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日本ビクター株式会社は25日、2007年度通期決算とともに、国内液晶テレビ事業の縮小を正式に発表した。 同社では収益が悪化している液晶テレビ事業において、「国内民生液晶テレビ事業の縮小や、欧州での自社生産終了などの改革を実施する」と説明。国内における液晶テレビの事業から完全に撤退するわけではなく、大画面ホームシアター向けや、高付加価値製品に特化して展開する。 国内の映像事業の戦略としては、中高級機ユーザーに絞り込み、単品販売からAVシステムや設計や施工を含めたソリューション展開などを、ビクターグループの各社で連携して展開するという。
同社のテレビ事業は、2007年度の売り上げ台数が全世界で110万台。今回、国内事業展開を大幅に縮小するが、欧州での売上増を図るため、2008年度の前年販売計画も前年と同数の110万台としている。また、D-ILAフロントプロジェクタや業務用モニターについては今後さらに強化していく方針。 そのため、英国工場における欧州市場向けの自社生産を終了するとともに、相互生産委託を行なっている船井電機との協業を加速することを重点施策として提示。2月に開始されたビクターのメキシコ工場生産や、船井のポーランド工場での生産を8月に開始することなどにより30億円の協業効果を見込む。 これらに加え、材料のコストダウンなども含めて2008年度は52億円の改善効果を期待。ディスプレイ事業全体で2009年度の黒字化を目標に掲げている。 さらに、2009年10月を目標に、薄型/省エネ液晶テレビ「SLIM LINE」の拡充や、オーディオ技術とのコラボレーションによるAVネットワーク・ホームシアターを軸とした新コンセプトを提案。業務用製品における既存市場の強化や新規参入なども合わせ、「ビクターのDNAである映像技術をさらに強化し、成長戦略につなげる」としている。
2007年度の連結業績は、売上が前期比89%となる6,584億4,900万円。営業利益は32億6,200万円で、前期の56億5,600万円の損失から黒字化。経常損失も79億5,100万円(前期は116億9,500万円)に回復しているが、当期純損失は475億2,100万円(同78億9,100万円)に拡大している。 民生機器全体では、DVDレコーダの絞込みや、主力のカムコーダ、液晶テレビ、オーディオの不振により売上は4,695億円となり、前期の5,432億5,400万円から減少した一方、営業利益は41億6,200万円で、前期の33億8,800万円のマイナスから好転した。商品別では液晶テレビ/オーディオ事業の回復が遅れた一方で、カムコーダとカーエレクトロニクス、AVアクセサリーは高収益を維持したとしている。 2008年度の通期業績見通しとしては、売上高を5,950億円、営業利益80億円を見込んでおり、経常損失と純損失の解消を図る。 □ビクターのホームページ ( 2008年4月25日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp/nakaba-a@impress.co.jp]
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