している。電波法で定められた微弱電波の範囲内で送信することで、免許を必要とせずに配信ができるのが特徴。「Mini-cast Station(ミニキャストステーション)」と名付けられている。 信号はデジタルラジオ規格に準拠した形式で、VHFの7/8chの帯域を使って送出されるため、デジタルラジオの受信に対応した携帯電話などで受信が可能。デジタルラジオ受信に対応していれば、改造などをしなくても、そのままても受信できる。店舗やイベント会場、展示会場などでの使用を想定しており、来場者が展示や店舗の前に立ち、自身の携帯電話で展示の説明や、店舗のクーポン券など、様々なデータを受信できる。 また、送信するデータをデジタルラジオやワンセグのリアルタイム放送に切り替えることで、難視聴エリアでのギャップフィラーシステムとしても使用することができる。なお、ワンセグで使用されているUHF帯を使用しないのは、VHF帯の方が微弱電波の出力電力の許容値が高いため、信号到達距離が広く、約15mの範囲で受信が可能になるため。 展示ではコンテンツを記録したPCと接続し、実際に電波を送信、デジタルラジオ対応の携帯電話で受信するデモを行なっている。今後は導入先との話し合いを続けながら、製品化を実現したいとしている。
□ピクセラのホームページ ■ テレビのチャンネル感覚でインターネットにアクセス クイックサンが今回発表した「ROBRO」(ロブロ)は、オートナンバリング技術を応用し、チャンネル入力でインターネットとテレビの両機能がシームレスに利用できるシステムの開発コードネームで、2007年内のメーカー向けのOEM提供開始を目指す。
会場では、同システムを搭載した液晶テレビの新製品を、台数限定で12月に発売すると発表。価格や仕様、台数など、具体的な製品詳細については未定だが、地上デジタル放送の受信や録画に対応するほかインターネット接続が利用可能。価格は発売時の市場価格に沿える形で提供したいとしている。 クイックサンの安達寛高代表取締役は、「関東圏のテレビチャンネルは、“1”を押すとNHKの番組が受信でき、“4”では日本テレビといった形でプリセットされている。テレビ上でインターネットを使うことを考えた時に、このリモコンの数字を押すという“国民的な文化”を利用できないかと考えた」と開発の経緯を説明した。 ROBROでは、従来テレビで利用しているチャンネル番号はそのままに、他の未使用のチャンネル番号に対して、インターネットのURLをプリセットして利用する「ROBRO CHANNEL SLOT」を採用。デモでは2チャンネルにYahoo!をプリセットすることで、テレビリモコンからボタン1つでYahoo!のWebサイトにアクセスするデモを実施した。 表示されたWebサイトには、従来PCなどで見る場合と異なり、各リンクや入力ボックス、ボタンなどに3桁の数字が割り当てられて表示されるオートナンバリング技術の強化型を採用。各リンクをクリックし、別のページへアクセスする場合には、カーソルの移動などは行なわず、これら3桁の数字をリモコンから入力することで、アクセスできる。 現在のROBROシステムでは、2桁を各テレビチャンネル/URLに割り当てることで、最大99チャンネルのテレビ番組/Webサイトの登録が可能。
また、数字入力による仕組みを応用し、ユニークな情報検索機能が追加できる。会場では、証券コードの4桁の数字をシステム上で事前に登録しておくことで、証券コードを入力すると、株価情報のWebページが開く機能や、電話番号を入力するとその番号で登録された会社のWebサイトが開くといった機能が紹介された。 ROBROシステムのマーケットについては、コンシューマ向け製品への導入のほか、ホテルや病院などのシステムへの導入なども検討しており、ホテル向けの機能提案として、4桁の指定した数字を入力することで、テレビ上に別ウィンドウが開き、ルームサービスの注文が行なえる機能を紹介。また、病院用テレビの特定チャンネルを院内放送に設定するといった利用例も紹介した。 文字入力については、入力が必要になると自動でソフトウェアキーボードが起動。ソフトウェアキーボードは、50音方式のほか、携帯電話と同様に数字キーで入力する方式も採用し、リモコンの数字キーのみで文字の入力が行なえる。そのほか、音声によるコントロール機能も備える。
現在のROBROシステムはPC/Windows上のシステムで動作しているが、今後はAV機器メーカーへのシステム提供も検討しており「現在はLinuxベースのシステム開発を行なっている」とした。
そのほか、ROBROシステムに搭載する地上デジタルチューナユニット部についても紹介。テレビとは別ユニットとなっており、着脱が可能で、他の液晶テレビなどに取り付けても利用できるが、単体での販売については「ARIBの取り決めにより販売が行なえないため、PCなどとセットで販売する」と説明している。 また、ROBROシステムを利用して、テレビ製品を低価格化するアイデアも披露。インターネットコンテンツを運営するサイトをスポンサーに募り、テレビ以外の空きチャンネルのプリセットに、サイトへのリンクを割り当てることで資金を提供してもらい、本体の価格を下げるというもので、12月発売予定の製品でも採用を検討しているとした。 最後に安達氏はROBROについて「テレビや携帯電話しか使ったことのない人でも違和感なく利用できるシステム。ROBROで“ITのバリアフリー”を目指す」と締めくくった 展示会場では、ROBROシステムを実際に組み込んだ同社製液晶テレビを展示し、リモコンで操作可能な試作機を参考展示。これら試作機の発売は予定されていない。
□クイックサンのホームページ
□CEATEC JAPAN 2007のホームページ ( 2007年10月4日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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