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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は4日、デジタルAV機器向けプラットフォーム「DaVinci(ダヴィンチ)」の新モデルとして、フルHD解像度のMPEG-2やH.264などのトランスコード機能を搭載する「TMS320DM6467」を発表した。 デジタルレコーダやSTBのほか、企業向けビデオ会議システムなどへの搭載を想定する。サンプル出荷は開始済みで、2008年第2四半期より量産出荷を開始。価格は5万個受注時で35.95ドル。
同チップを搭載する評価ボードに、開発ツールやOS(Linux)、ドライバ、ソフトウェアなどが付属する評価モジュール「DM6467 DVEVM」も用意。2008年第1四半期より供給を開始し、価格は262,500円。 DaVinciは、プロセッサ、ソフトウェア、開発ツールなどで構成されるDSPベースのプラットフォーム。全プラットフォームで共通のAPIを利用するため、開発リソースが活用できる。 TMS320DM6467は、CPUやDSP、映像処理用コプロセッサなどを1チップに統合したSoC(システム・オン・チップ)。CPUコアはARM926EJ-S 300MHzで、DSPにはC64x+ 600MHzを搭載。HD映像処理専用コプロセッサ(HD-VICP)も備える。 HD映像のエンコード/デコード処理に加え、リアルタイムトランスコード機能を搭載。最大1080p解像度の映像を、リアルタイムで同解像度のH.264などへの再変換が可能。対応フォーマットはMPEG-2、H.264、VC-1/WMV9、DivXなどで、各フォーマット間の双方向トランスコードも行なえる。 トランスコード処理のうち、データ解析や動き検出、ノイズ除去などの各種フィルタ処理などは、DSP内のソフトウェアで行ない、デコード/再エンコード処理はコプロセッサが担当する。そのため、採用メーカーは、各社固有のアルゴリズムをDSPに実装することにより、独自の画質改善が図れるとしている。 ビデオ処理機能としては、ダウンスケーリング、クロマ・サンプリング、オーバーレイのメニュー表示なども利用できる。 シリアルインターフェイスは、ASP、I2C、UART×3など。メモリインターフェイスはNAND/ECC、DDR2 SDRAM、ATAなどで、USB 2.0やPCIなどにも対応する。
■ 「デジタルデータの劣化を最小限に抑える」
発表会では、同社ビジュアルプラットフォームグループ マネージャー水澤 暢氏より、開発コンセプトなどについて解説が行なわれた。 「マルチフォーマットに対応し、解像度やフォーマットが異なる機器間の接続や共有を実現するというコンセプトを元に開発したDSP。アルゴリズムやデザインなど、ほぼ全ての部分を日本中心で開発した。マルチフォーマットのトランスコード対応と、トランスコード後の映像品質の高さが特徴」と説明。 特に映像品質については、「デジタルデータは劣化しないと言われるが、トランスコードを行なう際に、エンコーダの出来が悪ければデジタルデータであっても映像品質は劣化する」とし、「DM6467では、映像処理のアルゴリズムをDSPが管理し、実際のデコード/エンコード処理をコプロセッサに担当させるため、画質低下を最小限に抑えながら、リアルタイムでトランスコードが行なえる」とした。 今後の展開については、「今回開発したチップの機能を、エントリー向けモデルにも盛り込んでいき、2008年にはエントリー向けのHD対応チップを発売する」としている。
□日本TIのホームページ ( 2007年12月4日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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