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世界最大級のアニメ総合見本市、東京国際アニメフェアが27日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は3月27日~30日までだが、27日~28日はビジネスデーとなっている。当日券は一般が1,000円、中高生が500円。主催は東京国際アニメフェア実行委員会。 総出展社数は昨年の270社から289社へと増加。来場者12万人を予定するビッグイベントだ。アニメ関連各社がブースを構え、ビジネスデーの初日2日間は商談がメインとなるが、パブリックデーの土日は、新作アニメの紹介を中心とした、様々なイベントが予定されている。 ここでは初日のビジネスデーに開催されたステージイベントや、各社ブースで見つけたDVD化が待ち遠しい新作アニメの情報をピックアップしてお届けする。
■ RD潜脳調査室
日本テレビのブースでは、4月8日深夜から放送が開始されるプロダクション I.Gの新作アニメ「RD潜脳調査室」の制作発表会が行なわれた。「攻殻機動隊」などで知られる士郎正宗と、同作品のアニメ化を担当しているプロダクション I.Gが再びタッグを組んだ新作として4月からのアニメ新番組の中でも注目の作品。攻殻のアニメにも参加している藤咲淳一氏がシリーズ構成を担当している。 また、既報の通り、同作品は放送翌日にPC向けにGyaOで、携帯向けにNTTドコモの「Music&Videoチャネル」にて、無料配信が行なわれる。放送から1カ月後の5月9日からは、CSのANIMAXでも放送。さらに、画像認識技術を使い、放送中の画面を携帯電話のカメラで撮影すると、番組情報を配信するなど、様々な新しい試みが盛り込まれているのも特徴だ。
舞台は2061年。高度に発達したネットワーク空間「メタ・リアル・ネットワーク」(略してメタル)が構築された世界。個人の記憶も情報化でき、仮想現実を、現実のようなリアリティで楽しめるようになるという、さながら「夜に見る夢を、自分の好きなようにコントロールできる」時代。メタルの中で人々は本能を解放し、爆発させることを憶え、次第にその情報の海に溺れていく。しかし、規律で縛られた現実世界も依然として存在するため、2つの世界の間に摩擦が生じ、それが事件などの歪みとなって世界に現れはじめる。その原因を調査/究明するため、メタルの海に挑むエキスパート“電脳ダイバー”達の物語だ。
発表会には日本テレビ編成局映画センター長の奥田誠治氏と、プロダクション I.Gの石川光久社長、シリーズ構成担当の藤咲氏が登壇。作品の見所を解説した。藤咲氏は「攻殻機動隊のような世界観がベースですが、人々の目に触れる前に事件を解決する攻殻メンバー達とは違い、今回の作品は食べ物の事であったり、ペットのことであったりと、もう少し人々の生活に密着した事柄を描いていきたい」という。また、世界観そのものも「士郎正宗さんのサイバーパンク的な未来像とは少し異なり、環境や生活の改善を重視してテクノロジーが使われているような世界になる。士郎さんにも説明したところ、“がんばってください”という言葉を頂いた」という。
石川社長は作品について、「第1話を観た後、エヴァンゲリオンの第1話を観た時と同じような感覚だった」と語り、作品が革新的であり、大きなムーブメントに繋がるポテンシャルを秘めていることをアピール。「作品作りには“入口と出口が大切”と常々思っているのだが、そういった意味でも今回日テレさんと組んで、この作品を作ることができて良かったと感じている」という。
社長の言葉通り、放送と通信を融合させた作品の配信など、先進的な試みも魅力の1つ。日テレの奥田氏は「携帯電話を用意して楽しんで欲しい。通信を使った配信だけでなく、コミック化などのマルチメディア展開も実することで、1を10にも、100にも、1,000にもして、世界にこの作品を広げていきたい」と意気込みを語った。なお、30日の日曜日には、12時30分から声優さんらが参加するトークイベントも開催予定だ。 会場ではクリスティのフルHDプロジェクタで初公開のプロモーションムービーを公開。ハイビジョン制作の作品であり、映像クオリティには定評のあるプロダクション I.Gらしい、非常に高画質な映像が楽しめる。なお、上映ソースにはBDメディアを使用し、再生には松下電器の「DMR-BW200」を使用。ソフト化はまだ決定していないが、DVD化だけでなく、Blu-ray化にも期待したいタイトルである。
