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三洋、エレクトロニクス拠点・大東でXactiなどの方針説明
-プロジェクタなどでNo.1目指す。TVは北米・アジアで堅調


三洋・大東事業所

8月1日開催


 三洋電機株式会社は1日、同社エレクトロニクス事業の中心拠点である大東事業所(大阪府大東市三洋町)において、事業方針や、主要製品の技術などに関する説明会を開催した。

 プロジェクタ製品や、デジタルムービーカメラなどの主力製品についての開発方針や、売上目標などを発表したほか、海外における薄型テレビなどの事業方針や、今後の計画についても明らかにされた。そのほか、同日に発表したプロジェクタのHDワイヤレス伝送技術の投射デモも実施。同事業所内にあるプロジェクタの生産ラインについても公開した。


■ 3事業で“完成品世界一”を目指す

大東事業所の航空写真。左側に見える大東スポーツセンターでは、オグシオも練習しているという

 同社は2008~2010年度の中期経営計画に基づき、デジタルムービー「Xacti」の生産台数を2007年度の42万台から、2010年度200万台へ増加すること、プロジェクタを2007年度の40万台から、2010年度には70万台へ拡大させることなどを目標に掲げている。

 これらを達成するために、特に市場の成長が見込まれるという両事業の取り組みを中心に、常務執行役員 デジタルシステムカンパニー副カンパニー長 兼 経営企画室長の久保盛弘氏がデジタル事業の方針について説明を行なった。


Xactiのラインナップ

 2010年度に向けた戦略の一つとして、デジカメのOEM受注の着実な拡大を見込んでいる。また、デジタルムービーについても今年度からOEMを開始。OEM先については公開しないが、特にハイビジョン製品の技術に対して高いニーズがあるという。

 同社の動画対応デジカメは1998年から出荷を開始、「Xacti」ブランド製品は2003年より発売しており、現在はハイビジョンモデル、防水モデル、720pモデル、小型エントリーモデルの4ラインナップで展開。その中で最近ではハイビジョンモデルの「DMX-HD1010」と、防水モデル「DMX-CA8」が事業を牽引しているという。

 ビデオカメラの市場動向としては、特に国内においてHDDやDVDなどに比べシリコンメディアを採用する製品の割合が拡大している点とハイビジョンの割合が高まっている点を指摘、同社製品の展開が合致していることをアピールした。世界市場においても「2010年度くらいまでにはハイビジョンの割合が5割くらいになるのでは」とし、出荷目標実現に向けての意欲を見せた。


2010年度でデジカメ2,000万台、ムービー200万台が目標 デジタルイメージングの強みとしてコアデバイスの自社開発をアピール 「ハイビジョンモデルをここまで小型/薄型化したい」というコンセプトモデルを持つ常務執行役員 デジタルシステムカンパニー副カンパニー長 兼 経営企画室長の久保盛弘氏

 プロジェクタについては、前述の2010年度出荷70万台という目標に加え、大型プロジェクタ(5,000ルーメン以上のモデル)におけるトップシェア維持を実現するために核となる技術を紹介。光効率を高めることによる高輝度、独自の“4LCD技術”などによる高色再現、2008年度後半に商品化する非圧縮HD映像の無線伝送技術によるワイヤレス化、超短焦点技術による省スペース化の4点を独自の商品力として展開するとしている。


プロジェクタ製品のラインナップ(左)と歴史(右) 欧米で出荷されている、ホワイトボード/PC/プロジェクタで構成する教育向け製品も紹介された

 両事業に加え、車載事業では、カーナビの「ゴリラ」シリーズと共に、空気清浄システムなど新規事業を中心に付加価値の向上を追求することなども説明。デジカメ・プロジェクタ・車載機器の各事業における世界一を目指すことを、完成品ビジネスのビジョンとして提示した。


車載製品の計画 「ゴリラ」などナビ製品ラインナップ 複数の車載カメラを用いた「全方位モニター」技術もデモ


■ テレビは北米/アジアで堅調

 国内では現在量販店への出荷を行なっていない液晶テレビなど、テレビ/ディスプレイ事業についても言及。世界市場においてプレゼンスがあると強調した。

液晶テレビ「VIZON」。海外では「SANYO」ブランドで販売

 特に北米では、Wal-Martとの協力でサプライチェーンができているとし、アジアでの部品調達、メキシコでの生産、Wal-Martの流通/販売で高い競争力を持つという。メキシコ工場では2007年秋までにフラットテレビへの転換が終了しており、2008年には200万台、2009年からは300万台体制へと拡充する予定。コストだけでなく、映像エンジンなどの半導体分野に三洋の技術が活かされていることも強みと見ている。また、50インチ以上のプラズマテレビ販売についても好調に推移し、昨年に比べ50%以上の高い供給ができているという。

 アジアにおいては特にASEAN地域においてCRT生産で年間100万台以上という数量メリットで市場での競争力を維持。フィリピンでは1位、タイでは2位のシェアを持っている。2008年度は130万台生産を目指すほか、北米での経験を活用してフラットテレビへの転換も進めるとしている。

 一方、現在は地域の専門店のみで販売している国内向けテレビについては、慎重な姿勢を維持。北米のようにボリュームによるコストメリットが得られるようにならない限り、本格的な再参入への見通しは低い。ただし、「例えばチューナだけを入れ替えてほとんど同じ、ということが実現できるようになればボリューム力が出てくる」とし、可能性について完全には否定していない。

 映像技術の新たな展開先として、パブリックディスプレイ事業についても説明。防水性(国際規格IP66取得)を持ち、粉塵にも強い屋外設置型モニタを海外では7月から発売し、日本でも9月から発売するという。また、高対候性処理のアルミフレームを採用し、ファストフードなどの油埃や船舶内での塩害にも耐えるほか、強化アクリル樹脂の保護パネルで衝撃にも強いモニタも用意する。


北米(左)、ASEAN(右)地域のテレビビジネス 防水性を備えた屋外設置用の液晶モニタ


■ デジタルチューナなどデバイスにおけるシナジー追求

執行役員 電子デバイス副カンパニー長 兼 キャパシタ事業部長の高垣真治氏

 光学ピックアップやテレビチューナ、コンデンサといった電子デバイス分野については、執行役員 電子デバイス副カンパニー長 兼 キャパシタ事業部長の高垣真治氏が説明。

 映像関連では1セグ/12セグの地上デジタルチューナを出荷しているほか、Blu-ray Disc用の光ピックアップについても、PC向け製品を5月から出荷しており、既に現行の製品にも搭載されているという。

 デジタルチューナやスピーカー、振動モーター、リチウム電池保護回路など、主要製品については単品での開発から複数を組み合わせたモジュール化によるシナジーを追求することで商品力の強化を掲げる。


電子デバイスの売上構成比 デジタルチューナや、Blu-ray対応ピックアップなどの製品 電子デバイスの事業ビジョン

 また、販売面では光ディスク、PC/ゲーム、携帯電話、デジカメの4分野について「勝ち組メーカーに対して強い部品を供給できる」とし、マーケティング/販売力の効率化を推進する方針を示した。

 2010年度に向けたビジョンとしては、個別技術の開発を進めながら最終製品での進化を図る「グループ内シナジー」と、製品のネットワーク化や大容量化などの「高機能化/融合化」という2つの視点で取り組むとした。


□三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0808news-j/0801-1.html
□関連記事
【8月1日】三洋、「Xacti」などデジタル事業の売上目標を発表
-プロジェクタ用HD映像配信技術も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080801/sanyo.htm

( 2008年8月4日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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