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Amazonにヴィジョネアの「PPV-DVD」コーナーが新設
-アニメやドラマなどのDVDが525円から。続きは携帯で課金


AmazonのPPV-DVDコーナー
8月8日正式オープン

標準価格:525円~


 ヴィジョネア株式会社は、独自技術「DVDMAGIC」を使ったPPV(ペイパービュー)-DVDの新流通展開として、Amazon.co.jp内にて専用のPPV-DVDコーナーを8月8日にオープンする。1タイトル525円など、価格を抑えているのが特徴で、セルDVDとレンタルDVDの中間のようなPPV-DVD市場の開拓を目指している。

 正式オープンは8月8日だが、8月5日の時点で既にコーナーは作られており、PPV-DVDのラインナップを見ることができる。発売は8月8日のため、現時点で予約をすることは可能。オープン当初はアニメや海外ドラマ、グラビアなど約40タイトルを用意。年内に約300タイトルへの増加を予定している。コンテンツメーカーとしてはポニーキャニオン、バンダイビジュアル、ZENピクチャーズなどが参加。いずれのタイトルも、パッケージは紙ケースを採用している。

稲川淳二の超こわい話 傑作選 しにがみのバラッド。 宮S
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 「PPV-DVD」とは、DVDに視聴ロックをかけたコンテンツをあらかじめ収録。ユーザーが携帯電話で専用サイトにアクセスし、解除キーを購入。それをDVDプレーヤーのリモコンを使ってDVDに入力すると、コンテンツが観られるようになるというもの。再生は1週間可能で、経過後も再び解除キーを購入すれば再生できるようになる。レンタルDVD感覚で利用できるが、DVDの返却は不要であり、視聴後も手元にディスクを置いておけるという利点がある。PPV購入料を携帯電話料金と合算支払いできるのも特徴の1つ。

 例えば「稲川淳二の超こわい話 傑作選」の場合、525円で購入すると、お試し作品として3つの怪談と、新作情報が再生可能。残りのコンテンツは3話(計30分)1セット、262円で購入でき、1週間再生可能。4セット、合計12の怪談を収めている。

 アニメ「しにがみのバラッド。」や「半分の月がのぼる空」や、海外ドラマなどもDVDを購入した段階で第1話が視聴可能。残りは1話ずつ購入でき、1話105円で1週間再生ができる。これらは「コンティニューペイパービュー」と名付けられている。

 それ以外にも、関連のある作品を複数収録しており、その中から好きなタイトルが選べる「ア・ラ・カルト ペイパービュー」と呼ばれているタイプも用意。名車シリーズ「フェラーリスペシャル」やエアショーシリーズ「海外エアショースペシャル」などが該当する。

パスワード取得の案内画面。この指示に従って携帯電話で解除キーを取得する 解除キーの入力画面

 なお、コーナー開設を記念して、8月8日から携帯電話のメールアドレスを登録したユーザーに、無料で1話分のパスワードをプレゼントするキャンペーンも実施される。

 また、これらPPV-DVDは当初Amazonのみでの販売となるが、専売商品ではないため、コンテンツメーカーによっては一般店舗でも今後発売される可能性はあるという。


■ PPV-DVDの本格普及に向けた取り組み

 PPV-DVDはこれまで、コンビニエンスストア専売として「名探偵コナン」や「仮面ライダー」などが販売。雑誌の付録のDVDや、該当での配布など、場所や期間が限定された形での販売が多かった。また、コンテンツメーカーや雑誌社とのコラボレーションとして、1タイトルごとにリリースされる形式がメインだった。そのため、今回のAmazonへの展開はPPV-DVDの本格普及を目指す上での重要な展開と言える。

 そこで、PPV-DVDコーナー開設の狙いや、今後の方針について、ヴィジョネアの内古閑宏社長と、アマゾン ジャパンの野村佳史シニア マネージャー ミュージック・DVDにお話を伺った。

-- まず、アマゾンにPPV-DVDコーナーが作られた経緯からお伺いします。

ヴィジョネアの内古閑宏社長

野村佳史氏(以下敬称略):実は、以前からPPV-DVDのコーナーを作って欲しいというお話はヴィジョネアさんの方から頂いていたんです。ただ、新しい技術ということもあり、ユーザーさんにどのくらい受け入れられるかわかりませんでした。

 しかし、それからPPV-DVDの採用実績が着実に増え、認知も広まりつつあります。そこで、ユーザーの選択肢の幅を広める意味も含めて、DVDやBlu-rayと同様にPPV-DVDとしてコーナーを作ろうと決めました。

-- スタート時に約40タイトル、年内で約300タイトル。これまでの1タイトルごとの展開と比べるとPPV-DVDとして非常に大規模な展開という印象を受けます。

内古閑宏氏(以下敬称略):今回の展開に先立ち、コンテンツメーカーさんにPPV-DVDで作品をリリースしませんか? と、話を持って行ったところ、いずれのメーカーさんからも“やりましょう”という、予想以上に良い反応を頂きました。セルDVDの市場はご存知の通り伸び悩んでおり、コンテンツメーカーさん側からも新しい展開へのニーズが高まっていると感じました。今回のラインナップ実現には、そんな風潮もプラスに作用していると思います。

-- 525円という低価格も魅力です。どのような層のユーザーをターゲットとしていますか?