なお、作品には電脳ダイバーチームの秘書として活躍する「ホロン」というアンドロイドが登場する。会場にはロボットメーカーの株式会社ココロが制作した、本物のホロンが登場。2008年現在、最高水準のアンドロイドだという「アクトロイド」の技術が使われており、動作点数60点というハイスペック。慎重は175cmで、空圧駆動。口や頭を動かしながら、作品の概要を声で説明してくれる。
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■ キン肉マン 生誕29周年記念の新DVD
既報の通り、東映ビデオが12月20日にリリースする、キンケシ全418体が付属するコンプリートDVD-BOXが話題のキン肉マン。2008年は生誕29周年にあたるため様々な関連グッズの発売やイベントが予定されており、アニメフェアでも新しいDVD「キン肉マンベストバウトDVD へのつっぱりはいらんですよコレクション」が発表された。5月2日からコンビニエンスストア・ローソンの店頭にて限定販売されるもので、価格は2枚組で1,260円。雑誌棚の前に取り付けられる特製棚で販売されるほか、店頭のLoppiでも、4月25日から予約が行なえる。
ネットで募った「ファンが選ぶベストバウト」で1位となった「キン肉マン VS ウォーズマン」(テレビシリーズ第45~46話)を収録。さらに、ヴィジョネアの「DVDMAGIC」技術を採用したPPV-DVDとなっており、パスワード保護された投票結果第2位の「キン肉マン VS 悪魔将軍」(第83~86話)、第3位の「キン肉マン VS バッファローマン」(第62~65話)も収録。こちらは1話105円を支払うことで、再生できるようになる。携帯電話、もしくはPCで専用サイトにアクセスし、視聴用のパスワードを購入。それをDVDの再生画面で入力することで、ロックが解除され、再生できるようになる。携帯電話の場合はPPV購入料を携帯電話料金と合算支払いも可能だ。 ローソンのサービス本部エンタテインメント部の高山健太郎氏は、キン肉マンのDVDを取り扱うことについて「ローソンの利用頻度が比較的高い団塊ジュニア世代に、アニメなどの“なつかし系”コンテンツが訴求できる」と語った上で、同様の形態で既発売の“仮面ライダー トリプルライダー FINAL エピソードコレクション”なども販売本数/PPV試聴数ともに好調だったことを報告。「団塊ジュニア世代だけでなく、子供達も楽しめる作品はまだまだ沢山あり、そうしたものを紹介していくのがローソンの使命だと強く感じている」と語り、今後は継続的に雑誌前の専用棚でPPV-DVD販売を実施していくことを明らかにした。
生誕29周年記念の企画はDVD発売だけに留まらず、放送分野にも展開。フジテレビ739ではテレビシリーズが放送中であり、フジテレビ721では、よゐこの2人がキンケシの魅力を紹介するという異色の番組「よゐことキンケシ」も放送中。5月にはゆでたまごも登場するスペシャル版「よゐことキンケシSP ~よゐこがゆでたまご先生に29(肉)の質問をする企画~」が放送予定。ほかにも有野晋哉さんが濱口優さんに“CS番組とはいかなるものか”を教え込むという「よゐこの企画案2」(4月19日放送)や、漫画家をフィーチャーしていく「週刊少年 『ゆでたまご』」(3月29日放送)」など、様々な関連番組が予定されている。
そんな繋がりで、アニメフェアのステージには、よゐこの2人が登場。コンプリートDVD-BOXに付属する418体のキンケシを前に、生の“よゐことキンケシ”とも言える、ゆるいトーンのキンケシトークを展開した。
登場当初から、418体のキンケシを前にみるみるテンションが上がる濱口さんに対し、有野さんはそれほど興味が無い様子。お気に入りのキンケシとして、「全面怒りのアシュラマン」を紹介したり、「ロビンマスクの造形の細かさ」などの力説する濱口さんの後で、有野さんは「僕はサンシャインが好きですね」と言いながらキューブマンやタイルマンなど、造形が微妙に似ているキンケシに手を伸ばし、そのたびに濱口さんから「それちゃうわ!!」とキレられ、会場を爆笑させた。
ベストバウトを集めたDVDの発売にちなみ、「最も好きなバトルは?」の問いに濱口さんは「ベンキマンとの戦い」と答え、キン肉マンがベンキマンの便器に引きずり込まれるものの、キン肉マンがパンツを脱いで便器につまらせることで脱出するというシーンを、身振り手振りを加えて再現。しかし、有野さんはヒートアップする相方に「人間引きずり込めるのに、パンツはつまるの?」とクールなツッコミを入れるなど、2人の温度差が最後まで笑いを誘うトークイベントとなった。
