◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
マランツのフロントサラウンド技術「OPSODIS」を聴く
-薄型テレビ向けシステム「ES7001」の体験会を開催


2月13日開催


 株式会社マランツ コンシューマーマーケティングは13日、報道関係者や販売店などを対象に、フロントサラウンドシステム「シネマリウム ES7001」の体験会を開催した。

ES7001

 2月15日、16日には、一般向け視聴会を開催。参加費は無料で、時間は2月15日が11:00~19:00、2月16日が10:00~17:00まで開催する。会場は、マランツ恵比寿ショールーム(東京都渋谷区恵比寿南1-11-9)。

 「ES7001」は一体型筐体のみでサラウンドを実現するフロントサラウンドシステム。42型以上の薄型テレビとの組み合わせを想定しており、HDMI(Ver.1.1)×2や光デジタル入力×3などを装備。また、スピーカーやアンプなどを内蔵しながら、外形寸法1,080×143×153mm(幅×奥行き×高さ)と、薄型化を実現している。価格は124,000円で、2007年6月より販売されている。

 視聴会では、自由視聴や製品説明が行なわれるほか、ES7001に採用されている「OPSODIS」技術の解説のため、ダミーヘッドを用いたデモも実施する。


テレビの上/下への設置を想定した「ES7001」

 OPSODISは、鹿島建設と英サウサンプトン大学音響技術研究所が共同開発したサラウンド技術。前方のスピーカーから、視聴者の左右や後方、上下を含む360度の立体音響を創出できるというものだ。

 同技術では、ツイータとミッドレンジ、ウーファの各スピーカーユニットを、リスナーの正面から左右対称に、水平方向の同一軸上に広げて設置。各周波数の音が互いに打ち消し合わず、リスナーの耳に届いた時点でフラットになるように配置し、専用のプロセッサを併用して耳に理想的な音波を送る。壁の反射音などを利用せず、ユニットからの直接音だけを伝達するため、明確な音場が創造できる。

 ES7001では、1.9cm径のツイータ、8cm径のミッドレンジ、12cm径のウーファを各2基搭載。各ユニットそれぞれに専用のデジタルアンプを搭載し、合計最大出力は60W。入力からプロセッサによる演算処理、出力までをフルデジタルで処理しており、バイノーラル録音した音源や、DVDやBlu-ray、放送などのマルチチャンネル音源、さらに音楽CDなどのステレオ音源などでも立体的な音場効果を体感できる。

 ダミーヘッドを用いたデモは、ES7001のOPSODIS技術の解説のために実施。別室に設けられたマルチチャンネルサラウンドシステムの再生音をダミーヘッドに装着したマイクで集音し、ES7001に伝送して再生。さらに、別室の映像もディスプレイ上に表示する。

別室のサラウンドシステムの音声をダミーヘッドで集音し、ES7001に伝送。 開発にも利用されているダミーヘッド

 例えば5chのテストトーンを別室で再生すると、ES7001からもその音声が再生されるが、あたかも実際にスピーカーが存在するかのような音像定位が得られていることが確認できる。「なんとなく音が広がっているように聴こえる」という次元ではなく、明確な音像として聴こえてくる。

15~16日には視聴会も開催

 DTSデモディスクなどのDVDビデオでも、左右の広がりや包囲感だけでなく、移動感もしっかりと出る。“バーチャル”サラウンドらしさは無く、不自然な付帯音なども感じられない。

 特筆すべきは、上下の音像の広がり。たとえばピンクフロイドのマルチチャンネルSACD「狂気」から、「TIME」を再生すると、鳴り響く鐘の音が本当に頭上に聴こえる。実際にスピーカーを用いたサラウンド環境でも味わえない立体感がES7001から聴こえてくる。音楽CD再生時も、ワンボディのサウンドシステムとしては非常に力強く、テレビ放送などでもサウンドがグッと立体的になる。

 こうした明確な音像定位の要因としては、左右のスピーカーユニットから発せられる音波が干渉するクロストークの低減が大きいとする。ES7001では、元来、クロストークを最小限に抑えるユニット構成としているうえ、クロストークのキャンセル処理も最小限で済む設計としており、少ない演算処理で各ユニットのアンプを独立制御して、ユニット間の相互干渉を抑制。はっきりとした音像を実現しているのだという。

 ES7001の開発時には、マルチチャンネル構成のスピーカーから出力された音をダミーヘッドで集音。音声信号をユニット単位で解析し、フィルタを作成。そのフィルタをES7001に実装して、入力信号を基に演算し、各ユニットを駆動する。今回のダミーヘッドのデモは、OPSODISを機器に実装する過程の逆工程を提示することで、その原理を説明している。

 マランツでは、将来的にはOPSODISを使ったハイエンドオーディオ製品も検討しているが、「まずはテレビ用のサラウンドとしてしっかりやっていきたい」としている。各社がさまざまなアプローチで、積極的に展開しているフロントサラウンドだが、その中でも際立った個性を感じさせる製品だ。

□マランツのホームページ
http://www.marantz.jp/
□製品情報
http://www.marantz.jp/ce/products/hometheater/cinemarium/index.html
□ニュースリリース
http://www.marantz.jp/ce/news/press/2008/20080215-ebisu.html
□関連記事
【2月4日】マランツ、一体型フロントサラウンドシステムの試聴会
-ダミーヘッドで「OPSODIS」技術をデモ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080204/marantz.htm
【2007年5月23日】マランツ、「OPSODIS」採用の一体型サラウンドシステム
-フロントだけでサラウンド再生。HDMI採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070523/marantz.htm
【2005年8月26日】マランツ、新サラウンド「OPSODIS」採用オーディオシステム
-ユニットを前面に分割配置。「5.1chを越える移動感」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050826/marantz.htm
【2004年9月17日】マランツ、ピュアオーディオにも使える仮想サラウンド技術
-鹿島建設、サウサンプトン大学と共同開発
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040917/marantz.htm

( 2008年2月13日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.