|
社団法人デジタルラジオ推進協会(DRP)は27日、4月からの地上デジタルラジオのチャンネル構成や番組編成を紹介する発表会を開催。実用化試験放送を行なっている東京地区では、2月19日に出力が従来の3倍に増強されたことが報告。チャンネル数も4月から、従来の8chから9chに増加することが明らかになった。 DRPでは2003年10月から、関東と近畿の一部地域にて実用化試験放送を実施。TOKYO FMでは2006年12月から、「本格放送」と銘打って、CMも含めた、本放送さながらの試験放送を実施している。 東京ではこれまで800Wで出力していたが、2月19日に2.4kWに増力された。これにともない、新たな受信可能エリア(めやす)マップが公開された。同マップはDRPのページにも掲載されている。
なお、東京での試験放送はVHF帯域の空きチャンネルである7chで放送されているため、隣り合う6/8chに影響が出ない程度の出力範囲に留める必要がある。その観点では、現在の2.4kWが上限となる。また、同様の理由で大阪では従来の240Wが維持される。
それ以外の地域での試験放送開始の計画については、「VHFの空きチャンネルがケーブルテレビなどで利用されているなど、各地域ごとにクリアしなければならない問題がある。また、ビジネス的な面で開始できるかどうかを検討する必要もある」(DRP 小川和之専務理事)としており、名古屋地区も含めて白紙の状態だ。 よって、2011年にアナログテレビ放送停波後、ほかのVHF帯域が利用できるまで、デジタルラジオが視聴できるエリアは、現在の範囲のみになる可能性も高い。なお、2011年以降、デジタルラジオがVHF帯域のどの程度を利用できるかなどは、総務省の電波有効利用方策委員会が6月に公開を予定している中間答申で明らかになる見通し。
それらを踏まえ、今回、4月2日順次より実施される関東地区でのデジタルラジオの新番組編成が発表された。新番組のスタートだけでなく、チャンネルそのものの構成にも変更が加えられ、新たなステーションネームなども発表されている。
チャンネルラインナップは右図の通り。従来9201chに番組を提供していたTBSラジオ、FM横浜、bayfm78が、9201chと9202chに分かれた。9201chには、FM横浜が展開するステーションネーム「ハマセグ」と、bayfm78が提供する「digitalBay」が参加。週の前半は、ジャズをベースにした「ハマセグ」、後半は「digitalBay」がダンスミックスやインディーズの楽曲などを放送する。 TBSラジオはコンテンポラリー・クラシック・ステーション「OTTAVA」(オッターヴァ)を9202chで新たにスタート。クラシックの楽曲全編ではなく、サビ部分や楽章単位で放送するのが特徴。 9301chでは従来通り文化放送とNACK5が番組を提供するが、ステーションネームが「UNIQue(ユニーク) the RADIO」に変更。マニア向けの放送が特徴で、アジア情報や文化放送が得意とするアニメ&ゲーム、声優パーソナリティの番組などを豊富に揃えている。 9501chのニッポン放送はステーション名を「Suono Dolce(スォーノ・ドルチェ) ~Love songs from marunouchi」に変更。ラブソング専門の放送局としてスタートする。また、9502chで放送していた伊藤忠商事は、9401chと9402chを利用。ミュージックステーション「DIGIPICO!」を6月より本格スタートさせるという。
そのほかの構成は従来と同じで9101chでNHK、9701/9702/9703chではTOKYO FMが3セグメント放送を実施する。TOKYO FMはデジタルラジオ新技術を積極的に取り入れ、4月からはCMで、スポンサーの着うたを放送波を使って配信する試みや、番組で紹介した楽曲をレーベルゲートで簡単に購入できるシステム、SMILフォーマット対応携帯電話への放送波ダウンロードなどを4月から順次導入していく予定。
冒頭、挨拶に立ったDRP理事長で、ニッポン放送相談役の亀渕昭信氏は「出力の増強により東京都内ではほぼデジタルラジオが楽しめるようになった。デジタルラジオ受信に対応した携帯電話の出荷も好調と聞いており、嬉しい限り」と挨拶。
新編成については「4月からは各社がよりいっそう力を入れており、面白い放送になる。そういった意味でもこの4月は、日本のラジオ事業の新たな第一歩と表現できるだろう」と語った。
□関連記事
■ エスケイネットがUSBワンセグ/デジラジチューナを参考展示 発表会場ではエスケイネットが、未発表のUSBワンセグ/デジタルラジオチューナを展示した。モデル名は明らかにされていないが、4月の発売を予定。価格も未定となっている。 3セグメントを含むデジタルラジオの受信にも対応していることが特徴で、視聴ソフトはワンセグ用のものと共用。ボタンでワンセグ/デジタルラジオ受信を切り替えるようになっているという。
なお、デジタルラジオの受信も可能なUSBワンセグチューナは、ピクセラが3月9日に「PIX-ST050-PU0」(直販9,800円)をリリース。β版ではあるが、デジタルラジオ受信用ソフトを公開している。このソフトはデジタルラジオの著作権保護の問題から、光デジタル音声出力の無効などが行なえるWindows Vista専用ソフトとなっている。 しかし、エスケイネットのデジタルラジオ受信ソフトはWindows XP上で動作しており「発売の段階でどうなるかは未定だが、現在の段階ではWindows XP/Vista両対応を予定している」とのこと。
この件について、隣で展示を行なっているピクセラに話を聞いてみると「ピクセラは著作権保護の規格についての話し合いにも参加しており、XPでも受信ソフトが動作するようにしたいと考えている。現段階ではどうなるかは未定だが、期待してお待ちいただきたい」との返答があった。
【お詫びと訂正/3月28日記載】 なお、ピクセラのブースではデジタルラジオ受信にも対応したPCカード型ワンセグチューナも参考展示している。既発売のワンセグモデル「PIX-ST011-PC0」と外観は同じだが、3セグメント含むデジタルラジオに対応しているのが特徴。「PIX-ST050-PU0」と同様にデジタルラジオ受信用ソフトと組み合わせて利用する。
□DRPのホームページ
(2007年3月27日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|