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パイオニアと松下電器がPDP事業について包括提携
-KUROとVIERAの「Neo PDP」を融合。2009年秋に製品化へ


松下電器 森田研常務役員(左)、パイオニア 小谷進常務執行役員(右)
4月24日発表


 パイオニア株式会社松下電器産業株式会社は24日、プラズマパネル事業における包括提携について基本合意したと発表した。都内で共同会見を開催、パイオニアからは常務執行役員の小谷進氏、松下電器からは常務役員の森田研氏が出席した。

松下電器の森田研常務役員

 両社は今後、パネルの共同開発に着手。パイオニアが有するKUROの「高発光効率化技術」、「高コントラスト化技術」や「パネル超薄型化技術」と、松下がVIERAの進化系「Neo PDP」として開発した「高効率化技術」などを融合。松下はVIERAの商品価値向上と、薄型テレビ市場におけるプラズマテレビのさらなる発展を図る。パイオニアは高品質路線のKUROブランドを維持しながら、松下の低コスト生産能力を活かし、戦略的な価格でパネル供給を受け、価格競争力の強化を目指している。

 共同開発は松下が主体となって行なうため、パイオニアでパネル開発に携わっている技術者は6月から松下へ転籍。パネル関連の技術者全員が転籍の対象となるが、人員数は明らかにしていない。また、転籍は技術者個々の同意が必要になるため、実際何人が転籍になるかは現在のところ不透明だという。ただし「同意が得られれば、全員受け入れてもらえると松下さんから言われている」(小谷氏)。

 共同開発パネルの生産は、2009年5月稼働予定の松下電器、尼崎第5工場で実施。同年6月から出荷される。このパネルを使った製品は、パイオニアの2009年秋モデルとして投入される。「サイズや現在パイオニアさんが手掛けているサイズをメインに生産する」(森田氏)」としており、今後は同じパネルを松下もVIERAで使用していく。同じパネルをながら、松下はVIERA、パイオニアはKUROと、各ブランドは維持。映像処理回路など、各社が追求する絵作りや機能の面で、差別化を図っていく。

Neo PDPとKUROを融合。次世代PDPの開発を促進 両社の技術を融合し、「究極のプラズマ」を目指す

 森田氏は共同開発がもたらす成果として、「両社の最先端PDP技術を組み合わせることで、消費電力1/3、黒レベルがゼロのコントラスト無限大、そして薄さと軽さも実現した、究極のプラズマを実現できるだろう。こうした製品を2010年をターゲットに開発していきたい」と語る。また、「発光効率を改善することで、42インチで昔の27インチのブラウン管と同程度の150Wの低消費電力を実現できる。そうすれば、家庭で42インチ程度の消費電力で、100インチを超えるプラズマが実現できる」と語り、画質面だけでなく、大型化についてもシナジーが期待できる提携であることを強調。

 松下単独に関しては、「パイオニアさんの技術者が入ることで、将来的には中小型用のIPSアルファの液晶などにも、今回の提携の成果が出て来るだろう」と語る。「成果の具体的な内容」を問われると、「商品が良くなること」と笑顔を見せた。


■ KUROの高級路線は維持

パイオニアの小谷進常務執行役員

 パイオニアの小谷常務は、これまでKUROが世界で高い評価を受けてきた事例を紹介。しかし、「コスト力の弱さにより、販売台数が伸びず、それがまたコスト力の弱さに繋がるという悪循環から抜け出せなかった」と振り返る。提携にあたり松下と検討を重ねることで、「松下さんの技術力をもってすれば、(パイオニアのPDP技術を開発に取り入れることが)可能だと感じた。同時に、幾らで松下さんから供給していただけるかはこれから詰めていくところだが、圧倒的な低コスト生産能力をもってすれば、相当安くしてもらえるだろうと今から期待しており、我々もコスト競争力が得られる」と利点を語る。

 なお、パイオニアではKUROの次期モデルについては、同社製パネルを使うことをアナウンスしている。2008年5月に北米、6月に欧州、10月に国内の投入を予定。共同開発パネルを使った製品は、2009年秋モデルとなる。前述のように技術者の松下への移籍は6月から開始してしまうが、「パネルの開発は既に終わっている」とのこと。

今後のスケジュール

 また、来年以降の機種はVIERAとKUROが同じパネルを使うことになるが、その場合でもKUROの“高級プレミア路線”は維持していくという。しかし「競争力のある価格にはしていく。今までは他社のハイエンドモデルよりも、さらに高い値段だったが、今後は他社のハイエンドモデルと同程度の、これまでと比べればお求めやすい価格で提供していきたい」(小谷氏)。

 松下の森田氏は生産ラインについて「プラズマを手掛ける全ラインで、VIERAとKUROで共用するパネルを生産する」と説明する一方、特徴的な製品を出すために、パイオニア独自仕様のパネルなどを生産する可能性も「無くはない」と言う。「そういうものはやはり高くなってしまうので、技術的な価値と勘案しながら、判断していくことになる」という。

 また、「映像処理部分などでどこまで差別化ができるのか?」という問いに小谷氏は「画像処理によって生み出される絵作りには、各メーカーで思い入れがある。例えばパイオニアでは究極の黒の描写であり、その戦略で差別化していけると考える。また、音響メーカーでもあるため、音質やデザインも差別化要素としていきたい」とした。

 なお、パイオニアは2008年秋から、シャープの供給を受けて液晶テレビ事業に参入する方針も既に発表している。大画面TVの人気サイズである42インチにおいて、パイオニアが松下のPDPを採用するか、シャープの液晶を採用するかが注目されるが、小谷氏は「40を境に、その上がプラズマ、30インチ台は液晶という棲み分けは変わらない」と、42インチはPDPが基本路線だと説明。しかし「市場とお客様のニーズによっては、44、46インチの液晶も取り扱うことになるだろう」と語り、両方の可能性を示した。

□パイオニアのホームページ
http://pioneer.jp/
□ニュースリリース
http://pioneer.jp/press/2008/0424-1.html
□松下電器産業のホームページ
http://panasonic.co.jp/index3.html
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080424-5/jn080424-5.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080307/pioneer.htm
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080304/pioneer.htm
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070920/sp.htm

(2008年4月24日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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