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株式会社日立製作所は、2007年度上期連結決算会見の席上、薄さ35mmを実現した液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」を、12月初旬に出荷する計画を明らかにした。財務担当の中村豊明執行役専務が言及した。
薄さ35mmの液晶テレビは、Wooo UTシリーズは10月23日に発表。32型モデル「UT32-HV700」の出荷時期を、12月中旬としていたが、中村専務は、「12月頭の出荷を予定している。まずは国内向けを中心に出荷することになり、国内の年末商戦での売れ行きに期待している」とした。 同社では、プラズマテレビの年間出荷計画を10万台減の120万台(前年比56%増)とする一方、液晶テレビの出荷計画は5万台増の80万台(同58%増)としている。「これには、超薄型液晶テレビに対する期待を込めたもの」と語った。 一方、薄型化で出遅れているプラズマテレビに関しては、「来年1月に米国で開催するCESで、薄型化したプラズマテレビを展示する予定」とした。 プラズマテレビで先行する松下電器の大坪文雄社長が、「プラズマテレビの薄型化は、これから進めていく」と発言しただけに留まっていたのに対し、薄型化への取り組みに一歩踏み込んだコメントとなった。
■ 大型テレビが伸びず、テレビ事業の収益悪化
薄型テレビを含むデジタルメディア・民生機器の上期連結売上高は4%減の7,280億円、営業利益は赤字幅を拡大しマイナス508億円の赤字となった。 プラズマテレビの上期出荷台数は28%増の41万台、液晶テレビは50%増の30万台。 同社では、北米市場を中心として、50インチ以上の大画面テレビの比重を高める戦略を掲げていたが、北米市場における大画面薄型テレビの販売が、当初計画の半分程度に留まるなど苦戦している。 「6月から7月にかけて、思ったような引きがなくなってきた。さらに、サブプライムローン問題が個人消費、設備投資に影響を及ぼしており、上期は投資したものに対する回収効果を出せなかった。下期は、生産施設の操業率をあげる考えだが、バラ色で見ているわけではない」と慎重な姿勢をみせた。 Vizioなどの低価格メーカーの躍進によって、価格下落の影響を受けているようだ。同社では、デジタルメディア・民生機器の業績悪化を受けて、下期のプロモーション費用を若干絞り込む考えだという。 ■ PDP外販開始「まずは中国メーカーに」。薄型も三番館で プラズマパネルを生産する富士通日立プラズマディスプレイ宮崎事業所においては、すでに二番館での生産休止を発表。最新の高効率設備を有する三番館へと生産を集約したが、「北米での大画面の不振の影響もあり、操業率は7割程度に留まっている。これを高めていくことが鍵になる」という。 操業率の改善が、デジタルメディア・民生機器の業績を左右することになりそうだ。
薄型テレビ事業の下期の改善施策として、同社では、材料費低減や固定費削減などの取り組みを継続するほか、松下電器との提携を強化。大型パネルの相互供給、部材の共通化、ガラス厚の統一などを図る一方、共同販促キャンペーンの展開も行なう考え。さらに、三番館での生産集約に伴い、これまで行なっていなかったプラズマパネルの外販にも取り組むことで、操業率を高めるという。 「外販するには、セットメーカーに納める際に技術的に開発しなければならない部分があり、それが問題となっていた。それが解決できたことで、11月からは外販を開始する予定。まずは中国のセットメーカーに納める」とした。 また、「三番館では、輝度やコントラストを高めたプラズマパネルを来年春にも生産できるほか、超薄型パネルの生産も行なう」とした。 デジタルメディア・民生機器の通期事業目標は、売上高が2%増の1兆5,300億円とするものの、営業利益は、前年のマイナス584億円から赤字が拡大し、マイナス720億円の赤字を見込んでいる。 なお、全社の上期連結業績は、売上高が前年同期比11%増の5兆2,804億円、営業利益は513%増の1,216億円、税引前利益は427%増の1,360億円、当期純損失はマイナス130億円となった。
□日立製作所のホームページ ( 2007年11月1日 ) [Reported by 大河原克行]
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