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株式会社エフエム東京(TOKYO FM)は31日、デジタルラジオの実用化試験放送において、“本格放送”として実施している3セグメント放送3chについて、3月31日の26時をもって放送を休止すると発表した。再開の予定などは現在のところ発表されていない。 終了するのは701chの「ENERGY701」、702chの「MAGIC」、703chの「NEWS CHANNEL」。また、伊藤忠商事も401chの「DIGIPICO!」の放送を3月31日で終了する。 社団法人デジタルラジオ推進協会(DRP)は、2011年のアナログテレビ放送停波後、空いたVHF帯域の獲得/利用を目指しており、2003年10月から関東と近畿の一部地域にて実用化試験放送を開始。既存のラジオ局なども多く参加する中、TOKYO FMは他局に先立つ2006年12月に「本格放送」と銘打って、CMも含めた本放送さながらの試験放送を開始するなど、積極的に参加している。 同社は3セグメントを利用した簡易動画の配信やデータ配信など、新技術の実験にも積極的に取り組んできたが、今回の放送休止について「有料課金サービスの実験を行なうため」と説明している。TOKYO FMによれば、DRPが持つ試験放送免許では有料課金サービスの実験は行なえず、免許の再取得も困難なため、「我々が注力しているこの実験を行なうために、デジタルラジオでの試験放送の休止を決定した」という。 既報の通り、TOKYO FMはCSK-ISと共同で主体となって、福岡県福岡市のユビキタス特区で放送を通信を融合させた技術の実験を行なうことを発表。ここで「情報通信法(仮称)」を先取りした制度や、「IP over デジタル放送」としてネット上のコンテンツを変換せずにデジタル放送波に乗せる技術などと共に、放送波ダウンロードによる課金ビジネスの実験をすることも明らかにしている。ユビキタス特区での実験期間は2008年4月から2011年3月末まで。 TOKYO FMでは「今後デジタルラジオを実施しないのではなく、あくまで実験のため」と説明。そのため、ユビキタス特区での実験についても「マルチメディア放送ビジネスフォーラム」(旧称:デジタルラジオニュービジネスフォーラム)にて発表された。実験後のデジタルラジオへの参加体制などは検討中としている。なお、伊藤忠商事「DIGIPICO!」の放送終了は、TOKYO FMの実験とは関係は無いという。
また、ISDB-Tsb方式を用いてサービスを実施しているデジタルラジオ陣営は、ビジネスフォーラムの名称を従来の「デジタルラジオニュービジネスフォーラム」から「マルチメディア放送ビジネスフォーラム」へと改名した。この名称は、VHFの空き帯域を巡るライバルでもあるモバイルマルチメディア放送サービス「ISDB-Tmm」(マルチメディア放送企画LLC合同会社)と似ている。TOKYO FMでは「デジタルラジオでは放送と通信の融合や動画の配信など、様々なことが実現できるため、“ラジオ”という従来のイメージにとらわれない名称にした」という。
□TOKYO FMのホームページ
(2008年3月31日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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