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オンキヨー株式会社は、オーディオとPCの融合を図るHDオーディオコンピュータの第2世代モデルとして、「APX-2」と「HDC-2.0A」を発売する。価格はオープンプライス。オンキヨーが販売を担当し、AV機器売り場で展開する「APX-2」は、2月29日発売で店頭予想価格は25万円前後の見込み。 ソーテックが販売を担当し、PC売り場で販売される「HDC-2.0A」は2月15日発売で、CPUの動作周波数やHDD容量(160/500GB)の違い、液晶ディスプレイやスピーカーのセットの有無などにより、計8モデルを用意する。価格は219,800円~319,800円。各モデルの詳しい仕様は後述する。
■ APX-2
2007年2月にオンキヨーが発売した「HDC-1.0」は、Windowsパソコンの音質をさらに追求したモデルとして、「HDオーディオコンピュータ」と名づけられた。「APX-2」は、その第2弾。最大の特徴は、最大出力100W×2ch(4Ω時)のデジタルアンプを内蔵したこと。同社は「高級プリメインアンプとして開発しながら、そこにPCのアーキテクチャーを分離・整理し、必要な機能を効率的に取り込んだ」としており、「高音質なパソコン」ではなく、軸足をオーディオに置き、「PCアーキテクチャーを取り込んだオーディオ機器」として開発したという。
PCとしての基本機能は、CPUにCore 2 Duo T5500(1.66GHz)を採用。メモリは1GB。500GBのHDDを搭載している。PC売り場向けモデルにプリインストールされているOffice Personal 2007は搭載しない。OSはWindows Vista Home Premium。DVDスーパーマルチドライブも装備している。メモリなどの増設は「パーツが密集しているが可能」という。しかし、ユーザーによる増設は保証対象外となる。
外見的にはPC売り場向けモデルを横置きしただけのように見えるが、筐体に使われているパーツは大幅に異なり、アルミの側板や、スチール製の天板などを採用。1.6mmのシャーシやアルミフロントパネルなど、オーディオ機器で行なっている 制振対策を施した。
サウンドカードはMini PCI接続の超小型タイプで、カード上でD/A変換は行なわず、デジタルデータのままプリアンプやDACを搭載したオーディオ用基板へとデータを渡している。DACは、TIのバーブラウン「PCM1792」を採用。S/N比120dBを実現した。同基板にはデジタルノイズを除去する特許技術「VLSC」を進化させた「VLSC-2」回路も搭載されている。
パワーアンプはデジタルアンプ方式で、手のひらサイズながら100W×2chを実現。HDオーディオコンピュータとしては初めて、パルス性ノイズを除去する独自技術「VL Digital」を投入している。発表会場ではドライブ能力の高さを示すため、B&Wのノーチラス801を接続。380mm径のウーファを搭載した、ハイエンドアナログアンプと組み合わされる事の多いスピーカーだが、デモではデジタルアンプの特性を活かし、低域が甘くならず、解像感を保ったままドライブ。駆動力の高さをアピールした。 筐体内部には、アンプを含む、オーディオ回路用に、専用の電源を用意。PC用の電源はACアダプタで供給し、相互干渉を防いでいる。ただし、ACアダプタは付属するのではなく、筐体内に内蔵されている。そのため、ユーザーは2基の電源が入っていることを意識せず使用できる。
HDDからのノイズや、振動を防ぐため、「Super Floating HDDユニット」を採用。HDDを、スチール製のベースに緩衝クッションを介してマウント。このベースとHDDは、ABS樹脂ケースに収められるが、その際にも緩衝クッションをかませており、2重のクッションで振動を抑制。ABS樹脂ケースに収め、天面をアルミ板で覆うことで、回転音やシーク音が漏れることを防いでいる。 システム全体で採用されているファンは2基。ファンはゴムの緩衝パーツを介して取り付けられ、ケースファンの外側にはダクトも設置。内部に拡散材を入れるなどの静音化を行なっている。全体での騒音レベルは22dB。
ソフトウェアにもこだわっており、新開発の再生ソフト「PureSpace」をプリインストール。10フィートUIを採用したもので、付属のリモコンを利用し、同社音楽配信サイト「e-onkyo music」から購入した24bit/96kHzの楽曲など、様々な音楽ファイルが再生可能。CD再生や外部入力音声なども再生できる。 また、Windows Vistaの音量ミキサーをバイパスし、音声信号をダイレクトで伝送する「PDAP(Pure Direct Audio Path)」機能も搭載。同プレーヤーで再生すると、劣化の要因となる伝送経路をパスでき、より高音質な再生ができるという。音質面で利点があるほか、同ソフトを使用している際は、Windowsの警告音やメール着信音などの信号をシャットアウトできるため、例えばアンプのボリュームを上げている時に警告音が大音量で流れることが無いという。 音楽CDの取り込みや、楽曲ダウンロード機能、ライン入力からの録音機能などを備えた「CarryOn Music 10」もプリインストール。ただし、同ソフトは「PDAP」に対応していないため、このソフトで楽曲のリッピング/ダウンロードなどを行ない、「PureSpace」で再生するという使い方もできる。
フロントパネルにはボリュームノブを搭載。入出力端子は、入力がアナログ(RCA)×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1。出力端子はアナログ(RCA)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1。映像出力はDVI-I(HDCP非対応)で、DVI-VGA変換アダプタを同梱。IEEE 1394ポートも備える。外形寸法は205×388×155mm(幅×奥行き×高さ)。重量は10.8kg。USBキーボード、USBマウスも同梱する。
■ HDC-2.0A オンキヨーの製品だが、販売はソーテックが担当。主にソーテックの直販サイトや、PC売り場で販売される。APX-2を横置きしたようなデザインで、スロットインのDVDスパーマルチドライブも縦向きになっている。デザインは似ているが、アルミ側板やスチール天板などは採用しておらず、筐体の剛性や質感はAPX-2の方がハイレベルになっている。
搭載するCPUは、「2.0ABM」がCore 2 Duo T5500(1.66GHz)で、HDD容量160GB。「2.0AHM」はCore 2 Duo T7200(2GHz)で、500GB HDDを採用。また、APX-2とは異なり、全モデルにOffice Personal 2007を搭載している。
新開発ソフト「PureSpace」もプリインストールしており、「PDAP(Pure Direct Audio Path)」機能を採用。「CarryOn Music 10」や「Super Floating HDDユニット」、100W×2chのデジタルアンプなども搭載している。しかし、バーブラウンのDACはAPX-2とは異なり「PCM1796」。S/N比は115dBとなる。そのほかの主な仕様は共通。外形寸法は150×388×212mm(幅×奥行き×高さ)。重量は10.8kg。
□オンキヨーのホームページ
(2008年2月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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