内古閑:アマゾンさんでDVDをオンラインで購入されている方は、セルDVDのヘビーユーザーが多いと考えています。そうした方はドラマやアニメのシリーズなどでも、最初からDVD-BOXを購入されることが多いでしょう。

 PPV-DVDでは、“お試し”感覚で最初の1話を視聴し、気に入ったらその後のストーリーを購入するという事が可能です。そのため、最初に購入する価格は通常のセルDVDよりも抑えることができ、より気軽に購入できるというメリットがあります。そのため、よりライトな、普段あまりセルDVDを買われない方にも、“DVDを楽しむ裾野”を広げていきたいという狙いがあります。タイトルラインナップもそれを意識したものになっていますね。

野村:裾野が広がることで、PPV-DVDからセルDVDへという流れが生まれることにも期待しています。

内古閑:もちろん、ヘビーユーザーにも訴求します。525円からという価格であれば、普通のセルDVDを注文した後、追加の“おまけ”という感覚で購入してもらえるかもしれません。そういった意味で、シリーズ作品のトライアルやプロモーションツール的な展開にも繋げられるのではないかと考えています。今後ラインナップしていくタイトルのジャンルとしては、今後のPPV-DVDの売れ行きなどから、分析していきたいですね。

-- 似たサービスとしては、オンラインDVDレンタルが挙げられます。視聴期限付きの動画配信とも競合するかもしれません。PPV-DVDならではの利点は何でしょうか?

内古閑:オンラインDVDレンタルはヘビーユーザーが利用されていると思います。ペイパービューDVDはライトユーザーに利用していただければと思っていますので、もともとのターゲットが違うと思っています。

野村:私もDVDは良く購入するのですが、購入して置いておくだけで観ていないというタイトルが増えています(笑)。PPV-DVDの場合であれば、その場で課金することで、いつでも続きを観ることができるという利点があります。これはレンタルDVDに対する大きなアドバンテージだと思います。

内古閑:これまでPPV-DVDビジネスを行なってきて、“手元にディスクが残る”という事がユーザーの課金にも繋がりやすいという実感を得ています。一回観終わってもディスクが存在し続けることで“もう一度観ようかな?”と思う機会が訪れやすくなるのです。

 映像配信に対しても“手元にディスクがある”というのは強みになります。配信される、物理的な形のないデジタルデータには“お金を払う”という感覚はまだまだ生まれにくいと思います。

 もちろんPPV-DVDでも、続きのコンテンツをネット経由で配信するなど、映像配信と連携は技術的には可能です。DVDだけに固執しているわけではないのですが、課金という意味では“手元にある”という感覚は重要です。デジタルの利便性と、アナログの存在感……その中央に立てることががPPV-DVDの強みだと考えています。


■ PPV-Blu-rayも実現可能

--ヴィジョネアでは、PPV-DVD技術をBlu-rayで実現する技術も開発されていると聞きました。

内古閑:PPV-DVDで実現している事をBlu-rayでも実現可能です。BDではさらにその性能を活かして、よりスピーディーに処理ができるなど、進化したものになります。また、コンテンツロックの解除キーを入力した際、1週間だけでなく、その後ずっと再生可能になるディスクも実現できます。つまり、解除キーを購入すれば、PPV-Blu-rayが、再生制限の無い普通のセルBlu-rayに変化するようなイメージです。今後、規格化に向けてBlu-ray Disc Association(BDA)でのプレゼンテーションを予定しています。

--Blu-rayでPPVが実現した場合、どのようなソフトが出るのでしょうか?

内古閑:2つのパターンが考えられます。1つは現在のセルBDのように、高画質/高音質でコンテンツを収録するもの。もう1つはPPVならではのソフトとして、画質/音質は少し落としながら、ドラマシリーズなどの長時間コンテンツをBD 1枚に収録するというものです。ヴィジョネアの技術ではどちらにも対応可能です。

アマゾン ジャパンの野村佳史シニア マネージャー ミュージック・DVD

--AmazonでのBlu-rayの販売状況はいかがでしょう。

野村:フォーマット戦争が終結する前から日本市場ではBDが右肩上がりで増え続けており、タイトルにもよりますが、BD版とDVD版が同時にリリースされる作品で、BD版の方が多く売れているタイトルも多数出てきています。作品としてはCGを使った映像的なクオリティの高い大作やアニメが強いですね。Blu-rayページには「あなたが一番Blu-ray化して欲しいタイトルは?」という投票コーナーを設けており、「マトリックス」や「2001年宇宙の旅」など合計10タイトルに対し、リアルタイムで投票結果をご覧いただけます。

 先日利用者13,000人を対象にアンケートを実施しましたが、PLAYSTATION 3も含めると20%のAmazonユーザーがBlu-rayの再生環境を持っているという結果が出ました。また、作品の“気に入っている度合い”や特典内容などの条件付ではありますが「既にDVDで持っている作品を、Blu-ray版が出たら買いなおしたい」というユーザーも52%にのぼっています。積極的なBDに対する反応が出ていると言えます。

 また、ネットワークとの連携が可能なBD-Live機能などにも注目しています。現時点で具体的な展開があるわけではないですが、インターネットとの親和性の良さを、いずれ我々も上手い形で使えたらいいな考えています。

--PPV-DVDの今後の展開として、Amazonとのさらなるコラボレーションの可能性もありますか?

内古閑:ネットワークの利用というお話もありましたが、PPV-DVDの利用時に携帯電話で解除キーを購入した後、その画面にアマゾンさんの“お勧めタイトル”が表示される……などの展開もできれば面白いなと思いますね。

 また、オンライン販売だけに留まらず、実際の店舗でもPPV-DVDコーナーが作られるような、DVDやBDに続く、1つのジャンルとしてPPV-DVDが確立できるよう、今後も様々なルートでユーザーとの接点を増やしていきたいと考えています。

□ヴィジョネアのホームページ
http://www.visionare.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.visionare.co.jp/news/2008/08/dvd-amazoncojp.html
□AmazonのPPV-DVDコーナー
http://www.amazon.co.jp/ppv/
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(2008年8月5日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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