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■ ヤッターマンが実写映画化
会場では、2009年早々の公開を予定しているという実写映画版「ヤッターマン」の製作発表会も行なわれ、ヤッターマン1号(高田ガン)役の櫻井翔さん、ヤッターマン2号(上成愛)役の福田沙紀さん、ドロンジョ役の深田恭子さん、ボヤッキー役の生瀬勝久さん、トンズラー役のケンドーコバヤシさんと、三池崇史監督が登壇した。 桜井さんは「撮影に入って2週間ですが、今から完成が楽しみです。豪華なセットの中、実物大のヤッターワンを目の前にしてテンション高く撮影しています」と報告。福田さんは「アイちゃんという愛されるキャラクターを演じるのに、最初はプレッシャーを感じて悩みました。アクションシーンはとても大変で、体に傷がついたりしますが、逆に“やったー!”と嬉しくなります」と笑顔を見せた。 ドロンジョ様を彷彿とさせるセクシーな衣装で登場した深田さんは、「映画のお話をいただいた時は、あの衣装を着るんだと、驚きと不安でいっぱいでした。皆さんのドロンジョ様のイメージを崩さないように演じていければと思います」と、意気込みを語る。気になる衣装については「とてもキワドイです。最初はすごく恥ずかしかったのですが、だんだん着心地が良くなってきて、今は着ると心が引き締まる思いです」と語った。
作品について三池監督は、「夢のようなエンタテインメント映画」と説明。「現場には実物大のヤッターワンがあって、でかくて邪魔です」と笑いながらも、「アニメそのままのセットが再現されたセットで、贅沢に撮影しています」と語り、撮影が順調に進んでいることをアピールした。
■ ウルトラヴァイオレット コード044
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)とマッドハウスが手掛け、アニマックスで2008年7月1日の放送を予定しているのは「ウルトラヴァイオレット コード044」という新作アニメ。タイトル通り、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のハリウッド映画をベースにしたオリジナルアニメで、アニマックスの放送以外にも、SPEが全世界に向けて配給を予定しているという大きなプロジェクトだ。 スタッフも豪華で、監督を出崎(崎は大の部分が立)統氏、プロデューサーをマッドハウスの元社長、丸山正雄氏が担当。マッドハウス創設メンバーの2人が数十年ぶりにタッグを組んだ作品である。主人公は、ウィルスを使った遺伝子操作で人間離れした戦闘能力を手にするも、それと引き換えに寿命が残りわずかになってしまった女戦士044(フォーティー・フォー)。彼女と、吸血鬼集団「ファージ」との死闘を描いた作品で、「アクションをふんだんに盛り込んだ、“カッコ良さ”を追求したアニメになる」(丸山氏)という。
主人公の女戦死を演じるのは、人気・実力ともにトップクラスの声優、朴王路美(“王路”は王へんに“路”/ぱくろみ)さん。アニメフェアの特設会場には前述の3人が登壇。作品に掛ける意気込みを語った。朴さんは、「力強い女性のキャラクターと聞き、是非やりたいと二つ返事でOKしたのですが、手掛けているのが業界の化け物(笑)と言っても良い重鎮のお2人だと聞いて、“はやまったかな”と思ってしまった」と笑う。「熱い情熱を持ったお2人、そしてスタッフの人と同じ作品に参加できるのは非常に光栄。私も負けないよう、全力投球で044を演じたい」と語る。
そんな朴さんを以前から作品に起用したかったというのは出崎監督。「念願が叶いました。大人が楽しめるようなスタイリッシュで魅力のある作品に仕上げたい」と語る。丸山プロデューサーは「監督ともう一度一緒に仕事がしたいと言い続けて、2人ともこの年齢になってしまった。そろそろやらないと次が無い(笑)ということで、今回タッグが組めて嬉しい。心理描写も大切にしながら、カッコ良さや新しさにこだわったアニメにしていきたい」と笑顔を見せた。
■ そのほか
□東京国際アニメフェアのホームページ
(2008年3月27日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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