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株式会社東芝は、18日に行なったテレビ/レコーダの新製品発表会において、2009年秋に発売するCell搭載テレビをデモ展示。超解像や、地デジの8ch同時表示など、高い映像処理能力をアピールした。 また、レコーダの展開として、HDDを着脱/交換可能とした製品も参考展示。さらに、米Intelと米Yahoo!が開発した「Widget Channel」対応機器の投入についても発表。ネット経由で動画やニュースなどのコンテンツを入手できる端末のデモを行なった。 これらの技術は、同社のテレビ/レコーダにおける戦略に基づき、同社が得意とする半導体やHDD分野の活用事例や、他社との差別化として紹介されたもの。新製品発表で来場した多くの報道関係者に注目されていた。 ■ Cell搭載テレビ
2009年秋に発売予定とするCell搭載テレビをデモ。Cell Broadband EngineをAV処理に利用し、スーパーコンパニオンチップ(SCC)によりIEEE 1394やデジタルチューナなどの接続を可能にしている。 デモされた52型の液晶テレビでは、立体的なレイアウトのGUIや、高速でのチャンネル切り替え、地デジの8ch同時表示など、Cellの高速処理で実現する機能を紹介。REGZAでも採用された超解像技術「レゾリュースションプラス」により、リアルタイムでの映像アップコンバート処理でも画質の損失を抑えることをアピールした。 超解像については、新REGZA ZH7000/Z7000/FH7000のようなリアルタイム処理だけだけでなく、“熟成”と呼ぶより高画質な処理も行なえるという。これは、Cellの演算量を使って、長時間をかけてより高画質化を図るというもの。 東芝の超解像儀術では、元映像から生成した仮の高解像度画像と、独自アルゴリズムで同画像から再び低解像度化した映像を照合し、その差分を検出して、高解像度画像に補正をかけて画質の向上を図る。この差分検出/補正の回数はリアルタイム処理では一回だけだが、Cellテレビではより「一晩」や「一日」などより時間をかけて、検出精度をより細かく補正回数を増やすなどして、より高画質な映像を生成できる。 そのほか、多数のストリームを同時デコードできる点を活かした特徴として、映像と音声を分析して番組の代表的な部分を検出したり、視聴者が好みのシーンをサムネイルで選択しやすくするといった機能も紹介した。 製品化される際の画面サイズや価格は明らかにしていないが、最初の製品はハイエンド向けとしてリリースされる見込み。
□関連記事 ■ HDD交換可能なレコーダ
レコーダにおける展開の一つとして、HDDユニットを着脱可能にして、交換が簡単に行なえるという製品を参考展示。試作機として、縦型で2スロットを備えたモデルと、横置き型でDVDプレーヤーと一体化したモデルを用意していた。製品化の時期や価格などは決まっていない。 HDDユニットは2.5インチ程度の大きさを想定。縦型モデルについてはHDD内のコンテンツを確認することなどを目的とした小型ディスプレイを装備していることも特徴で、このディスプレイをデジタルフォトフレームのように静止画表示に利用するといったことも検討されている。 利用シーンとしては、家族がそれぞれのHDDを持ち、録画したい番組を自分のHDDに録画する、といった方法を想定している。同日に発表された地デジチューナ搭載HDDレコーダ「D-H320」をベースとしており、VHSユーザーが乗り換えられるようなシンプルな製品をイメージ。縦型モデルは本体サイズも「D-H320」と同程度を目指す。
■ Widget Channel対応端末
米Intelと米Yahoo!が開発した「Widget Channel」は、テレビ画面の一部を使ってインターネットを利用するもので、チューナなどからの映像を表示させたまま、画面の脇や下を利用して、動画コンテンツの購入や、天気/ニュースなどの情報閲覧が行なえるというもの。東芝のほかにもDisney-ABC Television GroupやBlockbuster、eBayなどが両社のウィジェット開発に協力しているという。 従来の映像配信用STBなどでは、サービス開始までにGUIの作りこみや、コンテンツのDRMへの対応などで、製品化までの負担が大きかったという。このサービスではコンテンツ制作者側がUIをカスタマイズできるほか、古くなった機種もアップデートで変更に対応できる。 配信映像の種類や画質などはコンテンツ側が決定できるため、具体的には明らかにされていない。操作はリモコンの左右キーだけでチャンネル切り替えのように行なえることも特徴としている。 今回、対応端末の試作機はベールに包まれたまま公開されていなかったが、HDDレコーダに一体化することでダウンロード映像配信に対応する方法や、DVDプレーヤーやSTBなどでストリーミングのみ行なえる方法など、様々なケースに対応できるという。
□関連記事 ■ そのほか
米MODとの提携により、店頭のキオスク端末で映画などのコンテンツを購入できるサービスも新たなビジネスソリューションとして紹介。手持ちのSDカードに店頭端末から映像をダウンロードし、専用プレーヤーを介してテレビなどで再生できるというデモを行なった。 サービスイメージとしては、コンテンツはMODがオーサリングから配信まで管理し、購入の際に同社サーバーから店頭端末に配信、家庭で専用プレーヤーを介して映像が見られるようになる。米国では2009年春に開始予定で、日本での開始時期については検討中。 店頭でダウンロードしたコンテンツは2時間15分程度の映画で1作品2~2.5GBとなる見込み。展示されていたプレーヤーにはアップコンバート機能も搭載し、テレビとHDMI接続してDVD程度の画質で視聴できるという。コンテンツの料金はDVDパッケージより安価になると見ている。 プレーヤーはHDDなど記録領域を持っていないが、USB端子を備えており、外付けHDDなどに購入したコンテンツを転送可能。ただし、コンテンツのDRMについてはSDカードが鍵の役割を持っており、ダウンロードに使用したSDカードがないと再生できないようになっている。
また、LEDを光源に使った手のひらサイズの超小型モバイルプロジェクタの実働デモも行なわれた。 DLP方式のモバイルプロジェクタで解像度は480×320ドット。暗室で50型程度の投射が可能となっているが、輝度の向上が課題で、商品化の目処として輝度10ルーメンの実現を目指しているという。バッテリ駆動でも動作し、将来的には携帯電話などのポータブル機への内蔵などを目指している。
□東芝のホームページ ( 2008年9月18日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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