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スカパーJSAT株式会社は14日、社長定例会見を開催。2007年度決算の説明を行なったほか、「スカパー!」サービスにおける番組のハイビジョン化計画を刷新。2009年秋を目処にHD化を行なうチャンネル数を、従来予定していた50chから62chへと増加させることを明らかにした。 スカパー! サービスの魅力を高めることを目的に行なわれる番組のHD化は、現在7chが実施済み。既報の通り今後のHD化は2段階で行われる。第1弾は2008年秋とされていたが、10月1日に具体的な予定日が決定。映画、スポーツ、ドラマなど、PPVを3ch、プレミア4ch、ベーシック5chの合計12chをHD化。高機能化したHD対応STBの導入も予定されている。 第2弾は2009年秋を目処にHD化する予定。従来は40chをHD化するとしていたが、さらに10chを追加し、合計50chをHD化する計画に変更。PPV 8ch、プレミアム9ch、ベーシック35chとなり、映画、スポーツ、音楽、アニメ、ドラマ、ドキュメンタリー、趣味など、多彩なジャンルの番組がHD化されるという。 これにより、提供予定HDチャンネルは合計62chに拡大。1つの周波数的なチャンネルを複数の論理チャンネルに分けて放送する場合もあるため、「場合によっては、視聴者から見ると70chくらいある状態になる。色々と周波数をやりくりして、さらに10chの追加を実現した。米DirecTVも100chなので、世界的に見てもかなりの規模のサービスになる」(仁藤雅夫社長)という。 さらに仁藤社長は、4月21日からスタートさせた、スカパー! の各チャンネルを携帯電話のiモード経由で視聴できる有料コンテンツ配信サービス「スカパー! ケータイてれび」を紹介。放送と同じサイマル配信として、Jリーグのライブ中継(無料だが6月に有料化)、ナショナル・ジオグラフィック チャンネル(月額525円)、パチ・スロサイトセブン(月額1,050円)など、4月21日の時点で5chを提供。
さらに、サッカーやグラビアなど、約150本のVODコンテンツも用意。今後もサイマル放送、VODコンテンツを順次拡充し、VODは月50本程度のペースで増加させていくという。仁藤社長は「“どこでもスカパー!”が実現できるサービス。まだ試験的な部分もあるので大々的にアピールはしていないが、今後はテレビ向けのスカパー! と連動させ、例えばJリーグの視聴セットに入っているユーザーには、100円や200円など、少しの追加料金で“スカパー! ケータイてれび”が見られるなどのサービス展開も考えている。また、携帯をスカパー! サービスに触れる新たな窓口としても利用していきたい」と展望を語った。
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■ e2 by スカパー! が好調 2007年度の決算は、連結営業収益は1,214億200万円、営業利益は112億5,500万円、当期純利益は91億700万円と、主に累計加入者増加などの要因で増収増益を達成。2008年度の見通しも、個人契約件数のさらなる増加や、宇宙通信を子会社化したことによるシナジー効果の発揮などで、通期で営業収益1,480億円(前期比21.9%増)、営業利益145億円(同28.8%増)、当期純利益94億円(同3.2%増)とした。 新規個人契約件数は2006年度の457,000件から、2007年度は495,000件へと増加。内訳を見ると、スカパー! 契約者が昨年度の273,000件から202,000件に減少している一方、e2 by スカパー! が昨年度の156,000件か248,000件と大幅に増加。スカパー! 光も21,000件から40,000件へと増加。スカパー! からe2 by スカパー! へと加入者が移っているのがわかる。なお、移行した場合も一端解約という扱いになるため、個人解約率は昨年度の10.2%から12%へと増加。移行した人の率は約1%で、実質的な解約率は11%だという。
好調なe2 by スカパー! は、2008年初頭に実施した16日間無料体験や、アンテナサポートキャンペーンの継続、広告宣伝の強化などの影響で、それまでの各月15,000~20,000件の新規契約件数が、30,000件を突破。2008年4月もそれをほぼ維持した水準で新規契約が続いているという。 仁藤社長は「北京オリンピックもあり、デジタルテレビの売り上げはピークを迎えている。その普及を追い風に、先ほどのHD化などでサービスの魅力や質を向上させ、e2 by スカパー! のさらなる契約獲得を目指したい」とした。 オプティキャストが運営している、NTTのBフレッツを使用し、光ファイバーでネットだけでなくCSデジタル(スカパー!)、地上/BSデジタル放送などを提供する「スカパー! 光」は、2008年4月末で個人契約件数が累計67,000件を達成。「今年の6月 半ばから、今までにない、かなり大掛かりなキャンペーンをNTTさんと協力して展開する予定。戸建てを中心に今後も加入者を増加させるほか、NGNでのNTTグループとの提携も別途検討している」という。
さらに、13日に発表した社長交代人事も説明。スカパーJSAT、現代表取締役会長の秋山政徳氏が代表取締役社長に就任し、現社長の仁藤雅夫氏が代表を退き、同社取締役に再任。仁藤は現在兼務しているスカイパーフェクTVの社長に専念し、加入者獲得などのスカイパーフェクTV事業に注力するという。代表取締役は6月27日開催予定の第1回定時株主総会後、同日開催の取締役会で正式に決定する。 また、グループ再編も実施。持株会社のスカパーJSATの下に事業会社のJSAT、宇宙通信、スカイパーフェクTVがぶら下がる従来の構造から、事業会社3社を中核事業会社にまとめ、同列に役務放送事業会社を連ねる構造に変更。事業会社が一体経営となることで意思決定の迅速化や各種効率化、人的資源の再配分などを見込んでいる。これに伴い、6月27日よりスカパーJSATの商号を「株式会社スカパーJSATホールディングス」に変更する予定。
スカパーJSATの社長に就任予定の秋山氏は仁藤氏について、「有料多チャンネルサービスの構想から、今日のスカパー! を築いた立役者。これまでは持ち株会社とスカパー! の両方の社長をやってもらっていたが、かなり大変なことで、ご覧の通り髪も薄くなってしまった(笑)。そこで、育ての親で、得意分野でもあるスカパー! に専念していただこうということになった」という。 仁藤氏は「今後も事業を行なう上で、どんな組織構造が最適なのかを追求していくが、それを長い時間かけて何年も検討するのではなく、次々と実行していくことが大事。髪の方も復活するように今後も追求していきたい」と、社長交代がこの時期になった理由を笑顔で説明。
仁藤氏は「e2 by スカパー! などの伸びを見ていると事業に加速感が出てきた。同じく多チャンネル放送を行なうケーブルテレビなどがライバルだが、デジタルテレビの普及が進むに連れ、我々の場合はそのテレビの中にSTBが既に入っていて、皆の家に配られているような状態。“多チャンネルサービスは減速している”という指摘もあるが、こうした各家庭に向けて“多チャンネルは面白いんだよ”とアピールし、新たな普及メカニズムを生み出せれば、今までと違うトレンドと成長が導き出せるだろう」と語った。
□スカパーJSATのホームページ
(2008年5月14日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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